エアガン

2023/04/10

警察用リボルバーとして生まれた名銃、S&W M19 Combat Magnum【素晴らしきハンドガン】

 

「法執行官の夢」と称えられたコンバットマグナム

 

 リボルバーの中でもかなりの知名度を誇るスミス&ウェッソンM19。このモデルは「法執行官の夢」と称えられるほどの魅力を秘めており、多くの法執行機関で使用され続けてきた。今回はその魅力を簡単にお伝えしよう。

 

Kフレーム+.357マグナム

 

 20世紀以降、コルトのライバルとして軍・法執行機関向けのダブルアクションリボルバーを世に送り出してきたスミス&ウェッソン。1899年に発売された「ハンドエジェクター」を皮切りに、1905年に登場した、現在でもその名を残している「ミリタリー&ポリス(M&P)」は多くの法執行機関によって採用され、軍・法執行機関向けリボルバーとして不動の地位を獲得した。
 一方、ミリタリー&ポリスに代表されるKフレーム(ミディアム)リボルバーに採用されていた.38スペシャル弾より強力な.357マグナム弾を使うKフレームよりも大きいNフレーム(ラージ)を使ったモデル27(レジスタードマグナム)が1935年に登場した。同じNフレーム仕様の.44マグナム弾を使用するモデル29は有名だが、Nフレームはマグナム弾に耐えられるだけの耐久性はあるものの、Kフレームに比べて重く大きく、警察官などが携行するには不向きだった。
 

S&W M10 M&P .38リボルバーと1935年、FBIに入局したハンク・スローンが手掛けた専用ホルスター。(Photo by FBI)

 

 この相反する要素(Kフレームの軽量・携行しやすさと.357マグナム弾のパワフルさ)を両立させ、理想的な法執行機関向けのダブルアクションリボルバーとして1955年に登場したのが「コンバットマグナム」(のちのモデル19)である。コンバットマグナムの誕生にはある伝説のガンファイターの存在があった。それがU.S.ボーダーパトロールに30年以上勤務し、第二次世界大戦から朝鮮戦争にかけてアメリカ海兵隊予備役を務めたビル・ジョーダン氏(1911~1997年)である。射撃の名手として知られるジョーダン氏による著書「NO SECOND PLACE WINNER」(1965年)はガンファイティングの指南書として愛読され、彼が使用したジョーダンホルスターやジョーダングリップは後世に大きな影響を与えている。そんなジョーダン氏が理想とするリボルバー(Kフレーム、ダブルアクション、4インチヘビーバレル、アジャスタブルリアサイト、エジェクターロッドシュラウド、.357マグナム)を具体化したのがコンバットマグナムである。モデル27をそのままKフレーム仕様したかような外観を持つコンバットマグナムは、モデルナンバー制により「モデル19」のナンバーが与えられた後も「コンバットマグナム」の名称は継承されている。ジョーダン氏はコンバットマグナムを手にして「法執行官の夢」と称賛したという。
 .38スペシャル弾向けのKフレームにハイプレッシャーな.357マグナム弾を使うことからフレームの耐久性に難があったものの、バランスのよさと扱いやすさから多くの法執行機関で採用され、のちにステンレス製のモデル66が登場したことでさらに利便性が向上。オートマチックピストルに移行する直前まで使われた最後の法執行機関向けダブルアクションリボルバーである。

 


 

タナカ

S&W M19

6inch Combat magnum HW Ver.3

 

 

DATA

  • 全長:291mm
  • 全高:150mm
  • 全幅:37mm
  • 重量:800g
  • 装弾数:12発
  • 価格:¥32,780

 

 

 タナカはこのM19コンバトマグナム6インチモデルをVer.3ガスガンで再現。ディテールは1980年代仕様がチョイスされ、バレルや各部の刻印はもちろん、Kフレームモデルでは初めて標準装備されたワイドハンマーとワイドトリガーも再現している。写真の6インチモデル以外に、2.5インチ、4インチもラインアップしている。

 

スクエアバットのフレームにはメダリオン付きのオーバーサイズ・チェッカーグリップが装着されている

 

フロントサイトの赤インサートは80年代に流行したカスタムの一つ。バレル上面のリブには反射防止のセレーションが刻まれている

 

スラリとしたエジェクターロッドシュラウド付きの6インチヘビーバレル。バレルの下部には重量増加のためのラグはない。携帯性と安定性のバランスを絶妙に取った造形だ。左側にはメーカー名、右側には仕様弾(.357マグナム)が打刻されている

 

前面にグルーブが入れられたワイドトリガーはKフレームモデルでは初めて標準装備された。ダブルアクションでも操作しやすいデザインだ

 

シリンダーは.357マグナム弾がぎっちりと詰まった印象を再現。実銃のM19の弱点であるフォーシングコーンは、砲圧によって割れてしまうこともある。またエジェクターロッドの強度は低く、スイングアウトした状態で取り落とすと破損、歪んでしまうこともあった

 

実銃同様のレタリングが再現されたフレーム右側のスミス&ウェッソンのアドレス

 

スミス&ウェッソンのモノグラムはフレーム左側、シリンダーラッチ下部に入れられている。シリンダーラッチは前方に押すことで作動し、コルトやルガーと比較すると扱いやすい

 

アジャスタブルリアサイト(通称Kサイト)は実銃同様に上下左右の調整が可能。アウトラインとして白ラインがエッジに入れられている

 


 

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TEXT:珈琲

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