2025/03/08
ボクらはM16のモデルガンに未来を見ていた Chapter.02
先進的デザイン、小口径高速弾、アルミニウム合金、合成樹脂……M16は当時の主流であった軍用銃とは大きくかけ離れたイメージの最先端アサルトライフルだった。そんなM16のモデルガンに多くのファンが未来を見ていた。
競作
一方、頓挫した国際出版代理部のM16はマルシンに引き継がれ、ほぼMGCのM-16E1と同じ時期に発売された。アメリカ空軍が採用したのと同じM16で、A1などの改良型番が付かない最初のタイプ。MGCのものとは仕様が異なる。
最初の広告は、専門誌の1973年9月号で「マルシンと国際出版の技術提携によるM16愈々完成!」と大々的に広告している。
目玉は、実銃を採寸したリアルなサイズとリアルなメカニズム。もちろんセミ/フル切替式のブローバックではあったが、デトネーター方式がMGCの特許であり、似たようなシステムながらMGCほどの快調さは実現できず、作動は今ひとつ。マルシンは対抗するため、玩具としての側面より模型としての側面の方を重視した。結果として、実銃のマガジン、バットストック、ピストルグリップ、バレルカバー(ハンドガード)が装着可能で、初回の1,000挺はコルト社製実物のバットストック、ピストルグリップ、バレルカバーが装着されていた(とはいえ、MGCのM-16E1にも実物ハンドガードは装着可能で、MGCは後に実物のハンドガード、バイポッド、スリング、コルト社製スコープなどを輸入して販売した)。

ただ、価格はMGCが16,500円だったのに対して、マルシンのものはカートリッジ10発付きながら24,000円もした。
MGCとは正反対の設定、コンセプト。いわゆる実銃志向だった。しかしこれも大人気となり、マルシンの名は一気に広まった。
MGCのM-16E1は、ユーザーからの強い要望が多数寄せられ、発売から1年も経たないうちに三角断面のハンドガードが装着されたM-16A1(ベトナムタイプ)をバリエーションに加えた。そしてちょうど1年後くらいにショートタイプのCAR-15コマンドをモデルとしたM-15コマンド・サブマシンガンも発売された。唯一残念だったのは、MGCのM-16は構造上、ストックを伸縮式にできなかったこと。中間の位置で固定されていた。


長物人気が高まっていた1977年12月1日、再び金属モデルガンが法規制されることになる。いわゆる第二次モデルガン法規制だ。これにより長物かハンドガンかを問わず、金属製の銃身分離タイプと、一定以上の硬さを持つ金属(スチールプレス製や真ちゅう製など)のモデルガンが禁止となった。銃身はフレームやレシーバーと一体で、改造防止のインサート硬材を入れて作らなければならなくなった。
そこで1978年、新法規制に準拠するM-16の発売に合わせて、MGCは注目率の下がった長物の人気を回復するためか、あるいはモデルガンユーザーの低年齢化に合わせてか、購入しやすい廉価版の、ブローバックではない初心者向け手動式スタンダードも発売した。もちろん飾ったりするだけで撃たない人にはこれで充分。

加えて、新しい方向性を打ち出したカスタム、M-16の刻印違いのバリアント、ネームバリエーションも発売した。ブローバックモデルではありながら、基本的には発火させて遊ぶよりは、コレクションやディスプレイがメインとなるモデルガン。しかもマガジンはパーカライジング仕上げされたもので、フラッシュサプレッサーはスチール削り出しの後期型バードケージタイプが装着されていた。これに飛びついた人も多かったという。
1980年には、固定ストックのカービンタイプ、M655がカスタムとして発売されている。全体のバランスが良くカッコイイ!取り回しもしやすいと大人気になった。
一方、マルシンも新法規制に準拠するリメイク版M16を1978年に発売している。この時、単なるリメイクではなく、モデルチェンジを行ない、空軍のM16から陸軍が採用したM16A1へと進化させた。ボルトフォワードアシストも再現された。ただ、残念なことに、ロアレシーバーは従来のままだったので、ちょっとチグハグな仕様になってしまったのだが。
それが修正されるのが1981年。マルシンが1979年に開発し、ハンドガンから導入されて話題となっていた独自の閉鎖系ブローバック方式、プラグファイヤーカートリッジ(PFC)ブローバックシステムを金属製長物にも採用することになり、最初のモデルとしてM16が選ばれたのだ。


ただ、発売順はニューモデル6機種として発表されたXM177E2と、前記のMGCのM655人気を受けて急きょ加えられたらしいM655からで、PFC方式のリニューアル版M16A1が発売されたのは、それらの生産が落ち着いたと思われる6カ月を過ぎた頃だった。
この時、完全なM16A1仕様となり、快調作動も実現させた。話題のPFCは画期的なブローバック方式で、他社も続々と似たような閉鎖系の方式を採り入れていった。ハンドガン、長物に限らず、今後のオートマチックはすべて閉鎖系ブローバックシステムが採用されるのではないかと思わせるものがあった。きっとファンはマルシンのM16シリーズにも未来を見ていたのではないだろうか。
マルシンとしては、やりきった感があったにちがいない。ひとまずこれでモデルガンのM16シリーズを完結としたようだ。これ以降、小さな改良以外、バリエーションが加えられたり、リメイクされたりという大改造は行なわれていない。現在も、基本的に同じ仕様で販売が続けられている。
※モデル名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
TEXT&PHOTO:くろがね ゆう
この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。
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