エアガン

2025/03/09

ボクらはM16のモデルガンに未来を見ていた Chapter.03

 

 先進的デザイン、小口径高速弾、アルミニウム合金、合成樹脂……M16は当時の主流であった軍用銃とは大きくかけ離れたイメージの最先端アサルトライフルだった。そんなM16のモデルガンに多くのファンが未来を見ていた。

 

前回の記事はこちら

 

プラスチック

 

 MGCは1971年の第一次モデルガン法規制のころから、積極的に規制対象外となるプラスチック製モデルガンの研究・開発を進めていた。そして1972年には最初のプラスチック製モデルガン、SIG M SP47/8ブローバックモデルをいち早く発売している。さらに1978年には第1号となる長物のプラスチックモデル、M-1カービンも発売した。もちろんデトネーター方式によるブローバックモデルだ。

 

 その後1979年に、パーティ用クラッカーや花火などを手がけるカネコと、MGCの共同開発による革命的なキャップ火薬が発売された。1発で金属製長物も動かすパワーを持ち、汚れが少なく手入れも簡単だった。それは新時代の到来といっても良いほどのイノベーション。
 MGCは対応モデルを次々と発売しながら、1982年にキャップ火薬を使う自社の新しい閉鎖系CP方式ブローバックを開発すると、そのシステムを搭載する第1号となるモデルガンに、長物のM16A1を選んだ。マルシンと同じ選択。

 

1982年に発売されたMGCのプラスチック製M-16A1 CP方式ブローバック。リアルなメカニズムと快調作動の両立を実現させた

 

販売のみを手がけるニューMGCの専門誌2004年8月号の広告。モデルは新日本模型のヘビーウェイト樹脂製M4A1 CP方式ブローバック。価格は直接お問い合わせくださいとなっている


 プラスチック製の完全新規設計。パーツ構成や構造も実銃に準じたもので、かなりのリアル志向。しかも初心者にも嬉しい簡単お手入れで、快調ブローバック作動。マルシン同様、模型の側面と玩具の側面を見事に融合させて見せた。たちまち大人気となり、当然のように3、4カ月後には旧モデルで人気機種だったM655もラインアップに加えられた。そして、赤外線を利用したモデルガンによるシューティングシステム「シューター・ワン」が発売されると、それにも対応。ターゲットとセットの限定モデルも発売された。

 

MGC製M-16A1のチラシというかカタログ。裏にディテールの解説がある。自社の新しいCP方式ブローバックのロゴが大きく掲載されている


 弾が飛ばないモデルガンで射撃を楽しむ。まさに夢のようなシステムで、ここでもまたファンはM16に未来を見た。しかしBB弾を使って射撃やサバゲが楽しめるエアソフトガン人気に押され、シューター・ワンもモデルガン自体も、トイガンの主役の座を去ることになる。ファンにとっては何とも寂しい未来だった。
 それからおよそ10年後となる1991年、ホビーフィックスから発火機構を持たないダミー・カートリッジ仕様の金属製レプリカタイプM16A1モデルガンが発売される。モデルガンの注目度が低い中、1988年にはハドソンの金属製レプリカタイプM1ガーランドがヒットするなどしていたから、そんな時代の流れに合わせたものだったと思う。

 

専門誌1983年6月号のMGCの広告。M-16A1の発売後3、4カ月後でラインナップに人気モデルM655が加えられた。定価は22,000円だったが、300挺のみ19,800円で限定販売された

 

限定発売されたMGCのプラスチック製M-16A1“シューター・ワン”対応モデルとターゲットのセット。射程30mとある。専門誌1984年1月号の広告

 

 さらに10年ほどが経過して21世紀。すでにMGCはメーカーとして活動を停止しており、プラスチックM16の金型は新日本模型に引き取られていた。そして2004年、リニューアルが加えられ、M4A1として甦った。ズッシリとした重量感のあるヘビーウエイト樹脂製で、取り外し可能なキャリングハンドル部分は金属製。多くのファンが喜び、飛びついた。久しぶりの、発火して遊べるモデルガンの登場。それだけでなく、特殊部隊を中心に使われている最新の現用モデルで、模型としての完成度も高かった。
 ところが残念なことに、この金型は2007年ころに売却され、BB弾を使うガスブローバック(GBB)として生まれ変わることになる。モデルガンとしての製造は終わった。

 

2011年に発売されたタニオ・コバのプラスチック製M4-MG CP方式ブローバック。最新仕様でデザインされたロウエンフォース10.5インチショートカービン

 

タニオ・コバのM4-MGが掲載された専門誌2011年2月号の広告。カートリッジは新開発ヘキサゴンCP・BLKカート。発売時期は1月末予定とある

 

 多くのモデルガンファンが悲嘆に暮れていた2011年、独立してタニオ・コバを立ち上げた小林太三さんが、GBBをベースに開発したプラスチック製ブローバックモデルガンのM4-MGを発売した。
 M4A1ショーティの外観はもちろんのこと、内部も実銃に準じた構成で、センターファイアー方式により、ついにファイアリングピンまで再現されていた。違いは、わずかにエジェクター部分くらい。作動方式は閉鎖系のCP方式で、カートリッジはCP-HWをさらに進化させた新開発のヘキサゴンCPカーリッジを使う。モデルガンとしてはほぼ完璧と呼んでも良いような完成度。

 

CP-HWを進化させたM4-MG用ヘキサゴンCP・BLKカートリッジ。ガスの抜けが良く、撃発音も大きい

 

M4-MGのブローバックは軽快そのもの。カートリッジは軽いアルミ製なので、勢いよく遠くまで飛んでいく


 かつてM16のプラスチックモデルガンが誕生したとき、あるいは最初のM16金属モデルガンが誕生したとき(どちらも小林太三さんの設計だ)、目指していたのはここだったのかもしれない。1つの未来の姿。それ以降、新たなM16モデルガンは登場していない。

 

 

※モデル名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×