2025/09/29
F-35B戦闘機 宮崎県・新田原基地へ配備
F-35B 新田原基地へ配備

遂に空自にF-35Bが配備された。同機は護衛艦「いずも」型に搭載され、これまでの防衛省自衛隊にはなかった運用方法が用いられる。これにより、日本は、事実上の“空母”を保有へ。自衛隊の歴史に新たなページを刻むことになった到着の日をレポートする。

2025年8月7日、新田原基地(宮崎県)に、F-35Bが配備された。この日、到着したのは3機。テキサス州のフォートワースにあるロッキードマーチン社の工場で製造された機体で、米海兵隊のパイロットの手により、ハワイやグアムを経由し、遥々日本へとやって来た。なお、当初計画では4機がやって来るはずであったが、内1機は不具合が生じ、点検作業に時間が必要となり、結果3機のみとなった。
最初の1機は、STOVLモードによる垂直着陸、2機目はスローランディング(低速着陸)、3機目は通常の着陸と、異なる着陸を行い、F-35Bの性能を見せつけた。


天候はあいにくの雨、それもちょうど1機目が下りる前には嵐のような大雨が基地を襲ったが、3機がエプロン地区に駐機するころには青空も見えてきた。防衛省自衛隊の長い歴史において、非常に重要な一日となった。
航空自衛隊は、最終的に42機を配備する計画だ。すでにF-35Aの配備は進んでおり、新たにF-35Bを配備していく流れとなる。このF-35Bの特徴は、短距離離陸、垂直着陸が出来る点にあり、現在改修中の護衛艦「いずも」型にて運用する計画だ。これにより、「いずも」型は、事実上の“空母”となる。もちろん海上自衛隊は、「いずも」型を空母とは呼んでいない。実際の所、「いずも」型に搭載できる機数は10機程度と見積もられており、胸を張って空母と呼べる規模ではないのは確か。軽空母と言う考え方もあるが、島嶼防衛強化策の一環であることを考えると、運用方法は、強襲揚陸艦に近いものとなるのだろう。


受け入れ部隊として、今年3月24日に「臨時F-35B飛行隊」が新編された。アメリカ国内にて、教育を受けたパイロットや整備員が所属している。今年度中に、この日到着した3機を含む計8機を使い、錬成訓練が行われ、来年度より本格的に運用を開始する。
その新部隊となるのが、第202飛行隊だ。この部隊は、F-104J/DJ部隊として、1964年3月31日に新田原基地に新編され、その後2000年9月26日に廃止された。しかし、令和8年度概算要求の中に、F-35B部隊として復活することが明記された。
宮崎県にある西都原古墳群にちなみ、部隊マークは埴輪。復活の際には、再び埴輪となるのか、それも注目である。
新生第202飛行隊は、2026年3月にスタートを切る。


Text & Photos:菊池雅之
この記事は月刊アームズマガジン2025年11月号に掲載されたものです。
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