ミリタリー

2025/06/13

自衛隊2025 〜Spring〜 記念行事 習志野駐屯地/宇都宮駐屯地/相馬原駐屯地

 

 2025年もいよいよ自衛隊イベントシーズンに突入。まずは年度始まりらしく、桜が咲き乱れる中、いくつかの駐屯地などで、記念行事が開催された。今回は、新装備が顔を揃えた本誌厳選の駐屯地をご紹介しよう!

 

米英仏など多くの軍隊では、空挺部隊は赤い(えんじ色)ベレー帽がトレードマークになっている。いよいよ第1空挺団も今年度より本格的に導入し、世界に合わせることになった

 

 


 

習志野駐屯地 創設74周年

第1空挺団 創立67周年記念行事

 

2025年4月6日 習志野駐屯地(千葉県)にて

 

第1空挺団の副団長であり、習志野駐屯地司令の高倉敬1等陸佐もえんじ色のベレー帽を着用

 

 第1空挺団は、日本唯一のパラシュート降下部隊であり、その実力は、“陸自最強”との呼び声高い。その理由は、基本的に空挺団では陸曹以上が全員目指す「空挺レンジャー課程」にある。日本一過酷な訓練として知られ、最後まで戦い抜くためには、並々ならぬ体力と精神力が必要なのだ。この困難に打ち勝ったものだけが、レンジャー徽章を胸に掲げることが出来る。


 ここ最近の第1空挺団は、海外の空挺部隊や特殊部隊との交流が盛んだ。世界でも空挺隊員たちは屈強な部隊として一目置かれている。そうした部隊を日本に招いたり、逆にこちらから各国へと出向いたりして、相互交流を行い、ともに訓練を行うようになった。こうした中で、第1空挺団は、世界空挺ファミリーの証である赤い(えんじ色)ベレー帽ではないことの違和感が部内外から指摘されるようになった。古今東西、空挺部隊にとって、赤はシンボルカラーとなっており、イギリス空挺部隊は、「赤い悪魔」とのニックネームをもつほど。日本も世界に肩を並べるには、まずは“赤”の仲間入りを果たす必要があった。ようやく念願叶い、昨年より、第1空挺団もえんじ色のベレー帽を採用した。今回は初めて、新ベレー帽をかぶっての行進が行われた。“赤”のマジックにより、これまでよりもさらに精強に見えた。


 他方で、20式小銃の配備が加速度的に進んでいたことにも驚かされた。第1空挺団における主力小銃になったと言っても過言ではないだろう。

 

20式小銃も第1空挺団の各部隊にかなり行き渡ったようだ。まさに今回は、新生・第1空挺団を見ることが出来た

 

配備数が少ない9mm機関拳銃であるが、第1空挺団では幹部用に揃っている

 

 

宇都宮駐屯地

創立75周年記念行事

 

2025年4月5日 宇都宮駐屯地(栃木県)にて

 

訓練展示にて見事敵を制圧した中即連。この部隊での主力小銃は、20式小銃となっていた


 同駐屯地には、東部方面隊直轄部隊である東部方面特科連隊と陸上総隊隷下の中央即応連隊が主として駐屯している。東部方面特科連隊は、第1師団第1特科隊と第12旅団第12特科隊を併合して、2023年に新編された。もともと宇都宮駐屯地に所在していた第12特科隊は、東部方面特科連隊第2大隊となるもそのままこの場所をホームベースとしている。


 中央即応連隊は、災害派遣や多国間訓練、海賊対処行動などで海外へと展開することが多い部隊だ。いや、そうした海外派遣を前提とした部隊と言う方が正しい。そのような他の普通科連隊にはない任務を遂行するため、装備にも特徴がある。特に輸送防護車MRAPは、この部隊しか配備していない。さらに、20式小銃も優先的に配備された。
 特徴あるこれら部隊による観閲行進、その後の訓練展示は非常に見応えがあった。

 

20式小銃に薬きょう受け用の袋を装着。実弾、空包問わず、陸海空自衛隊には必要な道具だ

 

敵役を務めた隊員たちは、タイガーストライプの迷彩服を着用し、見ている人にも敵味方をわかりやすく現示していた

 

96式装輪装甲車から展開し、敵の陣地へ向け前進。中即連は、海外派遣を前提として編成された部隊でもあり、20式小銃の配備も早かった

 

96式装輪装甲車上から12.7mm重機関銃の空包射撃を実施

 

中即連にのみ配備された輸送防護車。オーストラリア製のMRAPだ

 

格闘展示にて、銃剣(ナイフ)を使った格闘を披露

 

 

第12旅団 創立24周年
相馬原駐屯地 創設66周年記念行事

 

2025年4月12日 相馬原駐屯地(群馬県)に隣接する飛行場地区にて

 

2023年3月に新編されたばかりの第12偵察戦闘大隊の主力装備である16式機動戦闘車による空包射撃


 第12旅団は、「空中機動旅団」として、2001年に第12師団から改編した。部隊規模は減勢した形ではあるが、その代わりにヘリを主装備とする作戦基本部隊へと生まれ変わった。他の師団及び旅団飛行隊よりも規模を拡大した第12ヘリコプター隊を新編し、CH-47JAやUH-60JAなど中・大型ヘリを配備して、空中機動力を一気に高めた。時を経て、2023年には、統合機動防衛力を目指した新しい機動化改編を行なった。今度の主役は16式機動戦闘車となり、第12偵察戦闘大隊を新編した。師団時代に第12戦車大隊を編成していたが、旅団化に伴い部隊廃止となってから20年以上の時を経て、機甲科火力が復活したことになる。


 第12偵察戦闘大隊は、大隊本部及び本部管理中隊と、これまであった第12偵察隊を母体とする偵察中隊、16式機動戦闘車を主たる装備とする戦闘中隊という編成となっている。本記念行事では、これら部隊が行進を行うとともに、訓練展示の中心となっていた。CH-47JAでのヘリボーン作戦と合わせ、空地一体の機動力の高さをこれでもかと見せてくれた。

 

相馬原駐屯地に隣接する飛行場エリアのエプロン地区が記念式典の会場となる。旅団隷下部隊がズラリと整列する。中心には第12偵察戦闘大隊の16式機動戦闘車

 

東部方面特科連隊第2大隊の155mmりゅう弾砲FH70が火を噴く。もともと第12旅団隷下の第12特科隊だった

 

偵察用オートバイを使った大迫力のドリル走行。カッコよさだけでなく華麗な技の数々に観衆は魅了された

 

第12旅団はCH-47JAを配備する旅団飛行隊としては大規模な第12ヘリコプター隊を編成している。ヘリボーンはまさに十八番の戦術だ

 

 

Text & Photos:菊池雅之

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年7月号に掲載されたものです。

 

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