エアガン

2024/10/05

リボルバーのギモンに答えます!~リボルバーQ&A~

 

あのウワサはホント?ウソ!?

 

銃に興味を持っている方ならば、リボルバーにまつわる都市伝説の1つや2つは聞いたことがあるだろう。ここではそんな都市伝説的な疑問にお答えしよう

 

 

Q オートマチックピストルが普及している今の時代に、リボルバーを使用するメリットとは?

 

A まずメリットとして挙げられるのはシンプルで壊れにくいこと…、という方もいらっしゃいますが、実はそんなことはありません。リボルバーの中にはハンドというシリンダーを回転させるパーツや、その回転しているシリンダーを定位置でストップさせるためのシリンダーストップ(ボルト)というパーツがあります。これはカートリッジの装填された重いシリンダーの力が思いっきりかかる部分なので磨耗したり壊れてしまうことはあります。またエジェクターロッドは意外と繊細なパーツで、例えば落としたりして曲げてしまうと、排莢はおろか、シリンダーをロックできなくなってしまうこともあります。このようにオートマチックより壊れにくいというのは、それほど信憑性はないといえます。さらにジャムが少ないという方もいらっしゃいますが、最近のオートマチックは進化しており、ジャムが起こりづらいようになっています。
 リボルバーのメリットのひとつに、ハイパワーの弾が撃てる、ということがあります。たとえば一般的なオートマチックで撃ち出せるのは9mm×19mm弾や.45ACPなどですが、リボルバーにはマグナム弾を撃てる機種が数多く揃っています。たしかにオートマチックでもマグナム弾を撃ち出せるモデルもありますが、その種類、バリエーションは比較するまでもなくリボルバーのほうが多いです。
 ではリボルバーの最大のメリットは何なのでしょうか。それは弾さえ入っていれば「トリガーを引く」という簡単な操作で発射できるという点にあります。オートマチックではスライドを操作して装填したり、安全装置を解除するなど、かなり煩雑な手順が伴います。それに比べるとはるかに直感的な操作で発砲することができます。もちろん緊急事態が起きた際には、いつもできていることが、できなくなってしまうこともあるでしょう。

 

リボルバーのメリットのひとつに、ハイパワーな弾が撃てることがある。写真は世界最強のマグナムリボルバーと呼ばれるS&Wモデル500
リボルバーのメリットのひとつに、ハイパワーな弾が撃てることがある。写真は世界最強のマグナムリボルバーと呼ばれるS&Wモデル500

 

Q 中折れ式のリボルバーが廃れたのはなぜ?

 

A 排莢・再装填が素早くできるのが中折式リボルバーの利点ですがハイパワーな弾を撃つことができません。リボルバーを発砲すると、高圧ガスがシリンダーが外側へ膨らむ方向と、フレームを前後に引き伸ばす方向に、2つの強い力が加わります。スイングアウト式ならば、フレームがシリンダーをぐるりと囲む形になっているので一体構造にでき、高い強度を保つことができます。それに比べ中折式リボルバーのフレームにはヒンジとラッチという構造上弱い場所をどうしても作らなければならないため、強度を保てず強力な弾を撃つことができないのです。

 

ハートフォードの二十六年式拳銃を中折れさせたところ。中折れ式はロマンがあるものの今となっては現実的な構造ではない
ハートフォードの二十六年式拳銃を中折れさせたところ。中折れ式はロマンがあるものの今となっては現実的な構造ではない

 

Q マグナムって強力なリボルバーのことを指すのですか?

 

A 違います。マグナムというのは通常「普通よりパワーを増した弾」のことを指します。

  • .44スペシャルのパワーアップ版= .44マグナム
  • .38スペシャルのパワーアップ版= .357マグナム
  • .22ロングライフルのパワーアップ版=.22WMR(22マグナム)

といった具合です。.44マグナム弾を撃つ「S&W 44マグナムリボルバー」(Model29)があまりにも有名なので、そう考えてしまうのかもしれません。

 

今も昔もマグナムリボルバーの代名詞であるS&Wのモデル29。映画『ダーティハリー』のヒットとともに.44マグナム弾とモデル29の存在が広く知れ渡った
今も昔もマグナムリボルバーの代名詞であるS&Wのモデル29。映画『ダーティハリー』のヒットとともに.44マグナム弾とモデル29の存在が広く知れ渡った

 

Q バレルが長いのと短いのとなにが違うのか

 

A 「バレルが長い方が命中精度が良い」…というのは昔の常識です。レーザーサイトを使って撃ってみると、短銃身と長銃身とではそれほど命中精度に差がないことが分かっています。長いバレルだとよく当たるというのは、サイトレディアス(フロントサイトとリアサイトの距離)が長いことによる狙いやすさというのが大きな理由です。銃そのものの精度にはそれほど違いはないのです。近年は短銃身リボルバーに内蔵式レーザーサイトを組み合わせるのがトレンドのひとつになっています。

 

Q リボルバーにサイレンサーは付けられるの?

 

A 結論をいえば付けても効果はありません。マズルから吹き出す高圧ガスの勢いを緩めて発射音を抑制するのがサイレンサーの役目です。しかしリボルバーはシリンダーギャップからも高圧ガスが吹き出します。その音はサイレンサーでは消せないので、効果はほとんどないでしょう。ただしひとつ例外があり、19世紀末にベルギーで開発され、ソ連に採用されたナガン・リボルバーなら効果はあるかもしれません。ナガン・リボルバーは発射直前にカートリッジが前進して、シリンダーギャップを塞ぐからです。

 

Q オートマチック用の弾はリボルバーには使えないの?

 

A 基本的には使えません。リム(カートリッジの縁の出っ張り)がないので、シリンダーの奥深くに入ってしまい、プライマーを叩けなくなってしまうからです。ただしハーフムーンクリップやフルムーンクリップと呼ばれる金属製の板にオートマチック用の弾を装着すれば、その弾薬に対応するリボルバーであれば普通のリボルバー用弾薬と同じ感覚で使用できます。

 

.45ACP弾とS&W M1917用の.45ACP用ハーフムーンクリップ。カートリッジのリム部分をクリップで挟んで固定する(写真はタナカのモデルガンS&W M1917)
.45ACP弾とS&W M1917用の.45ACP用ハーフムーンクリップ。カートリッジのリム部分をクリップで挟んで固定する(写真はタナカのモデルガンS&W M1917)

 

Q ハンマーを後ろから叩いたら弾が発射されてしまうの?

 

A 西部開拓時代や、それが終わってもしばらくの間は、ハンマーノーズがシリンダー内の弾に直接触れるものがほとんどでした。その状態でハンマーを下にして落下させるなど、後方から強い力が加わると弾が発射されてしまう可能性がありました。西部劇に出てくるコルトSAAなどではセーフティコックという、ハンマーを安全な位置に保持しておくポジションもありましたが、それでも強い衝撃が加わればハンマーが落ちて弾が出る可能性もあります。そのため、携帯時にはシリンダーの一番上の弾を抜いておくことはよく行なわれていました。しかしコルトによって発明されたポジティブロックによって6発装填した状態でハンマーに強い力が加わっても物理的にハンマーの前進を阻止しているため、暴発の可能性は著しく低下しました。「6連発のリボルバーが、やっと本当の意味で6連発になった」と言われています。

 

Q リボルバーにはセーフティはついていないの?

 

A 基本的にはリボルバーには手動でオン/オフする安全装置はありません。そのためダブルアクションリボルバーの場合、弾さえ入っていれば、引き金をひくだけで発射できるのです。ダブルアクションの安全装置はその重くて長いトリガートラベルにあります。「引き金を引くぞ」という意思が働かなければトリガーを引くことはできません。つまりちょっと触れただけでは発射されることはないのです。ただ、引き金を引くことで自動的に解除されるセーフティはあります。ハンマーブロックと呼ばれるパーツは、引き金を引かない限り、たとえ衝撃でハンマーが落ちたとしてもハンマーを物理的に前進させず、弾を発射することはありません。また最近は、ハンマーの後ろやフレームの側面に鍵穴が開いていて、そこに専用のキーを差し込んで回すことでハンマーを引けなくするインターナルセーフティが組み込まれている銃も存在します。

 

M360Jをはじめとした最新のS&Wのリボルバーにはサムピース上部に専用のツールで操作するインターナルセーフティが組み込まれている
M360Jをはじめとした最新のS&Wのリボルバーにはサムピース上部に専用のツールで操作するインターナルセーフティが組み込まれている

 

Q リボルバーってシンプルだから手入れも簡単?

 

A 可動部分が少ないリボルバーは頻繁にメンテナンスをしなくても故障しにくいのは確かです。しかし、まったくメンテナンスしないで撃ち続けるとミスファイア(雷管を叩く力が弱く弾が発射しない)をするようになります。メインスプリングのヘタリなどが主な原因で、放置しておいて直るようなものではありません。シリンダーギャップからのガスが引き起こす汚れも厄介で、フォーシングコーン周りだけでなく内部パーツまでミッチリと汚れが付着します。カウンターボアードのリボルバーは、安全面では優れていますが、段差の部分に汚れが溜まりやすいのが玉にキズ…。さらに上下左右に調整できるリアサイトが付いたモデルは、撃っているうちにネジが緩んでくることもあります。リボルバーだからといってメンテナンスをおろそかにすると、そのうち必ず、銃に不具合が出てきてしまいます。

 

バレル後部のフォーシングコーン部分は発射時のガスや火薬のカスで特に汚れが付きやすい。メンテナンスを怠るとシリンダーが回転しにくくなってしまう
バレル後部のフォーシングコーン部分は発射時のガスや火薬のカスで特に汚れが付きやすい。メンテナンスを怠るとシリンダーが回転しにくくなってしまう

 


 

TEXT:MOOK「リボルバーマニアックス」より抜粋

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年10月号に掲載されたものです。

 

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