エアガン

2025/07/05

新 WESTERN魂!:はじめての1挺 2025

 

「最初の1挺にどれを選べばよいか(失敗しないか)」をアドバイス

 

30年以上にわたってファストドロウ、ガンプレイ、サバゲ、カウボーイ A.シューティング、乗馬射撃と国内でできるあらゆるところでウエスタン系のトイガンを遊び倒してきたトルネード吉田が、その豊富な経験からウエスタン初心者へオススメの1挺をご紹介(ロケ撮影協力:ハセハセミリタリー

 

 前回はウエスタン初心者向けに西部劇の入門編をご紹介したが、今回は、そもそも新しく初めて「ウエスタンの銃を買ってみようかな」と思われた方に向けて「最初の1挺にどれを選べばよいか(失敗しないか)」をアドバイスしたい。ウエスタンの場合、日本でトイガン化された銃の種類は多くはないものの、歴史が長いため同じ銃でも各社からたくさんの製品が発売されている。だから「どれを買えばいいか」と迷うのは当然だ。

 

 ここでウエスタン初心者ユーザーとして想定するのは「モデルガンは未経験で、普段はメジャーな現代銃のエアガンで楽しんでいるライトユーザー、もしくはエアガンも未経験の方」で「西部劇に出てくるようなガンアクション、例えばコルトSAAで早撃ち(ガンベルトからの抜き撃ち=ファストドロウ)やファニング(両手を使ってハンマーをあおぐように撃つウエスタンスタイル独特の撃ち方)、ガンプレイ(ガンスピン、回し技)などをちょっとやってみたい」とか「サバゲでウエスタンの銃を使ってみたい」、「自分の部屋でちょっと撃ったり、銃を操作したりして楽しみたい」という方だ。


 最初にズバリ言わせていただくが、私はウエスタンにドハマリして30年以上。昔のビンテージのトイガンは収集していないが、ウエスタンを始めてから、あらゆるウエスタン系のエアガン、モデルガンを実際に手にして試し、使えるものはそれを愛用しガンガンに遊んできた。半端な知識でこの記事を書いている訳ではないので「ここでオススメするものを選んでもらえば、まず失敗はない」と言いたい。

 逆に、私がこれまでに数多く見てきたのが「それはやめた方がいいよ」というのに忠告を聞かずにそれを買ったり、勧めてもいない物を買ったりして、「あの〜、この間買ったコレ、全然使えないんですが…」と相談にくる初心者だ。そういう時の答えはもう決まっていて「あ、ソレもう手の打ちようがないから。可哀そうだけどアキラメてね」だ。

 

 すでにメーカーが廃業してトイガン業界から撤退しているので遠慮なく、具体的な失敗事例として書いてしまうが、例えばハドソン産業のコルトSAAモデルガン。これは早撃ちやガンプレイにはまったく向かない製品なのだ。私も友人達も、どれだけ工夫して作動調整しても、素早くハンマーを起こした時のシリンダーのスキップをなくせなかったし(つまり早撃ち不可)、ガンプレイの練習で床に落とせば、割とすぐにバレルが折れる。当然ながらメーカーがないので修理・パーツ交換もできない。

 だがハドソンのSAAモデルガンは、上手にブルーイングすれば非常に美しく染まるし、SAAの1st.ジェネレーションのブラックパウダーモデルを再現した貴重な樹脂製モデルガンだ。ガンアクションはせずに大事に扱い、このモデルガンの個性を味わい楽しむのであれば、まったく問題はない。だが初心者がガンアクション目当てでこれを買って「使えない」と相談されても、上述の理由で「ゴメン、どうしようもないよ」としか言いようがないのだ。


 このように、同じ“コルトSAAのトイガン”であっても、メーカーや製品が違えば、それぞれはまったくの別物だ。「SAAなら、どれ買っても同じ」ではないのだ。だからハドソンSAAの例で説明したとおり、その製品が持つ特性が自分の楽しみ方や使い道に合っているかをよく確認せずに、例えば、ただ「値段が安いから」という理由だけで買うのは止めたほうがいい。いわゆる「安物買いの銭失い」になりがちだ。予算がないなら、それこそすぐ目の前の安物に飛びつくのではなく、頑張ってお金をためて“本当に良い物”を買うほうが絶対に良い。結果的に、そのほうが無駄な出費をしなくてすむ。

 

 なぜ、このようなことを書くのかというと、それはウエスタンの銃を初めて買った方に「買ってよかった!ウエスタンの銃って楽しいな!また次も買ってみよう」と喜んでほしいからであって、初めての買い物で失敗して「なーんだ、ウエスタンの銃って試しに買ってみたけどガッカリだね。もういいや」とはならないでほしいからだ。だから、この後の紹介を読んで「そこはどうなの?」と疑問に思われても、ここで書いたとおりに銃を選択すれば、まず間違いはないので、私が勧めるとおりに買うべき製品を素直に選択していただくことを強く推奨する。何だかちょっと強引な書き方だが、それが幸せへの一番の近道だ。

 

 

初めての1挺は現行製品の新品を買おう

 

 具体的なオススメ製品をご紹介する前に、もうひとつアドバイス。それは“メーカーが生産中止にしていない現行の製品”を“新品”で買うことだ。これはつまり「メーカーのサポートが受けられる」ということだ。これはウエスタンの銃に限った話ではないが、初心者にとって非常に大事なポイントだ。


 ウエスタンのトイガンをあちこちで探せば、例えば中古等で非常に安く売っている場合があるかもしれない。しかし、それが現行の製品でない場合、壊れた場合にスペアパーツがすでに販売されておらず、修理ができないかもしれない。また中古の場合、「買ってみたら実は内部に不具合があって正常に作動しなかった」というのも珍しい話ではない。初心者が自分で銃を修理するのは、まず無理だろう。


 例えばタナカのコルトSAAペガサス式ガスガンの場合、最初に発売されたのがシリンダー固定式の初期型で、次に簡単にシリンダーを着脱できる「デタッチャブル・シリンダー」へモデルチェンジされ、現在は最新型で超絶高性能の「ペガサス2」へと進化している。同じ“タナカのペガサスSAA”でもまったく異なる3種類の製品があるのだ。

 私の場合、初期型が新発売された直後からペガサスSAAを愛用し、初期型の数挺は今も大事に愛用している。だが初期型だけにあったパーツはすでにメーカーに在庫はないため、自宅に主要なパーツのスペアと、部品取り用の予備銃を数挺、ストックしている。私はこの方法で旧製品を今も安心して使っているが、こういうスペア確保の方法が初心者向きかというと、決してそうではないはずだ。


 素直に現行の製品を買って、壊れたり不具合が出たりしたらメーカーやショップへ修理を依頼できるほうが初心者には安心だし、絶対によい。それにタナカのペガサスSAAのように、後から出た製品の方が、改良が施されていて、性能がさらに良くなっている場合もある。

 

 

初心者向けとしての選定基準

 

 これから私がウエスタン初心者に向けて選んだ銃をいくつかご紹介するが、先に「何を基準に選んだか」も書いておこう。

 

  • 法令違反のおそれのない安全なもの(当然だが)
  • 買ってきて箱から出して(箱出し)で、何も手を加えなくてもきちんと動く
  • エアガンであれば命中精度が高く、実射性能がきちんとしている(弾があさっての方向へ飛んでいかない、飛距離があまりないようなショボい弾道ではない)
  • モデルガンであれば快調発火
  • 普通に使ったくらいでは壊れない
  • メーカーの現行製品
  • メーカーのサポートが充実、もしくはトラブルを解決する方法がウエスタンファンの間で広く知られている
  • ハンドガンであれば一般流通で市販の専用ホルスターがある


これらをほぼすべて満たしていると思われる製品だけを選んでいる。


 それとウエスタン系の銃といえば、代表的なのは、やはりコルト シングルアクション アーミー(SAA)とウインチェスターのレバーアクションライフルだ。やはり王道として、この2つの銃を選ぶこととする。まずはSAAからだ。

 

タナカの歴代のペガサスSAA。写真上からシリンダー固定式の初期型の1st.ジェネレーションのヘビーウエイトガスガン。「デタッチャブル・シリンダー」のスチールフィニッシュモデル。下が現行の最新型「ペガサス2」
 ややこしい話だがタナカのペガサスSAAの製品バリエーションを正確にご紹介すると、シリンダー固定式の初期型には2nd.ジェネレーションと1st.ジェネレーション、ビズリーモデルの3種類があり、2nd.ジェネレーションのモデルがデタッチャブル・シリンダーへ、ペガサス2へと発展した。さらに2nd.と1st.にはモデルガン版もあった。それぞれ見た目は同じだが内部は異なる。2nd.のシリーズの一部パーツに互換性がある

 

コルトSAAの基本バリエーション

 

 実銃のSAAのスタンダードなバレル長は3種類ある。SAAのオリジナルのバレル長であり一番長いのが7-1/2インチ、これは日本のトイガン業界では昔から「キャバルリー」の愛称で親しまれている。その次に長いのは大人気テレビゲーム『メタルギアソリッド』シリーズのリボルバー・オセロットの愛銃として有名で、マカロニウエスタンによく出てくる5-1/2インチ、日本だけの愛称では「アーティラリー」。ファストドロウ(抜き撃ち)に最適な4-3/4インチ、通称「シビリアン」。各トイガンメーカーのSAAのバレルバリエーションは基本、この3種だ。

 この「シビリアン」、「アーティラリー」(古くはフロンティア)、「キャバルリー」は日本ではSAAのバレル長を表す言葉として知られているが、本国アメリカではバレル長は単に数値(インチ)で呼ばれており、実は、これらは意味のまったく異なる別の銃器コレクター向けの専門用語なのだ(簡単に説明できないので、説明は省略)。だから初心者が無理にこの“何だか意味の分からない用語”を覚える必要はまったくないのでご安心いただきたい。バレル長は数値で呼ぶので大丈夫。ベテランユーザーは略して「シビ」、「キャバ」、「アーティ」などと呼んだりもするが。なお、私が書く記事ではトイガンの商品名を除き、誰にも分かりやすく数値の表記で統一している(これらの呼び名を商品名に使っていないメーカーもある)。

 

 

筆頭でオススメする製品はコレ!

 

 

 東京マルイ 
エアーリボルバー プロSAA .45シリーズ

 

 私がまずオススメするのは、東京マルイの「シビリアン4-3/4インチ」と「アーティラリー5-1/2インチ」だ。何といってもお値段が安い。SAAトイガンの最安値の価格帯だ。「キャバルリー7-1/2インチカスタム」もあるが、こちらはお値段が少し高くなっている。予算があるなら、もちろんこれもオススメ。


 東京マルイ SAA.45は対象年齢10歳以上用、いわゆる10禁だ。エアガンそのものを初めて買う人にも10禁パワーなら安心して遊んでいただける。オススメする理由としては、まず10禁パワーだが命中精度が最高で、狙ったところへバシバシ当たる極めて高い実射性能だ。リボルバー式エアガンの場合、構造上の理由から、実はBB弾をまっすぐ飛ばすのは極めて難しいことなのだ。ライブカート式なので実銃と同じような装填、排莢の操作も楽しめる。もちろん箱出しで激しい早撃ちやファニングにも対応する高い作動性能を備えている。エアコッキング式なのでパワーソースも不要でコスパも最高だ。

 .45ロングコルトをよく再現しているカートはリアルサイズなので、現在一般に流通しているSAA用ガンベルトのカートリッジループに適合する。つまり西部劇のガンマンみたいにスペアの弾をガンベルトに挿して携帯し、そこから弾を取り出して銃へ装填することも楽しめる。実はここ、意外な盲点で気付かない人が多いが、カートがリアルサイズではなく細めのものだと、ガンベルトのカートループに挿そうとしてもスッポ抜けて使えない場合があるのだ。シリンダーの、いわゆる“チーッ”という回す操作も楽しめる(ただし無茶はしないこと)。

 東京マルイ SAA.45は10禁パワーなので、屋外で使うなら射程は短めになってしまうが、インドアやCQBフィールドなら問題はない(というか、かえって安全)。私は今のところ計8挺を所有、使って文句なし。エアガンとしてのSAAの魅力がたっぷり詰まっているうえに、現在最も安価なSAAトイガンなので、最初に買っていただく1挺には最適だ。

 

シビリアン 4-3/4インチブラック

 

アーティラリー 5-1/2インチシルバー

 

価格■
 シビリアン 4-3/4インチ ブラック/シルバー  ¥15,180
 アーティラリー 5-1/2インチ ブラック/シルバー ¥14,080
 キャバルリー 7-1/2インチ カスタム  ¥21,780

 

 

サバゲやシューティングで熱く戦いたい人はコレ!

 

 

 タナカ 
PEGASASⅡガスガンシリーズ

Colt Single Action Army 2nd. Generation

 

 タナカのSAAペガサス2は、命中精度、飛距離、外観、内部構造のリアルさ、耐久性、操作感、重量感など、すべてが最高だ。私は現在20挺のペガサス2を所有(内4挺は予備銃=保存用だが)。過去のペガサスSAAと比べても性能が桁違いに優れているので、現在、私は所有する旧型のペガサスSAAを順次ペガサス2へと移行している最中だ(数挺は旧型を残す予定)。

 ハンマーやトリガー、ボルト等の主要メカは実銃とほぼ同じなので、ハンマーを起こしたりする時の操作の感触は実銃にかなり近く、実銃(というよりモデルガン)と同じ作動のチューンも楽しめる。ガスタンクはシリンダーに内蔵、グリップ部分も実物とほぼ同じ構造のため、グリップ交換によるドレスアップも気軽に楽しめる。メーカーからウエイト入りの木製グリップが別売されており、サードパーティ製のグリップも多く、また実銃のグリップを取り付けることも可能だ。


 ペガサスはケースレス式なのでカートを装填する操作こそできないが、ペガサス2は代わりに6発より多い弾数を連射することもできる。インナーマガジンにより自動給弾で15連射できるうえ、エジェクターチューブのサブマガジンへ10発を追加格納でき、15発を撃ち終えたらその10発を一瞬でインナーマガジンへリロードできる機構を備えている。私はSAAに6発より多くのBB弾は込めないが(代わりに携帯するSAAを2挺、3挺、4挺と増やす)多くのユーザーにとっては、これは便利だ。お値段は少し高めだが、それに見合うというか、それを超える性能や満足感がこの銃にはある。


 ハッキリ言って「ペガサス2を買わない理由はない」と言いたい。「予算的に買えない」はあっても。ホント、この銃を選択肢から外す人の心理がまったく分からないのだが、しいて言えば、「ペガサス2は完成されすぎて、逆に手を加えるところがなくて物足りない」というユーザーもいなくはない。だが、これは初心者の意見ではないので、初心者は無視してよい。


 「リボルバーを買うなら、やっぱりカート式の方が雰囲気あっていい」という人も、特にサバゲーマーにいる。そういう方は東京マルイや、ぜひモデルガンを(も)買ってください。モデルガンは、弾を発射する以外の実銃の雰囲気を味わうために存在するものなので、雰囲気を味わうならモデルガンのほうがエアガンの比じゃない。それと、ちょっと考えて気付いてほしいのだが「ゲーム中にカートで装填できるほうがリアル」という訳ではないぞ。おそらく誰もが撃ち終わった空カートをダンプポーチとか袋で回収するだろうが、実際の撃ち合いでは「リボルバーの空薬莢はその場に捨てる」のですよ。ここでセコセコ空カートをしまっていてはホント雰囲気ブチ壊し。

 ご参考までに、私は実銃の雰囲気を楽しみたい派だ。だから例えばハンドガンオンリー戦などで、たまに1911オートやベレッタ92Fを気分転換で使うこともあるのだが、基本的にハンドガンはすべてリアルカウントで実銃の装弾数以上のBB弾は込めない。そして最前線での進撃中に撃ち合いが白熱すると、その時のリロードでは「空マガジンはその場に捨てる!」。そしてかまわず突撃を決行っ!!地面に転がった空マガジンはゲームが終わった後に回収だ(多くの場合、親切な参加者が拾ってくれる。感謝)。もちろんマガジンは少々傷つくが、そういう覚悟でやっている。「カート式SAAじゃなきゃイヤだ」という人も、雰囲気に本当にこだわるなら私と同様にしてほしいが、そこまで覚悟できる人は、もう初心者じゃないよね。


 話をペガサス2へ戻すが、もし予算があるなら、個人的には最新のシルバーモデルがオススメ。ほんのわずかだが小改良が施され、作動がよりスムーズになっているのだ。とにかくペガサス2なら(あまりガチになり過ぎないゲームであれば)現代銃を相手に撃ち合っても互角に戦えるので、サバゲーマーには「これ一択」だ。また、ファストドロウ全国大会のエアガン種目にSAAで出場しているシューターの99.9%以上がタナカのペガサスSAAを愛用していることも付記しておく。

 

4-3/4インチ ABSニッケル・フィニッシュ

 

5-1/2インチ ABSニッケル・フィニッシュ

 

価格■
 4-3/4インチブラック(ABS) ¥36,080
 5-1/2インチブラック(ABS) ¥37,180
 7-1/2インチブラック(ABS) ¥38,280
 4-3/4インチブラックヘビーウエイト ¥41,580
 5-1/2インチブラックヘビーウエイト ¥42,680
 7-1/2インチブラックヘビーウエイト ¥43,780
 4-3/4インチABSニッケル・フィニッシュ ¥43,780
 5-1/2インチABSニッケル・フィニッシュ ¥44,880
 7-1/2インチABSニッケル・フィニッシュ ¥45,980

 

 

 

SAAのオススメモデルガン

 

 まず「モデルガン」という物について。モデルガンは弾こそ発射できないが、キャップ火薬を使って迫力の発火を楽しめる物だ。構造はエアガンよりもリアルなため、実銃の雰囲気を楽しむならモデルガンのほうが圧倒的に向いている。ファストドロウを本格的に始めたい方は、大会ではモデルガンとエアガンの両方を使うので、いずれはどちらも持たねばならない。また「銃は撃たずに飾っておきたい」という方にもモデルガンの方が適している。


 ガンプレイの練習をしたい方はモデルガンを選ぶべきだ。そもそも銃を回したり投げたりするのはガンセーフティに反する行為なので、やはり弾の出ないモデルガンで練習していただきたい。加えてガンプレイの練習には銃の落下はつきものだが、エアガンで床に落とした場合、破損までいかなくても命中精度に悪影響を及ぼすので、このような観点からもエアガンでのガンプレイの練習はやめたほうがよい。

 

 それとSAAだけに限らず、他のトイガン全般にも言えることだが「トイガンが壊れるのは、ある程度は仕方ない」と思っていただきたい。なぜなら日本は原則、銃の所持は禁止の国だ(特に拳銃)。そこを“オモチャ”ということで所持できるのがモデルガン、エアガンなのだが、それは「壊れやすいからこそ安全」とみなされて、その存在(所持・使用)を例外的に認めてもらっている物なのだ(特に構造が実銃に近いモデルガンは)。

 だから、ちょっと悲しいことではあるが、耐久性が高くない素材を使い“わざと壊れるように”作られているのだ。だから「壊れない」というトイガンはそもそも存在せず、「ある程度は壊れるもの」、「壊れたら素直に修理、パーツ交換」というご認識で楽しんでいただきたいのだ(ユーザーが手を加えて「壊れにくく」することはできる)。そんな訳で、ガンプレイをマスターしたいなら、練習でSAAモデルガンを数挺は壊す覚悟は必要だ(上達すれば落とす頻度は減る)。

 

 

SAAの戦後モデルを再現したモデルガンで史上最高の完成度

 

 クラフトアップルワークス(CAW)
Colt Single Action Army 2nd. Generation

 

 「とにかくリアルなSAAが欲しい!」という方にはCAWのSAAがオススメだ。SAAの2nd.ジェネレーションのモデルガンとしては最新の設計であり「史上最高のSAAモデルガン」を目指して設計されたため、本当に出来がよい。外観、内部構造のリアルさ、作動、耐久性、操作感、重量感、発火の迫力など、すべてにおいて素晴らしく「これを超えるSAAモデルガンは、もう出ないのでは」と思えるほどの完成度だ。

 シルバーモデル(ニッケルメッキモデル)は過去一度きりの生産だったが、現行品はヘビーウエイト樹脂製なので、上手にブルーイングすれば、実銃と見まがうばかりの最高にリアルなSAAモデルガンとなる。「完璧なSAAモデルガン!」と思えるほどだが、なぜか再生産される機会が少ないのが実にもったいない。どうも数年のスパンで再生産されるようで「いつでも買える」という訳ではない。


 取り扱いに注意点がある。ハンマーとトリガーの咬み合わせが実銃どおりキッチリ再現されているため、早撃ちをミスると、すなわち早撃ちでハンマーを起こし損ない、ハンマーを起こしきらないうちにハーフコックの状態で勢いにまかせて無理やりトリガーを引き切ると、運が悪ければ1発でトリガーあるいはハンマーのシアを折ってしまう。これはCAW製SAAモデルガンの欠点という訳ではなく、実銃も同様だ。加えて上述の理由からメーカーにスペアパーツが常時、在庫されている訳ではないようで、壊れた場合、タイミングによってはスペアパーツの入手を次の生産まで待たねばならず、修理できないことがある。本来はこれこそが“初心者に真にオススメしたい1挺”なのだが、サポートに不安があるのは否めない。

 ちなみに私のCAW製SAAは使い込むことによる消耗・破損が想定されるパーツすべてに手を加えて(例えば亜鉛合金製のシリンダーハンドは、ハートフォードSAAの金属板のハンドへ交換など)もう“まず壊れない状態”にしてあるため、買って久しいが今まで一度も修理をしたことがない。そのためメーカーへ久しくパーツを注文したことがなく、現在のサポートの状況は分からない。こういうところだけ留意してご購入いただければと思う。

 

実銃のコルトSAAは銃器コレクターによって、その製造時期(正確にはシリアルナンバー)により“世代” (ジェネレーション)で分類されている。第二次世界大戦(WWⅡ)前に造られたもの(1873年〜1940年)を戦前モデル、またはファーストジェネレーションと呼び、グリップ形状が変わった形をしているビズリーモデルも正確にはこれに含まれる。戦後モデルではセカンドジェネレーション(1955年〜1975年)、サードジェネレーション(1976年〜1993年)、4thジェネレーション(1993年〜現在)に分けられる。あわせて初期の黒色火薬の時代のもの(〜1900年)をブラックパウダーモデル、無煙火薬に対応したもの(1900年以降)をスモークレスパウダーモデルとも呼ぶ。それぞれ改良や仕様変更などのマイナーチェンジによって、細部が微妙に異なるのだ

 

価格■ 4-3/4インチ、5-1/2インチ、7-1/2インチともに¥32,780

 

 

ウエスタンファンに圧倒的に支持されるSAAモデルガン

 

 ハートフォード(HWS)
Colt Single Action Army .45

 

 おそらくSAAトイガンで、日本で最も広く愛用され、数多く製造されているのがハートフォードのSAAだ。まさにウエスタン系トイガンの大定番であり、代名詞といってもいい存在。ファストドロウ全国大会のモデルガン種目にSAAで出場しているシューターの99.5%以上がハートフォードのSAAを愛用。私も、撃たずに自室で握ってニヤニヤするための観賞用も含めて、計40挺を長く愛用している。

 このモデルガンのルーツは、今はなき東京CMCだ。それ以前の金属製モデルガンのSAAを経て1977年に発売されたもので(正確な情報は古すぎて私にも分からない)CMCが倒産した後、ハートフォードが金型を引き継ぎ、1994年4月にリメイク新発売。その後も一部改良を続けながら生産を続けて今に至る。CMC新発売当時は最もリアルだったが、何せ基本設計が48年前であるため、現在のトイガンの基準からすると外観がやや見劣りするのは事実で、「箱出しで激しいガンアクションにすべて対応」とまではいかず、ある程度の調整は必要だ。昔は作動をユーザーが調整して快調にするのもモデルガンの楽しみ方のひとつだったのだ。


 だが人気モデルガンであることには依然、変わりなく、チューンナップの方法はすでにSAAファンの間に広く知れ渡っているし、メーカーのサポートも充実しているため、製品の問題点にはならず、撃ったりガンプレイの練習をしたりとアクティブに楽しみたい方には、やはりハートフォードのSAAが最適となる。

 模型工作用の棒ヤスリでちょっとパーツを削ったり、耐水ペーパーでパーツを磨いたりできるのであれば(簡単なプラモデル製作技術があれば)ハートフォードSAAとの相性はまったく問題ないどころか、むしろ組み立てキットモデルで少し安く購入できるうえに、作る楽しみも増えてよいことばかりだ。もちろん調整次第で激しいガンアクションにも完璧に対応するようにもできる。「私は工作や加工はちょっと苦手で」というユーザーには「ノンスキップド シリンダー」(¥5,500)というファストドロウ用のパーツも発売されているので、オプションパーツへの交換だけでも激しいアクションに、ある程度まで対応できる。ハートフォードSAAのチューンナップ方法は近々、本連載でご紹介したいと考えている。


 製品バリエーションが多彩であるのもハートフォードSAAの特徴だ。ファストドロウをやりたい方には、箱出しでファストドロウに対応できるFDC(ファストドロウカスタム)がオススメだ(ただし全国大会で上位争いをするシューターのレベルになると作動のチューンは必須)。

 他にはガンプレイで技が映えるオールシルバーモデルや、バレル長が12インチもある“バントライン スペシャル”に、真鍮製のグリップフレーム(トリガーガード&バックストラップ)を搭載した“マカロニバージョン”や、実銃の色合いをリアルに再現したケースハードンカスタムやエイジドフィニッシュなど、HWS東京店限定カスタムも含め、数えきれないほどの種類がリリースされているのでコレクションも楽しい(ただし多くは現在メーカー品切れ)。きっとお気に入りの1挺がみつかるだろう。

 

SAAアーティラリー HW組立キット

 

FDCベーシックキット(写真はキット状態と、キットを組み立てた完成サンプルです)

 

価格■

 SAAシビリアンHW 組立キット ¥19,910
 SAAアーティラリー HW 組立キット ¥20,900
 FDCベーシックキット ¥23,650

 

 

コルトSAA用のガンベルト

 

 SAAは基本、ガンベルトとセットで遊ぶものだ。だが本革製のガンベルトは既製品でも値段が高い。そこで私がアームズマガジンプロダクツとして企画したSAA用で早撃ち対応のナイロン製廉価版ホルスターの“ネオ・カウボーイ”と、その本革版の“ネオ・カウボーイ レザー”をオススメしたい。これらはアームズマガジンの直販サイトや全国のトイガン&ミリタリーショップで購入できる。自画自賛で恐縮だが、ハッキリ言って文句なしにかなり使いやすく、もちろん私自身も愛用している。まずはSAAとセットでこちらをご購入いただければ、まず間違いはない。

 

ネオ・カウボーイ

 

ネオ・カウボーイ レザー

 

ネオ・カウボーイ レザーベルト

 

価格■

 ネオ・カウボーイ(ナイロン製) ¥4,730
 ネオ・カウボーイ レザー ブラウン/ブラック ¥17,600
 ネオ・カウボーイ レザーベルト ブラウン/ブラック ¥9,900
※ホルスターは全て右用、左用あり

 

 

ウエスタン系ライフルのオススメエアガン

 

 

 次はウエスタン系の長物、ライフルだ。残念ながらウエスタン系トイガンの長物は種類が少なく、限られた銃しか入手できない。今回はウインチェスターのレバーアクションライフルで初心者にオススメの銃をご紹介する。


 ウインチェスターのレバーアクションのトイガンは、製品バリエーションとして日本では次の3種類でラインアップされる。まずオリジナルの長さ(フルサイズ)のライフルに、馬上で使うためバレルを短くするなど取り回しをよくしたカービン(騎兵銃)がある。加えてバレルとストックを限界まで切り詰めてハンドガンタイプにした日本では通称「ランダル カスタム」と呼ばれる銃がある。レバーアクションなので、ただトリガーを引くだけでは連射はできず、1発ごとにレバーを開いて閉じる操作が必要だ。だがレバーアクションは、そこが楽しく魅力なのだ。

 

 

高い命中精度と安定性で信頼性ピカイチ!

 

 K.T.W. 
ウインチェスターM187 3

 

 私の圧倒的オススメのウインチェスターは、KTWのエアコッキング式のM1873だ。抜群の命中精度とパワーと安定性を誇る。構造的にレバーアクションとエアコッキング式は相性がよく、サバゲでは“素早く連射できるスナイパーライフル”のような使い方ができる。私はライフル4挺(内1挺は保存用)、カービン2挺(といっても1挺は十数年使いまくって全体的にガタが出たため引退)を所有、それぞれいろいろなカスタマイズを加えた上で計4挺を使い分けている。

 パワーバッチリのエアコッキング式なのでレバーを起こすのに初心者は「ふんぬぅ!」と力と気合いが要るが、私はレバー操作に熟達してしまったのでまったくスムーズ。手に痛みも感じない。要は慣れだ。もしレバーが固くて手が痛い場合は、多くの革職人さんが革製のレバーのカバーを作って販売しているので、これを入手すると良いだろう。


 初めて買うならお値段が少し高くなってしまうが、ライフルをオススメしたい。その理由としてカービンよりレバーが少し軽いこと、可変ホップの調整操作が簡単なこと、狙ったところへドンピシャでBB弾が飛んでいくことなどが挙げられる(カービンはほんのわずか狙ったところより上に飛ぶ。サバゲではまったく問題ないレベルだが)。

 あわせてカービンのストックは樹脂製だが、後々別売りの木製ストック(¥22,880)に交換した場合、合計が¥68,860となり、結局、ライフルと総額はあまり変わらないのだ。そしてサバゲでは長くて一際目立つライフルを持っていると「うわー、その銃、めちゃくちゃカッコイイですね!」と声を掛けられることも多い(優越感)。ということで「はじめからライフルを買う」という選択は大いにアリなのだ。

 

M1873カービン

 

M1873ライフル

 

価格■

 M1873ライフル ¥74,800(木製ストック標準装備)
 M1873カービン ¥45,980(樹脂製ストック)
 M1873ランダル ¥38,280(樹脂製ストック)

 

 

快適操作と高い命中率、リアルさが魅力

 

 マルシン 
ウインチェスターM1892

 

 マルシンのウインチェスターM1892も、かなり出来がよい。私は仕上げ違いのカービン2挺にランダルを1挺、それと近代化カスタムの“ラプターゼロ”の計4挺を愛用している。命中精度、外観、メカの再現度、扱いやすさなど、どれをとっても素晴らしい。

 最大の長所は、やはりガスガンなのでレバーのコッキングが軽いことだ。このマルシンのM1892こそ、“初心者に真にオススメしたい1挺”なのだが、唯一の難点はガス漏れ故障しやすいことだ。通常はガス漏れしたらメーカー修理となる。私の場合、実はマルシンM1892のガスタンク周りの構造を完全に改修して、もうガス漏れしない対策を考え出した優秀な後輩がいて、私の愛銃はすべてその改修を受けているのでガス漏れの心配はないのだ。この改修方法は、いずれ本連載でご紹介したいと考えているが、現状としてこの難点だけが理由で、すべての初心者へオススメしにくいのが正直なところだ。

 

 

価格■

 M1873ライフル ¥74,800(木製ストック標準装備)
 M1873カービン ¥45,980(樹脂製ストック)
 M1873ランダル ¥38,280(樹脂製ストック)

 

 

ウエスタン系ライフルのオススメモデルガン

 

 次はウインチェスターのモデルガンだ。すでにウエスタン系の長物のモデルガンはすべてメーカー倒産によりどれも絶版となって久しいため、写真は載せずに紹介するが、初心者にオススメなのはMGC /新日本模型のM1873だ。1968年頃に新発売された製品のため設計が古く、外観も内部メカも現在のトイガンの基準からすると見劣りするが、作動は快調。長く生産されていたため、今でも程度の良い中古が比較的安い値段で手に入る。およそ3万〜4万円台が相場だ。

 だが銃本体以上にカートが入手困難。中古の程度がよいかどうかは、グリップ周りの劣化状態を見れば、ある程度は判断できる。手汗によって亜鉛合金の表面が酸化して白っぽくなっていれば、その銃は「それなりに使い込まれた個体」だ。また作動は快調だが、調子よくカートを排莢させるためには発火もしくは空撃ちをしなければならず(そうしないとエキストラクターというカギ爪のパーツがカートのリムに引っかからず、排莢しない場合がある)調子にのって空撃ちを繰り返しているとボルトやエキストラクターが折れてしまうのだ。これらのスペアパーツの入手も難しく、パーツ単体の中古やデッドストックが5千〜1万円とか信じられないほどの高値で取り引きされているのが現状だ。だから、むやみに空撃ちはしない方がいい。

 

※ 金属製モデルガンを中古で購入する場合は、必ず「SMG」刻印の物か確認してください。「SMG」刻印のない古い金属製モデルガンを購入すると法令違反となりますので注意です。

 

 

他人と違う銃が欲しい人は

 

 ウエスタン界隈、やはりSAAとウインチェスターが定番のため、これらを使うユーザーが多いが「自分は他人とはちょっと違うものが欲しい」というご希望をお持ちの方であれば、次をオススメする。


 エアガンのハンドガンなら東京マルイM1851 NAVYだ。同社製SAA同様、10禁のエアコッキング式で命中精度は最高。外観、メカ、ギミックも非常に素晴らしいので、これも買って間違いはない。だが今のところ全国のトイガン&ミリタリーショップで購入できる市販の専用のホルスター(ガンベルト)がない。そのためホルスターが欲しければ個人でホルスターを製作・販売している革職人さんから購入するしかないので、この点だけご留意いただきたい。


 他に長物のエアガンでは、ライブシェル式のガスガンとなるがS&TのウインチェスターM1887レバーアクションショットガンが、調子がよくてオススメだ。
 モデルガンでは、ハートフォードのコルト1877ライトニングだ。快調発火が特徴で、製品バリエーションも多く、市販のホルスターではネオ・カウボーイ レザーが適合する。

 

東京マルイ エアーリボルバー プロ M1851 NAVY(¥27,280)

 

S&T ウィンチェスターM1887レバーアクション ガスショットガンリアルウッドBK(¥36,080)

 

 

まとめ

 

 かなり長文になってしまったが、上記の製品を選んでいただければ(一部条件付きあり)きっと「買って良かった!!」と思っていただけるはず。それがお気に入りの1挺となって「次は…」と思っていただければ、私としては非常に嬉しい。一緒にウエスタンを楽しみましょう!!

 

 

TEXT:トルネード吉田

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年8月号に掲載されたものです。

 

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