エアガン

2024/12/26

常識を覆す独創的な発射メカニズムを搭載「東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY」

 

パーカッションリボルバーの傑作がエアコッキングガンで登場

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY

 

オーバービュー

TEXT by トルネード吉田

 

 コルト モデル1851ネービー、略して「’51ネービー」は、西部劇でコルトSAAに次いで最も多く登場するリボルバーだ。そのため昔から人気が高く、BB弾で撃って遊べる51ネービーを待ち望む人も多かった。その51ネービーが何と東京マルイから発売される。2024年11月11~12日にかけて開催された「東京マルイFESTIVAL2024 in ベルサール秋葉原」での発表とともにウエスタンファンの間では東京マルイのM1851 NAVYの話題で持ちきりとなった。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY

 

●カートリッジがない旧式リボルバー

 

 51ネービーには他の一般的なリボルバーにあるカートリッジ(金属薬莢)がない。それもそのはず、この銃は19世紀中頃の、まだ金属薬莢が登場し普及する前、銃本体に火薬と弾を別々に込めた時代のものだ。
 この銃に装填するには、まずパウダーフラスコという専用の金属製の容器に入れた黒色火薬をシリンダーの前面から注ぎ込み、鉛の弾頭(球または円錐形)をシリンダーへセットする。その際、銃身下にあるローディングレバーを使って弾頭をシリンダーへギュッと押し込める必要がある。火薬の点火にはパーカッションキャップと呼ばれる金属製のキャップ(モデルガンのキャップ火薬のようなもの)を使うため、それをシリンダーの後端にセットする。さらに撃った時に隣の薬室に引火しないよう弾頭にグリスを被せる必要もあった。このような古い装填方式の銃を“ パーカッション式”または“キャップ&ボール式”と呼ぶ。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
バレル下にあるランマーとも呼ばれるローディングレバーは当然可動する。実銃のローディング同様の雰囲気を楽しむことができる

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
銃口のライフリングもリアルに再現。この古いタイプの八角形のバレルが実銃の51ネービーの大きな特徴と言える

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
バレル基部を貫通するパーツがバレルウェッジだ。その名前(くさび)のとおり、これが押し込まれることでバレルとフレームが結合する

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
ローディングレバーの根元にはホップ調整のためのホップアップダイアルがある。指先の爪でもダイアルを動かすことができた

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
シリンダー後部の金色のキャップは、金属薬莢におけるプライマーに相当するものだ。これも真ちゅう製の別パーツでリアルに再現

 

●最もバランスが良く人気の銃

 

 51ネービーは1850年に製造開始されたが、その頃、コルトが製造した同じ構造のリボルバーは計3モデルあった。.44口径の大型モデルがドラグーン、.36口径の中型モデルが51ネービー、.31口径の小型モデルが'49ポケットだ。これらのコルトリボルバーは当時、最も優れたデザインで、ユーザーは威力や携帯性など用途に応じて選ぶことができたのだ。ちょうどモダンなスミス&ウエッソンのダブルアクションリボルバーで分かりやすくたとえるとドラグーンは「モデル29 .44 Mag」、51ネービーは「モデル19 .357 Mag」、49ポケットは「モデル36チーフスペシャル .38 Spl」といったところだろう。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
特徴的なオクタゴン(八角形)バレル。その長さは7.5インチだが、パワーの弱い黒色火薬を使うこの時代の銃では標準のバレル長だ

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
フロントサイトは、この時代の銃によくある先のとがった円錐形。東京マルイは真鍮製の別パーツでリアルに再現している

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
バレル上のコルトの所在地を示すアドレス刻印はニューヨーク。実際の工場はコネチカット州ハートフォードにあったが、このような表記も実銃どおり

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
コルトのオープントップのパーカッションリボルバーのリアサイトは、ハンマーの上端に切られたV字形の溝で、これを利用して照準する

 

 大口径のドラグーンは強力だったが、重量が2kg近くあり、常時携帯するには重すぎた。その点、中口径の51ネービーは重量も軽めでバランスも最も良かったため、すぐに人気の銃となった。名前に「ネービー」と付くが、実際の軍での使用とはまったく関係がなく、民間市場および軍用(陸軍・海軍)としても広く使われた。西部の有名なガンファイターのワイルド・ビル・ヒコックは、彫刻入りの51ネービーを2挺拳銃で愛用したと伝えらえている。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
東京マルイのM1851 NAVYは各部の刻印もリアルに再現されている。フレーム左側面にあるのはパテント刻印だ

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
シリンダーの彫刻は、テキサス海軍とメキシコ海軍による1843年のカンペチェの海戦を描いたもので、これもレーザーにより緻密に再現

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
実銃のグリップはウォールナットの木製だが、マルイは樹脂製だ。だがご覧のとおり、木製グリップにしか見えない見事な質感だ

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
この銃のハンマーのコッキングポジションは2段階だ。これがハンマーレスト(倒した状態)。SAAにあるようなセーフティコックはない

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
中間位置まで起こしたのがハーフコック。この状態ではシリンダーの回転がフリーとなり、シリンダーを手でカチカチと回すことができる

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
ハンマーを最後まで起こした状態がフルコックポジション。ここでトリガーを引くとハンマーがリリースされ銃が撃発する

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
よく見るとフレーム右側面のトリガーピンが突出しているのが分かるだろう。東京マルイM1851NAVYではSAA同様、このピンがクロスボルト式のマニュアルセーフティとなっており、この状態でハンマーがロックされる

 

 

メカニズム

TEXT by 毛野ブースカ

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY

 

●パーカッション式リボルバーをエアガンで初再現

 

 東京マルイは51ネービーというリボルバーはもとより、パーカッション式リボルバーを史上初めてエアコッキングガンで再現した。パーカッション式リボルバーはトルネード吉田さんが解説しているように一般的なリボルバーのようにシリンダーにカートリッジを装填して発射するのではなく、シリンダーに直接火薬と弾頭を込めて、シリンダー後方にあるパーカッションキャップをセットして発射する。そのためシリンダーは貫通しておらず後部が閉塞されている。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
シリンダー後部にはニップルと、ニップルに被せる真鍮製のパーカッションキャップが備わっておりシリンダー後部は閉塞されている

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
パーカッションリボルバーはカートリッジを使わないので、シリンダー前面にはケースレス式のリボルバーのようにBB弾を保持するためのラバーチャンバーが6発分備わっている

 

 一般的なエアコッキング式リボルバーの場合、同社のSAA.45シリーズのようにシリンダーにカートリッジを装填し、そのカートリッジをエアルートにしてBB弾へエアを送り込める。しかし、パーカッション式リボルバーをエアコッキングガンで再現する場合、シリンダー後部が閉塞されているため、リアルさを犠牲にしない限り一般的なリボルバーと同じような構造でエアコッキング化はできない。実銃同様に後部が閉塞されているシリンダーを生かしつつエアルートをどのように確保するかが問題となる。

 

●独創的かつユニークなメカニズム

 

 そこで東京マルイは、シリンダーを支えているベースピンをエアルートとして、シリンダー内側からBB弾へエアを送り込むシステムを開発した。これを実現するためのシリンダーはBB弾を保持して回転するアウターと、エアルートが設けられたインナーの二重構造になっている。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
このモデルの肝となるベースピン中央付近には実銃同様にグリス溝が再現されている

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
フレーム側の段差状になったリコイルシールド内側の形状もリアルに再現されている

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
ベースピン中央付近上部にはグリップに内蔵されたシリンダーから送られてきたエアをシリンダー側に送るための穴(エアルート)が設けられている

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
シリンダー内側を見たところ。中央上部に開いているシリンダーインナーの穴がベースピン側の穴と一致することでエアがBB弾側に送られる。シリンダーインナーはベースピンに固定され、BB弾を保持したシリンダーアウターだけ回転する

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
フレームには剛性を確保するために金属製の内部フレームが組み込まれている

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
バレル基部も金属製のインナーが組み込まれており、結合時にバレル基部下側になる突起がフレーム側に差し込まれることでバレルのブレを抑えて剛性を確保している

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
実銃にはない機能としてインナーバレルとシリンダー側に可動式のフォーシングコーンが設けられており、シリンダーと密着させることでシリンダーの固定を確実にし、エアロスを抑制して命中精度を高めている

 

 さらに発射ポジションのBB弾の保持位置を一定にするためにシリンダーの各ホールに可動式のノズルが設けられており、ハンマーをコックしてシリンダーが発射ポジション(バレルと同一線上)になるとノズルが前進してBB弾をバレル側に前進させ、バレル側のホップチャンバーにセットされる。これにより実銃同様にバレルとシリンダーが着脱できるにもかかわらず非常に優れた集弾性を実現している。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
シリンダーの各ホール内部には可動式のノズルが内蔵されている。ノズルはBB弾を装填すると後退し、ベースピン上部のカムが前進するとノズルもそれに同調して前進、BB弾をバレル側に押し出す。矢印のホールはノズルを後退させたところ。ノズルが前進するとBB弾がラバーチャンバーから浮き上がっているのがわかる

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
ハンマーをコックするとベースピン上部に設けられたカム(矢印)が前進してシリンダー側のノズルを前進させる。発射後、カムは後退してノズルがフリーになり、再びハンマーをコックするとシリンダーが回転して同じ動作が繰り返される。ベースピンには複数の機能が備えられているのがわかる

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
バレルとシリンダーを取り外すには、まずバレル基部にあるバレルウェッジを、ロックを押しながら左側に押し出す

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
そのままフレームからバレルが外せる

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
ハンマーをハーフコックにしてシリンダー前面の9時方向にモールドされた矢印とベースピン右側にある矢印があわさるようにシリンダーを回す

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
フレームからシリンダーが外せる。結合時も三角形の矢印を9時方向にしてベースピンに差し込む

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY
フレームからバレルとシリンダーを取り外したところ。オプションで専用スペアシリンダーが発売予定とのこと

 

 インナーバレルには可変ホップアップシステムが内蔵され、BB弾の重量に合わせてホップのかかり具合が調整できる。SAAと同様に内部フレームに金属パーツが採用され、高いフレーム剛性とともにバレルとフレームの結合を確実にしている。エアガン史に残るエポックメーキングなメカニズムを数多く生み出してきた東京マルイらしいメカニズムである。

 

東京マルイ エアーリボルバーPRO M1851 NAVY

 


 

東京マルイ
エアーリボルバーPRO M1851 NAVY

 

DATA

  • 全長:339mm
  • 全高:131mm
  • 全幅:39mm
  • 重量:445g
  • 装弾数:6発
  • 価格:未定
  • お問い合わせ先:東京マルイ

 

※記事中の価格表記は掲載時点でのものであり、特に記載のない限り税込みです。また、物価や製造コストの上昇、為替レートの変動により記事中に記載の仕様、価格は予告なく変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

 

TEXT:トルネード吉田、毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。

 

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