ミリタリー

2026/03/10

陸上自衛隊第1空挺団 令和8年降下訓練始めNYJIP26 / 令和7年度多国間空挺演習

 

CH-47JAなどから降下してきた空挺隊員たちが、敵を制圧すべく前進。降下訓練始めにおける訓練展示のハイライトシーンだ

 

 陸上自衛隊で唯一のパラシュート降下部隊である第1空挺団。2026年幕開けとともに早速本格的な訓練をスタート。それが毎年恒例の「令和8年降下訓練始めNYJIP」と今回初めて行われた「令和7年度多国間空挺演習」だ。部隊のスローガンとして“精鋭無比”を掲げる陸自最強部隊の活躍を追う―

 

 

令和8年降下訓練始めNYJIP26

 

ヘリで降着後、ギリースーツ姿で前進する狙撃班。VIP席の前に陣取り、狙撃姿勢を展示するのが恒例となっている

 

 2026年1月11日、習志野演習場(船橋市等)において、第1空挺団による「令和8年降下訓練始めNYJIP」が行われた。
 もともと1969年に「開傘祈願祭」として、1年間の降下訓練の安全を祈願する年頭の仕事始めの一環として始まった。1974年より、日頃の訓練成果を広く国民に公開し、地域の方々との交流を図ることを目的とした「降下訓練始め」となる。2023年からは、それまで参加実績のあったアメリカだけでなく、イギリスやオーストラリアも参加。翌2024年からはさらに参加国が増え、2025年からは第1空挺団の上級司令部である陸上総隊が主催するNYJIP(New Year Jump in Indo Pacific)となった。
 今年は過去最多となる14ヶ国(アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、フィリピン、ポーランド、シンガポール、タイ、トルコ)が参加した。

 しかしながら、強風のため、空挺降下は取り止めとなってしまった。本来であれば、日本をはじめ各国軍の指揮官が降下する指揮官降下や戦闘訓練展示の中の課目として空挺作戦が行われるのだが、すべてが中止に…。降下訓練始めの主たる目的が見られなくなってしまったのは非常に残念だった。

 

対戦車ヘリAH-1Sが対地攻撃を行う。地面では空挺隊員たちが伏せている

 

新たに陸自のいくつかの部隊へと配備された小型UGV「Vision60」。正面にカメラがあり、偵察任務などに当たる


 地上での戦闘訓練はいつも通り実施された。シナリオもこれまで同様に日本領土内の島へと着上陸してきた敵を制圧するというものだった。ここで新装備である、ロボット犬こと小型UGV「Vision60」が初参加した。

 第1空挺団を火力支援すべく、10式戦車や16式機動戦闘車も参加。空包射撃を伴う迫力ある訓練が繰り広げられていった。
 なお、今回は訓練実施部隊とは別のところで、SNS上で大きな話題となったことがある。それが小泉進次郎防衛大臣の格好だ。これまで防衛大臣が降下訓練始めに臨席するにあたり、スーツの上に防寒用に迷彩柄のジャケットを羽織る姿が通例だった。しかし、今回はばっちりと上下迷彩服を着用し、その上から迷彩柄のジャケットを着用。さらに昨年から第1空挺団に配備された“えんじ色” のベレー帽を被っていた。胸に掲げられた防衛大臣を表す階級たる5つの桜星は改めて勇ましかった。

 

16式機動戦闘車と10式戦車も一緒になって敵を制圧していく

 

CH-47JAからファストロープを使い降下する空挺隊員たち。今回はヘリボーン作戦が主となった

 

勇ましい姿で報道陣の前に立つ小泉進次郎防衛大臣。第1空挺団は、昨年よりえんじ色のベレー帽をかぶることになった

 

参加国の隊員たちは、自分たちの国旗を翻してアピール。昨年に続き今年もラストの見せ場となった

 

 

令和7年度多国間空挺演習

 

米軍が使用するスクエア型パラシュート。これはT-11 Advanced Tactical Parachute System (ATPS)と呼ばれるもの

 

第2輸送航空隊第402飛行隊(入間基地)のC-2からの降下シーン

 

米空軍第374空輸航空団(横田基地)のC-130Jから降下する第1空挺団の隊員

 

 前項の「令和8年降下訓練始め」に連接する形で、1月13日から20日までの間、王城寺原演習場(宮城県)等で、「令和7年度多国間空挺演習」が行われた。国内において多国間による空挺降下演習が行われるのは今回が初めてとなる。第1空挺団(日)、第11空挺師団(米)、第16空中強襲旅団戦闘団(英)が共同にて実動訓練を実施した他、NYJIPメンバー10ヶ国がオブザーバーとして訓練を研修した。
 1月16日には日英部隊がフリーフォールにて、17日には日米部隊がパラシュートにてそれぞれ降下を実施した。報道公開されたのは17日の訓練だった。

 

次々と地上に降り立つ空挺隊員。速やかにパラシュートをたたんで次の行動に移るべく準備を進める

 

米陸軍のDZ(降着地点)の様子。木に引っ掛かってしまったパラシュートも見える


 日本側からC-2が1機、C-130Hが2機、米側からC-130Jが4機計7機が参加した。演習開始直前までは青空が見えていたのだが、まもなく降下スタートというところで、強風が吹き荒れ、雨も降りだした。ここでも降下訓練は見られないのか…と落胆する報道陣であったが、曇天の中を飛ぶ先頭のC-2から第1空挺団の隊員たちが降下してきた。今回は第3普通科大隊が主となり、13式落下傘を使って次々と降下した。雨は雪となり、寒さも厳しくなる一方であったが、隊員たちはいつも通りの完璧な降下を見せてくれた。一度にすべてを降ろすのではなく、周回するC-2及びC-130から分散して降りて来た。降下後は、パラシュートをたたみ、小銃をかまえながら森の中へと消えていく。天候はますます下り坂となり、雪は激しい雨に。そんな中、米軍も予定通り降下していった。

 

集結地の周りには20式小銃に手に警戒する空挺隊員たちの姿があった

 

米陸軍はお昼過ぎから降下を開始。雨や雪が降り、さらに強風も見舞う中、続々と降下し、演習場内に展開していく


 降下後は敵を制圧すべく訓練は続く。そして3ヶ国が共同で攻撃していく野戦訓練へと突入した。
 今後は、NYJIP同様にこちらの訓練も定例化していく可能性は高い。そうなれば、参加国も増えていくことだろう。「自由で開かれたインド太平洋」を目指すという志を同じくした国々が、こうして現場レベルで交流を深めていくのは、非常に意味があることだ。

 

降下した米軍兵士たちも示された場所へと迅速に移動していく。日本側とは異なる場所に集結した

 

20式小銃をかまえながら慎重に歩みを進める空挺隊員。銃剣を装着している隊員の姿もあった

 

降着後、演習場内を進む空挺隊員。第1空挺団には、3個普通科大隊が編成されており、今回は第3普通科大隊(隊員の肩の黄色いパッチ)が主となり訓練を実施した

 

 

Text & Photos:菊池雅之

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年4月号に掲載されたものです。

 

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