2025年12月号

2025/11/12

無可動実銃に見る20世紀の小火器 201 FNハースタル MINIMI

 

7.62mm Version Mk48 Mod 0 / Mod 1

 アメリカ軍はSAWとして5.56mmのM249を採用する一方、7.62×51mmを使用するライトマシンガンも根強い需要があった。そこで軽量化を図ったM60E3を1983年に採用している。しかし、この軽量化されたM60E3は、バレルの早期加熱、銃全体の強度低下といった問題が見られた。
 そこで1990年初頭、再度M60の改良を実施する。これがM60E4で、海軍によるコードはMk43 Mod 0, およびMod 1だ。
 すでにアメリカ軍は、車載および同軸機銃としてFN MAGをベースとしたM240を使用していた。このM240を軽量化し、地上戦用として改良したM240E4が作られ、M60E4と比較テストが実施された。結果的にM240E4が1991年に採用され、M240Bと呼ばれるようになる。USMCもその後、地上戦対応モデルM240Gを採用した。
 M240B、M240Gは決して小型軽量では無い。M240Bは12.5㎏、124.5cmもある。ライトマシンガンとして使用することは難しい。より軽量な7.62mmマシンガンを求める声を受けて、FNは2001年、5.56mmのMINIMIをスケールアップして7.62×51mmモデルを開発した。US SOCOMは2003年これを採用しMk48 Mod 0となった。
 基本的にはMk46と変わらない。ストックはプラスチックの固定式だ。但し、7.62mmモデルはキャリングハンドルを省略しなかった。軽量化の為とはいえ、これを外してしまうとバレル交換の際、耐熱グローブを用意しなければならなくなる。Mk48はMod 0を経て、その後に改良型Mod 1へと進化した。

 

▲レシーバーカバーを開いた状態。白いベルトフィードレバーが、ボルトに付けられたレバーアクチュエーティングピンと組み合わさって、左右に動くことで、ベルトフィードスライドを1発分ずつ動かす。

 

ライセンス生産

 FN MINIMIはアメリカ以外でも非常に多くの国が採用しており、その一部の国ではライセンス生産がおこなわれてきた。MINIMIをライセンス生産した国とメーカー名を列挙すると以下のようになる。
 
 スウェーデン ボフォース・カールグスタフ製Ksp90、Ksp90B
 イタリア ベレッタ製MINIMI Mk2
 カナダ コルト カナダ製C9A1, C9A2
 オーストラリア タレス・オーストラリア製F89
 スイス アストラディフェンス製 LMg 05(Leichtes Maschinengewehr 05)
 インドネシア PT ピンダット製 SM-2
 ギリシャ ヘレニックディフェンスシステムス製 MINIMI
 エジプト マアディ・エンジニアリング・インダストリーズ製MINIMI (2024年に工場閉鎖)
 日本でも住友重機工業が1993年よりMINIMIを4,922挺生産し、防衛省に納入した。但し、住友重機工業は2019年に製造ライセンスを返上し、MINIMIの生産から撤退している。
  MINIMIの基本的なデザインパテントは既に失効しており、MINIMIのクローンを製造することは可能となっている。そのため中国のChongqing Changfeng Machine FactoryはクローンモデルとしてCS/LM8を製造、Yunnan Xiyi Industry CompanyもXY 5.56を製造した。また台湾のArmaments Bureau(国防部軍備局)もMINIMIのクローンを製造した実績がある。近年急速に銃器生産事業を拡大させているトルコでも、もちろんMINIMIのクローンは生産中だ。KALEKALIP(カーレカリップ)は5.56mmのKMG556、7.62mmのKMG762を生産、現在果敢に海外市場に向けて営業展開をおこなっている。

 

▲PARAストックは、伸ばした状態からバットプレート部を握って少し後ろに引きながら、90°ストック自体を回転させるとストックを左写真のように収納できる。

 

 

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