2025/04/04
陸自最大規模の航空部隊 第1ヘリコプター団 年頭編隊飛行訓練
第1ヘリ団と略して呼ばれる第1ヘリコプター団は、陸自最大規模の航空部隊だ。現在、島嶼防衛強化に向けた変革期にある。ここでは、1月16日に行われた年頭編隊飛行訓練を通じ、その陣容を解説していく。

第1ヘリコプター団は、陸上自衛隊で最大のヘリ部隊である。部隊名に“ヘリコプター”を冠しているが、固定翼も有しており、配備している機種も豊富だ。なお“第1”としているが、第2以降の同様の部隊は存在していない。
陸将補の階級の幹部である団長が指揮官となり、団本部は木更津駐屯地(千葉県木更津市)に置いている。
そして本部管理中隊、第1輸送ヘリコプター群、輸送航空隊、特別輸送ヘリコプター隊、連絡偵察飛行隊、第102飛行隊、第1ヘリコプター野整備隊を内包している。
もともと陸自の中でも重要かつ即応性の高い任務に就いている部隊であったが、現在は、大きく生まれ変わりつつある過渡期にある。


その理由は、島嶼防衛強化にあり、変化の象徴となったのが、V-22オスプレイの配備である。米軍において、海軍、空軍、海兵隊に配備されている機体であり、回転翼と固定翼を足して2で割ったティルトローター機というこれまで存在しなかったまったく新しい航空機だ。回転翼機の利点であるホバリングを使い、長い滑走路を必要とせず、かつ固定翼機並みのスピード、航続距離を誇る。九州から奄美群島を経て、沖縄本島、そして最果ての与那国島までと、日本列島南西エリアは多くの島嶼部で構成されている。そうしたエリアをカバーするには、V-22は無くてならない存在である。
そうしたことから2020年3月26日に新編されたのが、島嶼防衛専門輸送部隊とも呼べる輸送航空隊だ。同年7月10日に1機目のV-22を受け取り、ここから毎年数機ずつ配備されてゆき、2024年7月11日、予定されていた17機すべてを受け取り、納入完了式が執り行われた。また、大型ヘリであるCH-47JAも配備し、輸送航空隊は長距離展開を可能とする陸自唯一の部隊となった。


実は、ここに至るまで、順風万般ではなかった。まず、島嶼防衛という任務の特性上、日本版海兵隊こと水陸機動団が配置されている相浦駐屯地(長崎県佐世保市)からすぐに必要とされる場所へと輸送できるように、輸送航空隊は、九州に置くべきと考え、佐賀空港を使用することが決まった。しかし地元の反対もあり、この計画は難航。そこで、木更津駐屯地暫定配備という形をとっていた。しかし、2023年よりようやく新駐屯地建設のための工事がスタートした。
輸送航空隊は、本部及び本部中隊、第107飛行隊、第108飛行隊、第109飛行隊、輸送航空野整備隊という編成となっている。このうちV-22部隊は、第107及び第108飛行隊だ。新駐屯地が完成すると、輸送航空隊は、木更津から佐賀駐屯地へと移駐することになっている。なお、第109飛行隊は、CH-47JA部隊であり、現在高遊原分屯地(熊本県上益城郡)に配置されている。こちらも新駐屯地へと移駐するものと思われる。この他にも特徴的な部隊は多い。


第1輸送ヘリコプター群は、第103飛行隊、第104飛行隊、第105飛行隊、第106飛行隊と4つもの飛行隊を内包し、すべてCH-47JAを運用している。この高い輸送力を生かし、日本中の部隊の航空輸送支援を任務としている。第102飛行隊は、UH-60JAを配備し、特殊作戦群の輸送を行う秘密のベールに包まれた部隊だ。特別輸送ヘリコプター隊は、EL-225LPを配備し、内閣総理大臣をはじめとしたVIP輸送を専門としている。連絡偵察飛行隊は、陸自で唯一の固定翼機であるLR-2を配備し、名前の通り、連絡と偵察を任務として、日本中を飛び回っている。
本年中に佐賀駐屯地は完成する予定であり、これをもって第1ヘリ団の大改編は一つの目標に達する。今年の要注目部隊だ。

Text & Photos:菊池雅之
この記事は月刊アームズマガジン2025年5月号に掲載されたものです。
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