2025/02/28
新WESTERN魂!「祝! 東京マルイ M1851 NAVY新発売」
祝!東京マルイ M1851 NAVY新発売
トルネード吉田のウエスタン連載が月刊アームズマガジン2025年4月号よりGun Professionals誌からアームズマガジンへ移ってリニューアル!! ウエスタンにまつわる楽しい話題を幅広く、時に深く読者の皆さんへお届けするぞ。

今回は2025年1月23日に新発売された東京マルイ“エアーリボルバー プロ”シリーズのM1851 NAVYを話題にしよう。
既に本誌でも新製品レポートとして東京マルイのM1851 NAVYは紹介済みなので、製品そのものの詳しい説明はそちらをご覧いただくとして、正直、私も東京マルイがこんな175年も前のオールドファッションなリボルバーを最新技術満載のエアガンで製品化してくれるとはまったくの予想外だった。だから2024年11月に開催された「東京マルイFESTIVAL2024 in ベルサール秋葉原」で発表された時は本当に驚くと同時に、飛び上がって喜んだ!!
きっと前作の“エアーリボルバーPRO”シリーズのSAA.45が大人気商品となったから、東京マルイも「次はM1851 NAVYを」となったのだろうが、こうなりゃM1851 NAVYを全力全開で応援して売り上げを伸ばしてもらい、次のウエスタン系エアガンの新製品を期待したい!!とウエスタンファンとしては当然ながら思うのだ。だから皆さんがM1851 NAVYをより楽しめる情報を書きたい。

Colt Model 1851 Navy ってどんな銃?
コルト1851ネービーと言えば、日本でも昔からモデルガンで発売されており、ウエスタンファンにとっては有名な人気銃だが、今の多くのエアガンユーザーは弾の飛ばないモデルガンを買ったことがない・知らない人がほとんどだろうし、ハンドガンはオートマチック式が主流の現在では“リボルバー”という作動方式のハンドガンすらエアガンでも手にしたことがない、なんて人も多いだろう。
そんな方々にとって東京マルイのM1851 NAVYは“異世界から来た異形の銃”のように、かえって新鮮に思えただろう。スラリと細長いシルエットに、シリンダーには何やら彫刻までも入っている。やたら長い銃身の下には意味不明なレバーが付いているし、シリンダーの上部にフレームのストラップはなく、グリップは木製で丸っこい。シングルアクションなので撃つにはいちいちハンマーを起こさなきゃいけないし、何とリボルバーなのに元々カートリッジがないという斬新(?)さ。エアガンでは当に唯一無二、こんな独特の存在感に類似するエアガンはきっと見たことがないだろう。だからいちから詳しく説明しなきゃならないと思うのだ。


ハッキリ言って、銃が最も劇的な進化を遂げた19世紀(1800年代)の銃は、現代の銃の知識の常識がまったく通用しないのですよ。何たってわずか100年足らずで、ハンドガンで言えば銃口から火薬と弾丸を別々に込め、火打ち石で点火する(フリントロック式)先込め式の単発銃から、回転弾倉式(リボルバー)を経て初期のオートマチック式にまで進化したのだから。実銃のコルト1851ネービーはそんな過渡期のど真ん中に登場し、当時は時代の最先端をいく最新型の連発ピストルだったのだ。
1851ネービー(’51ネービーとも呼ばれる)は1850年に製造開始されたが、この頃はピンファイアやリムファイアといった初期のメタルカートリッジ(金属薬莢)が発明されたばかりで、まだ普及していなかった。ただし火薬と弾頭を紙で包んでひとまとめにしたペーパーカートリッジは既にあった(51ネービーでもこれは使える)。そのため51ネービーも回転式の弾倉(シリンダー)を持つものの、1発1発、火薬と弾を別々に込める必要があった。火薬は今の無煙火薬となる前の黒色火薬だ。撃てば銃口からドバーッ!!と大量のガンスモーク(煙)がド派手に吹き出す(その割にパワーは弱い)。シリンダー内の火薬の点火には、現代のセンターファイアカートリッジにおけるプライマー(雷管)に相当する点火用の火薬を詰めた銅製の小さなキャップ(パーカッションキャップ)が使われた。そのため、この発火方式を“パーカッション式”、あるいは“キャップ&ボール式”などと呼ぶ。


トリガーを引くだけでハンマーが起きて連射できるダブルアクション機構(当時は“セルフコッキング”式とも呼ばれた)については、19世紀前半は、まだダブルアクションの銃は少なく(回転する複数の銃身を持つ“ペッパーボックス”というピストルがあったくらい)、世界で初めて成功したダブルアクションリボルバーとして知られるのは、ちょうど51ネービーが発売されたばかりの頃(1851年)にイギリスで造られたパーカッション式のアダムスリボルバーだ。ただし、この初期のアダムスはダブルアクションオンリーで、現代のリボルバーのようにシングルとダブルを両方で使い分けることはできなかった。
そのため当時は「シングルアクションとダブルアクションのどちらが優れているか」が比較されたのだ。コルトのパーカッション式リボルバーではすべてシングルアクションを採用。ダブルアクションの銃は連射性に優れるが、トリガーが重く、かつトリガーを引く距離が長いため、狙いがブレてしまう。その点、命中精度という点においてはシングルアクションのほうが圧倒的に有利だった。どの銃もいったん、弾切れすると簡単にリロードはできなかったら、1発1発がとても大事だった。そのためコルトの創始者であるサミュエル・コルトは「ダブルアクションの銃は造ってはならない」と命じたそうだ。


ダブルアクションができない代わりにコルトリボルバーのシングルアクションでは、トリガーを引いたままハンマーを操作するだけで連射することができた。これによって西部劇でよく見る“ファニング”という、銃を握る手と反対の手を使って団扇をあおぐようにハンマーを起こしてリリースする撃ち方ができる。ただし、このファニングは撃つ時にサイトが使えない上に、銃がブレるため標的に命中させるのが非常に難しく、実際の撃ち合いで使われることはほとんどない。実は、ファニングは射撃のデモンストレーションや西部劇だけで使われるエンターテインメントな撃ち方なのだ。
51ネービーの銃身はバレルウエッジ(くさび)と呼ばれるパーツを引き抜くことで簡単にフレームと分離することができた。これを活かして装填済のスペアのシリンダーを用意すれば、素早いリロードが可能だが、実はこれもハリウッドの西部劇映画で登場したリロードのテクニックなのだ(それは1985年製作の『ペイルライダー』からだ)。


マルイM1851 NAVYは「買い!」だ
実際に東京マルイのM1851 NAVYを手に取ると、本当に良く出来ていると実感する。エアコッキング式では避けられない外観のデフォルメも最小限で(グリップ部分がわずかに大きい)、実銃をかなり忠実に再現している。トイガンで省略されがちなシリンダーの彫刻も美しく再現され、まず外観は言うことナシ。最高なのは、やはり命中精度が極めて高いことだ。
リボルバー式のエアガンは銃身とシリンダー内のチャンバーの中心線を合わせることが構造上、非常に難しいため命中精度が低下しがちだが、東京マルイの“エアーリボルバーPRO”シリーズでは、ハンマーコックでBB弾を銃身根元へ押し出す仕組みが採用されており、オートマチック式に劣らない命中精度を実現している。これは本当にスゴイことだ。全体的に前作のSAA.45をさらに見直したと思われるところが多く、対象年齢10歳以上用のパワーながらも命中精度はリボルバー式エアガンでは、おそらくトップに違いない。
作動もバッチリで、ファニングも問題なし。銃身下のローディングレバーも可動してリロード時の雰囲気を楽しめるし、スペアシリンダーも発売中で、みんながやりたい憧れの映画のガンアクションがすべてできる。こりゃ絶対に買うしかないね!!
もちろん私も、まだ準備中の段階だが、東京マルイのM1851NAVYを二挺拳銃で遊びまくるつもりだ。
東京マルイが本気で作った大人が楽しむための10禁リボルバー、それがM1851 NAVYだ。ウエスタンファンの皆さんはウエスタン界隈を盛り上げるためにもぜひ買おう!!
※記事中の価格表記は掲載時点でのものであり、特に記載のない限り税込みです。また、物価や製造コストの上昇、為替レートの変動により記事中に記載の仕様、価格は予告なく変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
TEXT:トルネード吉田/アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2025年4月号に掲載されたものです。
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。