対決!実銃VSトイガン コルト1851ネービー
東京マルイ“エアーリボルバーPRO”シリーズのM1851 NAVY(写真上)と、実銃のコルト モデル1851ネービー。今回は実銃とトイガンを写真で見比べて、東京マルイのM1851 NAVYの完成度の高さを語ってみたい
東京マルイのM1851 NAVYは完成度が極めて高いエアコッキングガンだ。優れた実射性能はもちろんだが、外観の雰囲気もバッチリで、本当によく出来ているとしか言いようがない。今回も前号に続き、私のウエスタンの先輩からお借りしたリアルガン(古式銃)のコルト1851ネービーに登場してもらい、2挺をじっくり見比べたい。読者の皆さんが東京マルイのM1851NAVYの完成度の高さを写真で感じ取っていただけたら幸いだ。
古式銃 Colt Model 1851 Navy
■全長:331mm ■全高:128mm ■全幅:37mm ■重量:1,185g ■装弾数:6発
東京マルイ“エアーリボルバーPRO”M1851 NAVY
■全長:339mm ■全高:131mm ■全幅:39mm ■重量:445g ■装弾数:6発
古式銃
銃を見比べる前に「あれ?何で実銃の51ネービーが日本にあるの?」と思われる読者もいらっしゃるだろう。日本じゃ実銃の拳銃は所持できないはずだ。実は「古式銃」というジャンルがあって、これに該当する古いタイプの銃で昔から日本にあった物なら美術品、骨董品として無許可で誰でも所持できるのだ。詳しくご説明すると、古式銃とは、形式としては「撃発方式が管打式(パーカッション式)又はピン打式(ピンファイアカートリッジ)等、それ以前の構造を持つ銃」で、年代的には外国製の銃ならば「概ね慶応3年(1867年)以前に日本に伝来した銃」と法令で定められている。さらに都道府県の教育委員会が発行した登録証が付いていなければならない。今回、誌面に登場する51ネービーの実銃個体はこれらの条件をすべて満たすものだ。
もし古式銃に興味が湧いたら、ぜひ古式銃・無可動実銃専門店のシカゴ レジメンタルスのWebサイトなどをご覧になっていただきたい。ただし古式銃は、その希少性からお値段はかなり高めだ。私のような一般庶民には、ちょっと手が出せないほどだが、それでも「頑張れば買えるかも!」と夢を持てるのは嬉しいことだし、実際にその夢をかなえた友人・知人もいるので、欲しい人は最初からアキラメちゃいけない。夢は強く思い続けると、いつか必ずかなうものなのですよ。
古式銃と東京マルイのM1851 NAVYの各部を写真で見比べていこう。バレルは「オクタゴンバレル」と呼ばれる八角形だ。写真右の東京マルイのエッジはシャープだが、この古式銃の個体はかなり使い込まれているようで、エッジが摩耗して丸くなっている。フロントサイトも摩耗したのだろうか、かなり小さい。こんな違いはあるものの、東京マルイの銃口周りの雰囲気はバッチリだ
バレル上面にあるアドレス刻印。コルトの所在地が記されているのだが、ニューヨークとなっている。実はコルトの工場があるのはコネチカット州のハートフォードだ。アドレス刻印は造られた時期によって書体や表記が異なり(表記がハートフォードのもある)古式銃と東京マルイで書体が異なるのはそのためだ
ランマーとも呼ばれるローディングレバーを開いたところ。実銃はこの角度まで開くが、東京マルイは装填の操作の雰囲気を味わうためのものなので、開く角度はここまでとなっている。発射機能には関係ないところだが、ここが可動するか/しないかで、ユーザーの満足感はかなり変わる。このリアルさにこだわった点が東京マルイのM1851 NAVYのスゴイところだ
グリップ部分の比較。東京マルイのグリップはシリンダーとピストンを内蔵するため、実銃より少し大きくなっているが、これは仕方がないところ。古式銃のグリップフレーム(トリガーガード&バックストラップ)は真鍮製で金色だが、東京マルイは黒だ。実銃でグリップフレームが黒い(鉄製でブルー仕上げの)51ネービーも存在するので決して間違いではない。古式銃のグリップ背面に打たれている漢字の刻印は「壬申刻印」と呼ばれるもので、明治5年(1872年)に政府がつけた銃砲の管理番号だ
実銃との比較での留意点
実銃とトイガンを比較するのにあたって、ひとつ留意していただきたいことがある。それは、今回掲載の実銃の1個体だけを見て、重箱の隅をつつくように「ここの細部が違う。だからリアルじゃない」などと思わないでほしい、ということだ。なぜなら実銃には多くの個体差があるためだ。
まず実銃のコルト1851ネービーは1850年から1873年の23年間にかけて21万挺以上が製造されているが、製造年や個体によって部品の仕様や形状に違いがあるのだ。わかりやすいところで例を挙げれば、トリガーガードの形状だ。51ネービーのトリガーガードは最初、後端が角ばった形状をしていた。それが製造番号4200あたりから丸い形に仕様変更されたのだ。その丸形のトリガーガードもさらに途中から(製造番号85000位から)サイズが少し大きくなっている。このような仕様変更が51ネービーにはいくつもあるのだ。
こういった背景からコレクター(銃器収集愛好家)は、それぞれの個体の仕様や形状の差を詳しく研究し、製造番号(これで造られた年が分かる)によって違いをまとめ、製造時期によって1st.モデル、2nd.モデル、3rd.モデル、4th.モデル等と分類している。今回はこれらの違いを詳しくは書けないが、東京マルイがどの製造時期の個体をエアガン化したかは公表していないので、厳密に考証することはできないのだ。
加えて、この頃の銃は大量生産品といっても、工場では職人が手でガシガシとヤスリ掛けをして部品を削って合わせて造っているため、1挺1挺、細かい部分で形や輪郭が「微妙に」というか、物によっては「かなり」異なるのだ。
このような理由から、この古式銃と東京マルイの2挺の細部に違いはあって当然だ。だから“全体的な雰囲気”で、その出来具合を感じていただきたい。今回、写真の説明でいくつか実銃との違いを書いているが、逆にいうと「それくらいしか違うところがない」のだ。実銃と内部構造の設計をまったく異なるものとしなければならないエアコッキング式のエアガンとしては、東京マルイのM1851 NAVYは革命的に優れた製品だと思わずにいられない。
写真上:Colt (Old Model) Navy or Belt Pistol
※20世紀になってからコレクターによって付けられた愛称:Colt Model 1851 Navy / '51 Navy
口径:.36 装弾数:6発 形式:パーカッション式(キャップ&ボール式)リボルバー
この古式銃の51ネービーの製造番号は125085で1862年製、アメリカ南北戦争中に製造された個体だ。大型の丸形トリガーガード等からコレクターから4th.モデルの中期型と分類される。実銃の仕上げは美しかったはずだが使い込まれて全体的に退色し、一部に錆もあり、新品の時にあったはずのグリップフレームの銀メッキも完全に剥げ落ちている
フレーム左側面。大きな違いは特になく、東京マルイは実にリアルに造られている。フレーム左側面の前方下に「COLTS PATENT」の刻印があるが、軍用モデル(政府へ納入された銃)の場合は、この下に「US」の刻印がある。この実銃の個体はそれがないので民間モデル(民間市場で販売された銃)だ
フレーム右側面。参考までに実銃の標準的な仕上げは、フレームにローディングレバー、ハンマーがケースハードンと呼ばれる焼き入れ処理が施されており、美しいまだら模様を発色している。バレルやシリンダーなど他のパーツはブルー仕上げだ。グリップフレーム(トリガーガード&バックストラップ)は真鍮製で銀メッキ。実は実銃の51ネービーの真鍮製グリップフレームには銀メッキ(ニッケルでもクロームでもない銀だ)が施されていた。だが下地のメッキもなくそのまま薄く銀がメッキされたため、すぐに剥がれ落ちてしまうものだった。そのため現存する51ネービーのほとんどは真鍮がむき出しの状態となっている。あと注目していただきたいのはバレルウェッジの周辺。何かで叩いた跡があり、そのためかウェッジのストッパーの先も折れて欠損。実銃の場合、銃身をガッチリ固定しないと危ないので、ウェッジ(くさび)をその名のとおり何かで叩き込むことも珍しくなかった。こういったことからも、51ネービーでは撃ち合い中に銃身分解によるスペアシリンダーの交換でのリロードは実際には一般的でなかったものだと分かる
バレルウェッジを引き抜いてバレルとシリンダーを分解したところ。このギミックをエアコッキングガンで再現するのは、かなり難しかったと思う
分解したバレルを比較。東京マルイの場合、銃身根元の下に突起がついている。これはフレームとの結合を強固にするためのもので、これのおかげで結合しても銃身とフレームにガタがない。ここも高い命中精度を維持するためには必要なアレンジだったはずだ。逆に、ここ以外は完コピと言ってよいほどに違いは感じられない
シリンダー前面。東京マルイは、この小さなシリンダーにもギミックを満載している。ハンマーフルコックで発射位置にあるBB弾が前方へ押し出され、バレル入口まで前進し、シリンダーとバレルの間のギャップによって命中精度が低下する問題を完全に克服している。東京マルイのM1851 NAVYはリボルバー式エアガンとして過去最高の命中精度を備えている。東京マルイはシリンダーを外すときには▲印で位置合わせをする必要がある
シリンダーの彫刻は、東京マルイではクッキリと再現されているが、実銃はうっすら確認できる程度だ。実銃のシリンダーの彫刻はロールスタンプという方式でダイスを強く押し付けて入れるのだが、浅くしか入らないため、使っているうちに摩耗して見えなくなってしまうことが多い。また銃の携帯方法として、実銃はニップルとニップルの間にハンマーをレストさせて6発装填したままでも安全に持ち運ぶことができるのだが、東京マルイではハンマーフルコックでBB弾を押し出すギミックがある関係で、この操作だけは再現不可だ。ここも仕方ないところだが、現在アメリカで行なわれているカウボーイ アクション シューティングでは51ネービーも5発だけ装填して空のチャンバーにハンマーをレストさせる通称「カウボーイロード」が行なわれているので、私達もそれに準じよう
シリンダーのベースピン(軸)を比較。実銃にあるらせん状の溝(グリースグルーブ)も東京マルイは一部だがきちんと再現されていて、リアルさへのこだわりを感じる。マルイのベースピンの上にある穴がエアルートとなる穴だ
実銃の51ネービーのアクセサリーをご紹介。これは弾頭を鋳造するブレットモールド。球形と円錐形の2種類の弾頭を作ることができる。閉じて上面の湯口から溶かした鉛を注ぎ込み、冷やした後に開くと湯口の余分な鉛がカットされて弾頭が出来上がる
写真右がシリンダーのニップル(撃針パーツ)を外すためのニップルレンチ。左にあるのがニップルピックで、ニップルの穴に残った火薬カスや破片、プライマー(パーカッションキャップ)の残留物を取り除くためのクリーニングツールだ
※ コレクターはColt 1851 Navyを各部の形状で本表のように分類しています。ただし文献(研究書)により若干の差異があるため、一説の紹介と思ってください。製造番号や挺数、期間などは、およその数字です。
この記事は月刊アームズマガジン2025年5月号に掲載されたものです。
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