METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER
8月28日に新発売されたTVゲーム『METAL GEAR SOLIDΔ: SNAKE EATER』(以下MGSΔ)。これは2004年に発売された『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』(以下MGS3)を原作とし、最新技術で生まれ変わらせたリメイク作品だ。かつてMGS3のゲーム製作に協力した者としても、シリーズの“いちファン”としても、MGS3が発売から20年以上も経って、原作のストーリーや世界観はそのままに超絶に美しいグラフィックスや立体的なサウンド表現で進化して、また多くの人に楽しんでいただけるのは最高に嬉しく、もう感激しかない。しかも発売初日で全世界累計出荷本数が100万本を突破だとか。もちろん私もただいま絶賛プレイ中。MGS3は久しく再プレイしていなかったので忘れていることも多々あり、まるで初プレイのように楽しんでいる。この新鮮な感覚がもったいないので、すぐにクリアするのはやめて、毎日少しずつじっくりと進めているところだ。
MGS3の発売当時、オセロットによってコルト シングルアクションアーミー(SAA)の人気が再燃、その盛り上がりは爆発的だった。SAAは昔の西部劇ブームの時代(日本だと1960年代)は大人気の銃だったが、西部劇の衰退によりマイナージャンルの銃となってしまった。だが、私より年下の世代の方は、西部劇ではなく、MGS3によってSAAに興味を持ち「オセロットの影響でSAAのトイガン買いました!」という人が圧倒的に多い。その影響は20年以上も経った今も継続している。だから私としても、MGSΔ発売のタイミングでオセロットについて話題にしない訳にはいかないのだ。
METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER
メタルギア ソリッド デルタ: スネークイーター
ジャンル:タクティカル・エスピオナージ・アクション
発売元:KONAMI
レーティング:CERO D(17才以上対象)
プラットフォーム:PS5、Xbox X|S、Steam(PC)
希望小売価格
Standard Edition:8,580円(税込)(パッケージ版はPlayStation5のみ)
Digital Deluxe Edition:9,790円(税込)
©Konami Digital Entertainment
オセロットのガンプレイのモーションキャプチャー
この話題で盛り上がる前に、ちょっと説明をしておこう。私はかつてオセロットのガンプレイのモーションキャプチャーを担当させていただいた。だが、これについてけっこう誤解をされている方が少なくないので、改めて正確な情報をお伝えしたい。私はよく「MGS3のオセロットのモーションキャプチャーを担当した人」と他人から紹介されることが多いのと、私自身がGun Professionals誌のYouTubeチャンネルで「MGS3オセロットのガンプレイを再現する」 動画を公開しているため「MGS3のオセロットのガンプレイのすべてをトルネード吉田がやっている」と思われている方も多く、あわせて私が製作に関わったのは「MGS3だけ」と誤解されている方も多い。
まず私がお手伝いした作品は、2001年発売の『METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY』(以下MGS2)と、初代PlayStationの『METAL GEAR SOLID』(1998年発売、以下MGS1)のニンテンドーゲームキューブ版のリメイク作『METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES』(2004年発売、以下ツインスネークス)とMGS3だ。これら3作品でオセロット(リボルバー・オセロット)のガンプレイのモーションキャプチャーをやったのだ。それぞれ一部のシーンでやっており、オセロットが銃を回しているシーンのすべてが私のモーションではない。MGS2ではタンカー編のムービーシーンでSAAを回しているところすべて、ツインスネークスではオセロット戦の前後のムービーシーンだ。MGS3については撮影期間は長かったのだが、私は途中で病気により長期入院を余儀なくされ最後まで直接お手伝いすることはできず、以降を別の方に代わっていただいた(当時、映画の特殊効果や牧場でのウエスタンショーなどでご活躍されていたウエスタン界の大先輩のビル横山さんだ)。あわせてお芝居のモーションを担当した俳優の金澤大朗さんも回しているし(私がそのコーチもさせていただいた)、オセロット戦の途中のリロードはアニメーターがモーションを付けている。MGS3で私がやったモーションを分かりやすいところで挙げると、オセロットが初登場してマカロフを跳弾で撃つところやマカロフを宙に飛ばしてキャッチするところ、彫刻入りのSAAをホルスターに収めるところ、オセロット戦でザ・ペインの殺人蜂をガンプレイで追い払うところ、ソコロフに向けてSAAをジャグリングしながら空撃ちしていくシーンでジャグリングをする前(3挺を使ったジャグリングはジャグラーの方が担当)などだ(他にも細かいシーンあり)。だからエンドロールではオセロットのモーションには複数人の名前がクレジットされている。またMGS3では演出のアイデア出しや効果音などでもお手伝いした。私のMGS3製作のお手伝いの詳細については、月刊アームズマガジン2005年5月号(ウエスタン特集号)で私のインタビュー記事が4ページで掲載されている。かなり古いバックナンバーだが、ご興味ある方は古本などを探して読んでいただければ幸いだ。
コルトSAAのバレルのバリエーションにはスタンダードな長さで3種ある。写真上から7-1/2インチ、5-1/2インチ、4-3/4インチだ(オセロットのは中央)。これらを順に「キャバルリー」、「アーティラリー」、「シビリアン」とも呼ぶが、これらの言葉をSAAのバレル長の愛称としてイコールで使うのは日本だけ。実銃の用語としてはまったく違う意味を持つ。解説すると長くなるので割愛するが、SAAに本当にこだわりたい人ならSAAのバレル長は数値(インチ)で語らなきゃダメ
SAAのファーストジェネレーション(第一世代)のブラックパウダーモデル(黒色火薬モデル)。この2挺はタナカが以前、発売していたペガサス式ガスガンとモデルガンだ(現在はメーカー品切れ)。MGS3(MGSΔ)では、途中でスネークが入手するオセロットの黒いSAAは「ブラックパウダーモデル」と説明されている(無線で情報が聞ける)
これは私のMGS3のオセロットのコスプレだ(2015年撮影)。私は昔からアクション映画などを見て「うわ!カッコイイ!」と思うと、その真似(コスプレ含む)をしたくなる人なので、私がオセロットのコスプレをするのは当然なのだ。今回、他の作品のオセロットのコスプレ写真も掲載するが、これらはすべてコスプレイヤーの友人たちのご協力で出来たものだ。いずれのオセロットのコスプレでも共通してこだわったポイントは、やはり銃とフルオーダーメイドで作ったガンベルト一式。それと私のコスプレは「本物のオセロット」と言ってもらえることが多いので(笑)本物がテーマ、小物類などを可能な限り実物のアイテムで揃えていることだ。このMGS3オセロットの場合、まずベースの黒い服は、現在メタルギアの公式コスプレイヤーやコスプレカメラマンとして活躍するZAN(ザン・ウー) さんに手伝ってもらった。軍服はゲームのオリジナルデザインだが、ロシア軍装に詳しい方にご協力いただき肩章、襟章、空挺章、略綬、コムソモールバッジ等の小物はすべて実物で揃えた。腰と肩のガンベルトは、プロの革職人にフルオーダーメイドで作ってもらったもの。もちろん本革製だ。実はMGS2とMGS3でのガンベルトのデザインは同じで、MGS2の資料を参考にしているが、当時のCGだと技術的に細かい部分まで描けずディテールが省略されているので、そこは実在する物のデザインへと修正している。劇中の雰囲気を忠実に再現するためにヒップベルトと肩の弾帯(バンダリア)は、実は3セットも作り直している。その2セット目をMGS3発売後にKONAMI本社へご挨拶に伺った時にアートディレクターの新川洋司さんに見てもらいアドバイスをいただき、3セット目でようやく完璧な物となった。ホルスターやポーチなどの小物類を換装することですべてのシーンのオセロットを再現可能で、この写真はMGO(オンライン対戦)バージョン。MGS3のコスプレは今も改良・ディテールアップを続けているが、いい加減、今の私では年齢的にもう無理がある。今後もイベント等で見かけたら、あたたかい目で見ていただけるとありがたい
私も大の『メタルギア』ファンだ!
私はMGS3より後の作品では、製作やプロモーションに一切関わってはいない。今回のMGSΔもそうだ。MGS3発売以降は、皆さんと同じで“いちファンとして”シリーズを楽しんでいる。
そもそも私は初代PlayStationのMGS1からのメタルギアファンだ。昭和45(フォーティファイブ)年生まれの私はコンピューターゲームだと、いわゆる「ファミコン世代」の人。だが、学校の友人達はファミコンに夢中になって遊んでいたが、私は2Dの縦スクロール、横スクロールのシューティング/アクションゲームやRPGにはまったく興味がなく、背景が画面の奥から手前に迫ってくるような3Dのアクションゲームしか興味がなかったから家庭用ゲームはまったくやっていなかった(当時そういう3Dのゲームはゲーセンにしかなかった)。ところが1997年に、ある有名アニメの3Dシューティングアクションゲームが発売され(戦闘機から3段変形してロボットになるヤツね)それがどうしてもやりたくて、その時、初めて家庭用ゲーム機としてPlayStationを買った。「うわー、すげー!これが今のゲームなんだ!」と以来すっかりゲームに夢中になって、たぶんRPGを除くアクション系ゲームの有名なシリーズタイトルはすべてプレイしたと思う。MGS1も、その1本だ。
MGS1との出会いは、いわゆる「パケ買い」というヤツだ。ゲームショップの店頭で何やら銀色のカッコいいパッケージのゲームがあり、つい買ってしまったのだ。それが限定プレミアムパッケージのMGS1だ。MGS1は本当に衝撃的だった。ゲームそのものの面白さはもちろんだが、斬新な演出や、私の大好きな映画みたいなストーリーで作品の世界観に完全に引き込まれ、あらゆるところでもう最高。作品のテーマも深く、クリア後は本当に感動しかなかった。そして当時、すでに熱心なウエスタンファンだった私が一番気に入ったのが当然ながらリボルバー・オセロットだ。そのガンプレイシーンをVHSのビデオに録画して、当時吉祥寺にあったハートフォード東京店のファストドロウ練習会に持って行き、お店のビデオデッキで友人たちに「これスゴイでしょ!」と興奮しながら見せたこともあった。
その後、ハートフォードのコネティ加藤社長からのご紹介でMGS2のお仕事をやらせていただくことになった。そのキッカケは、かつてハートフォードが出していたファストドロウのHow Toビデオ『トップシューターへの道』だ(現在はビデオ版、DVD版とも廃盤)。これに私のガンプレイのデモンストレーションが収録されており、それを当時のMGS2の製作スタッフが見て「この人しかいない!」とモーションキャプチャーの撮影の現場に呼んでくださったのだ。もちろん大喜びで引き受けたのは言うまでもない。
私がお手伝いしたのは、ほんのわずかだが、今でも様々なイベント等でメタルギアファンの方に声を掛けていただくことも多く(どうもありがとうございます!)、シリーズが今でもこんなに熱心に多くの皆さんに支持されているのは本当に感激しかない。ゲームってプラットフォーム(ゲーム機本体)が進化するので「古くなったゲームは忘れさられて(プレイされなくなって)いくもの」と昔は思っていたが、これは誤解だった。MGSΔの発売日には渋谷で開催された発売記念イベントに潜入したが、大盛況で何だか胸アツ。MGSΔの新発売で、またファンの皆さんと一緒に大いに盛り上がれると思うと、もう楽しみしかない。ちなみにシリーズでの私の最推しキャラはネイキッド・スネークだ(オセロットは特別なので除く)。
ざっくり解説するとSAAの1st.ジェネレーションのブラックパウダーモデルは、その後のスモークレスパウダーモデル(無煙火薬対応の強化モデル)とは形状的に2つの違いがある。そのひとつがエジェクターの指掛け(エジェクターヘッド)だ。写真上の円形(フルムーン/ブルズアイ)タイプが、民間市場で販売されたSAA(民間モデル)では1881年まで、米軍へ納入されたSAA(軍用モデル)では1884年まで使われ、それぞれ同年に写真下の半月形(ハーフムーン)タイプへと切り替わった
もうひとつの違いは、シリンダーの軸(ベースピン)の固定方法だ。左写真のフレーム前方からネジ1本で固定する「ダイアゴナルスクリュー」タイプが軍用モデルのすべてと、民間モデルでは1896年まで使われ、民間モデルは同年に右写真のフレームの左右からネジとナットで固定する「トランスバースピン」タイプへと改良された。19世紀の終わり頃は、銃の火薬がブラックパウダーから現在も使われる強力なスモークレスパウダーへと切り替わる時期だった。SAAも1900年頃にスモークレスパウダーに対応するように強化された。そのため銃器コレクターはダイアゴナルスクリューのフレームのSAAをブラックパウダーモデル、トランスバースピンのSAAをスモークレスパウダーモデルと分類しているのだ(写真はタナカのペガサス式ガスガン)
ここからは私がオセロットのコスプレのために揃えた銃とホルスターなどの紹介だ。この写真はKSCのマカロフとロシア軍の実物ホルスター、それと私が自作した“想い出のジャム弾ペンダント”。KSCのマカロフガスガンはガンスピンしようとするとトリガーガードが下へ開いてしまい回せないが、フレームにピン1本を貫通させることで解決している。ちなみにマカロフの実銃はトリガーガードを閉じるスプリングが強いため、ガンスピンは可能とのことだ(以前、海外在住の方に確認してもらった)。ペンダントは設定どおり、9mmのマカロフ弾を.45口径のSAAへ装填可能とするためのアタッチメントまで再現している
MGS3オセロットの愛銃、SAA 1st.ジェネレーション ブラックパウダーモデル バレル長5-1/2インチ。写真はランパント・クラシックのモデルガン(メーカーは既に活動停止)。劇中では黒だが、筆者はガンプレイヤー(ガンスピナー)なので回した際に技が映えるようにシルバーモデルを愛用している。ここだけはパフォーマーとしてのこだわり。ランパントの1st.ジェネレーションのシルバーモデルはハンマーやトリガー、スクリューが黒だったが、オールシルバーへカスタムした
もちろん何の戦術的優位性(タクティカルアドバンテージ)もないエングレーブのSAAも再現している。かつて六研からバレル長4-3/4インチのみで彫刻入りのタナカのペガサス式SAA(初期型)が発売されていた。それを入手し、タナカへ部品注文で5-1/2インチのバレルを取り寄せ、六研の彫刻モデルを彫った井浦勝雄 先生に同じ模様で彫ってもらい、ニッケルメッキを施したこだわりの逸品だ。なお彫刻SAAはMGS3ではハーフムーンのエジェクターヘッドにフレームのトランスバースピンまで見てとれたが、MGSΔではリアサイトがVノッチ(〜1931年まで。1931年にUノッチへ改良)で描き込まれているのが確認できたので1st.ジェネレーションのスモークレスバウダーモデルと解釈できる
MGS3の劇中でオセロットがSAAに取り付けるスケルトン ショルダーストック(クラフトアップル製、現在絶版)。このショルダーストックはモーションキャプチャーの撮影現場へ私が遊びで持ち込んでいたもので、これが小島監督の目に留まり、本編へ登場することとなった。この写真の銃はハートフォードのモデルガン。ショルダーストックは最近RIGHTからもタナカ・ハートフォード用が発売されたが現在は品切れ
SAAは1873年の製造開始以来、各部で小改良(マイナーチェンジ)が繰り返されており、製造時期により細部がわずかに異なる。そのため実銃のコレクターはSAAを製造時期(製造番号)により1st. / 2nd. / 3rd.ジェネレーションとかブラックパウダー/スモークレスパウダーモデルなどと呼んで分類している。SAAを正しく詳しく語るなら、この表の分類は覚えないと話にならない
こちらは2017年にサバゲフィールドで撮影したMGOバージョン。MGS3オセロットで普通にサバゲするならMGOバージョンで、というこだわりがある。前ページの写真からは、赤い手袋や腕章を本革製へと改良している
MGS2とMGS3のガンベルトは、ホルスターはメキシカンループやシャイアンと呼ばれる標準的なタイプだ。新川さんから直接教えてもらったデザインのこだわりポイントは、バックルの四隅がHの字を横に寝かせたように角が突出していることと、カートリッジループの両端に少し張り出しがあることだ。そのため真鍮製のバックルも特注の削り出しで作ってもらった
私がいつもサバゲやシューティングで愛用しているヒップベルトとホルスターは、実は試作のベルト1本目と、一緒に作ってもらった同じデザインのホルスターの左用やクロスドロウ用(角度違い)を組み合わせたものだ
MGOを意識してAKの電動ガンも購入。AKはゲームに忠実にするならAK47だが、エアガンのカスタムで知られるAIRSOFT97で外観および実射性能をカスタムしたLCTエアソフト製のAKMが超絶にカッコよかったので、ついAKMにしてしまった(笑)
オセロットのSAAが欲しい!
前置きが長くなってしまったが、本誌は銃の雑誌なのでオセロットが使う銃とガンベルトを話題にしたい。MGSΔで新しくSAAに興味を持ってくれる人も多いだろうからね。つい最近、本誌2025年8月号で「はじめての1挺 2025」 というサブタイトルにて、初めて「SAAのトイガンを買ってみようかな」と思われた方に向けて「最初の1挺にどれを選べばよいか(失敗しないか)」 をアドバイスする記事を書き、続く2025年9月号で「コルトSAAの遊び方」 を書いたが、これらはすべてMGSΔで新しいSAAファンが増えることを想定して書いたものだ。なので、これらの記事もあわせて読んでいただけると嬉しい。
改めての説明も不要だろうが、まずオセロットが使うリボルバーは劇中のセリフにあるとおり「コルト シングルアクションアーミー」(略してSAA)だ。SAAのバレルの長さは数種類あるが、オセロットのSAAはシリーズを通してすべて5-1/2インチだ。なのでトイガンを買うなら、バレル長が5-1/2インチのSAAを選んでいただければよい。MGS3およびMGSΔでは黒いSAAに「ブラックパウダーモデル」と設定があるが、ハッキリ言ってSAAが「ブラックパウダーモデルか、そうでないか」なんて、詳しい人が近くで見なきゃまず分からないし、SAAファンだって正確にブラックパウダーモデルを理解している人(説明できる人)は、日本には極少数しかいない。私がふだんサバゲやファストドロウで一緒に遊んでいる親しい友人・知人でも、たぶん1 〜2人もいないんじゃないか。そもそも本場アメリカの西部劇だって「西部開拓時代のSAAならすべてブラックパウダーモデル」なんて、そこまで時代考証を正確に銃のプロップを手配している作品は皆無に等しいから(プロップガンは大体、スモークレスパウダーモデルのSAAだ)、そこまで気にしなくていいと思う。5-1/2インチバレルのSAAは、今ならタナカのペガサス2ガスガンがイチオシだが、「俺のリロードはレボリューションだ!」からの「チーッ!」をやりたい方は東京マルイのエアコッキング式か、ハートフォードやクラフトアップルワークスのモデルガンをオススメする(ただし「チーッ!」は無茶しないこと)。
もし「いや!私はSAAにもこだわりたい!」という方がいらっしゃったら、この記事にて“こだわった見本”として私同様に深〜い沼にハマっていくこと(大変なお金や労力が必要)を覚悟してください(笑)。
MGS ザ・ツインスネークス版のリボルバー・オセロットのコスプレ(2017年撮影)。メタルギア30周年を祝う友人達で開いたパーティで初披露。私が長年一番やりたかったコスプレだ。ヒップベルトもバンダリアもMGS2&3版とデザインがまったく異なるため(袈裟懸けの向きやスリーピースバックルなど)一式すべてをオーダーメイドで作り直した。ベルトの製作者はハートフォードのオフィシャル革職人でファストドロウシューターの先輩のトミー井浜さんだ。バンダリアの真鍮製バックルは私が根性で削り出した (撮影:Mike Kowalek, ELEVENTHPHOTOGRAPH.COM )
MGS ザ・ツインスネークスでは、憧れのMGS1のリボルバー・オセロットを、何と「私自身でその初登場のガンプレイをリメイクさせていただく」という人生最高の体験をさせてもらった。ちなみにオセロットが腰のSAAを身体の横ではなく正面で吊るのは、新川さんが人気西部劇『クイックアンドデッド』(1995年)の女ガンマンの主人公のシャロン・ストーンのスタイルを参考にされたからだそうだ。実は私もツインスネークスのガンプレイの流れの一部を『クイックアンドデッド』から参考にしているのだ
MGS1では、オセロットは戦闘中に「俺はこの匂いが好きだ。この無煙火薬(コルダイト)の匂いを嗅ぐと興奮する」と呟く。また新川さんのMGS1のオセロットのデザイン画には「SAA」、「シルバー」、「グリップ、木にコルトのメダリオン」と注釈されている。これらから(SAAのメダリオン入りグリップは1910年頃からだ)MGS1でのSAAはスモークレスパウダーモデルになった以降のシルバーモデルと推測できる。写真はハートフォードのモデルガン。ハートフォードのSAAはメーカー公式で3rd.ジェネレーションとされているが、実は形状的には1st.ジェネレーションのスモークレスパウダーモデルに近い
ツインスネークスでのSAAは、やや青みがかったバレルやシリンダーに、フレームがケースハードンの発色で描かれている(いいセンス!)。写真はハートフォードのモデルガンで、フレームのケースハードンの発色を再現した限定カスタム品のゴーストブラックモデル(現在メーカー品切れ)。ツインスネークスではグリップにメダリオンはないのでプレーンな木製グリップを取り付けている
MGS2 タンカー編のリボルバー・オセロットのコスプレ。実は最初に揃えたオセロットの服装はこれだったが、当時はオールバックの白髪のウィッグがまだなくて『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』(以下MGSV)が発売された2014年になってから10年越しでようやくこのコスプレができた。ちなみにMGS2 プラント編のオセロット(ベージュの背広を着用)も、きちんとした写真はまだ撮っていないができるようになっている
オセロットのSAAが欲しいなら東京マルイもオススメだが、劇中のSAAにピタリ一致する仕様では発売されていない。そこで黒いSAAなら5-1/2インチモデル(黒いフルチェッカーのグリップ付き)を、この写真のように4-3/4インチモデルに付いているプレーンなウッド調グリップへと交換する必要がある。MGS1のシルバーのSAAを再現するなら、7-1/2インチカスタムモデルに付いているメダリオン付きのウッド調グリップへ交換だ
MGSVのオセロットのコスプレ(2016年撮影)。これはメタルギアコスプレイヤーの親しい友人(潜友)たちと一緒に、私が当時通っていた静岡県御殿場市の乗馬クラブ(現在はクローズ)で撮影したものだ。MGSVではゲームに登場する銃はすべてオリジナルデザインとなり、オセロットは「トルナード6」という中折れ式のリボルバーを愛用する(新川さんのデザイン画ではSAAで描かれている)。当時トルナード6までの再現は難しかったため、似たような外観のマルシンのマテバリボルバーで代用している (撮影:ZAN 、クワイエット:染屋ウメ)
特撮のロケ地として有名な岩船山にて、潜友たちとコスプレ爆破撮影 を決行。実は私、大の特撮オタクでもあるので(たとえばスーパー戦隊シリーズは『ゴレンジャー』から全作品を欠かさず本放送で視聴)初の特撮の聖地訪問で大感激 (撮影:みぞっち、ヴェノム・スネーク:DAN-す)
MGSVのオセロットのコスプレも妥協なくこだわった。サングラスは、もちろんJ.F.REYで公式に発売されたコラボモデル。トルナード6(マテバ)用のガンベルトは、まずバンダリアがショットシェル用だし、マテバのカートは.357マグナム(.38口径)なのでカートループのサイズもSAAの.45口径では合わないため、やはり一式すべてをオーダーメイドで作り直し。製作者はトミー井浜さん。バンダリアのシェルループの数は劇中どおり18発分で再現。赤いダミーのショットシェルは、私が所持する実銃のショットガンで撃ったクレー射撃用の12番散弾の撃ち空を再利用しているので、これだけはお金が掛かっていない(笑)
MGSVに登場する噂の「アダムスカ・スペシャル」を私の解釈で再現したのがこれ。MGSVのオセロットのコスプレをしていると「こいつはオートマティックだ。反動(リコイル)を逃がす撃ち方には向いてない。リボルバー向きだ」と叱ってほしい、というマザーベース兵士のコスプレイヤーからの要望が多い(笑)。そこで銃は私が用意した。あのムービーシーンでは、よく見るとあの彫刻銃は最後にオセロットが持ち去っているのだ。東京マルイのコルトガバメントマークIVシリーズ'70をベースに井浦先生に最高のエングレーブをお願いした。ホント、どのオセロットもこだわると非常にお金と手間がかかる(笑)。だが、そのこだわりこそがコスプレイヤーにとって作品やキャラへの愛の表れなのだ
『メタルギア』シリーズとファンに感謝!
私は「オセロットの中の人」という事で、たくさんのファンの方から応援してもらっている。実は本誌のライターになったのもMGS3でのお仕事がキッカケだ(先にご紹介した本誌2005年5月号からだ)。まさに『メタルギア』シリーズは私の人生を変えてくれたゲーム。これからもファンの方々と一緒に楽しんでいきたいし、ずっとシリーズを応援していきたい。
この記事は月刊アームズマガジン2025年11月号に掲載されたものです。
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