2026/04/14
実用本位が生んだ完成度 スプリングフィールドM1903A3小銃 無可動実銃の魅力
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この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。
モーゼルを参考にしたアメリカンモーゼル
アメリカの軍用ボルトアクション式ライフルであるスプリングフィールドM1903は、1968年まで存在した国営造兵廠のスプリングフィールド工廠で開発された。軍用であるため、開発には敵対勢力の銃器を参考にすることもあり、スプリングフィールドM1903の場合はモーゼルM1893小銃を参考にしている。制式採用後はスプリングフィールド兵器庫とロックアイランド兵器庫で生産が開始され、1905年からアメリカ陸軍への支給が開始された。
スプリングフィールドM1903の採用により、アメリカ軍は第一次世界大戦を最高の小銃で挑めるかに思えたが、その総数は動員兵に対しては大きく不足しており、多くの兵士はM1917エンフィールド小銃などを支給されていた。第一次世界大戦後はスプリングフィールドM1903を予備兵器に格下げの話も持ち上がったが、卓越した精度が評価され最終的に制式小銃の座を守り、M1ガーランドが普及する1940年代までの約40年に渡り使用された。
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- 全長:1,097mm
- 口径:.30-06
- 装弾数:5発
- 価格:¥352,000
- 商品番号:【10093】
最後の改良を経てパーフェクトなライフルに変身
第二次世界大戦勃発時には後継の歩兵銃としてM1ガーランドの配備が進められていたが、依然としてM1903が多くの部隊に配備されていた。また、軍備の拡大に伴いスプリングフィールド造兵廠がM1ガーランドの製造を最優先で進めていたが、小銃の不足は深刻であった。情勢が緊迫する中で、M1ガーランドの製造に関わっていないレミントン社にロックアイランド兵器庫がM1903を製造するために使用していた工具や機械をすべて提供し製造が委託される。しかし40年も経過した古い機械は使い込まれて劣化していたため、レミントンは機械だけでなく製造方法も含めて改良を続ける必要があったのだ。
こうしてアメリカ陸軍兵器部門と協議を重ねて完成したのがM1903A3でありM1903シリーズの集大成となったが、実戦用の歩兵銃としてはM1ガーランドほど広くは配備されていない。そのほとんどが国内での訓練等に用いられ、わずかに海兵隊が使用した程度である。これはM1903A3が時代遅れになったというよりM1ガーランドが先進的で画期的な銃器であったに過ぎない。堅実なボルトアクション小銃としてはモーゼルやエンフィールド、モシンナガンと比べても遜色なく、アメリカ以外の国ならば主力小銃であっただろう。1903A3 の特徴的な点は、多くの部品にプレス加工が用いられていることだ。トリガーガードやマガジンのフォロアプレート、レシーバーの前部にあったリーフサイトが廃止され、レシーバー後部にピープサイトが設置された。このリアサイトは製造が容易であるだけでなく、M1ガーランドに使われていたサイトと操作性を共通化できる利点もあった。第二次世界大戦後は多くのM1903とM1903A3が余剰品となり軍事援助に用いられた。またA3をベースにしたスナイパーモデルのA4がベトナム戦争のころまで使われた事実からも優秀性が伺える。アメリカ軍最後の軍用ボルトアクションライフルとして今なお人気が高いのも当然のことであろう。
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TEXT:IRON SIGHT
この記事は月刊アームズマガジン2026年5月号に掲載されたものです。
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