2025/02/17
モデルガンに見るコンパクトオートの系譜 chapter.03
モデルガンに見るコンパクトオートの系譜
もともとモデルガンは小型のオートマチックピストルから始まった。すぐに大型拳銃も登場したが、大ヒットしたスパイ映画の影響もあって、コンパクト・オートに多くの人が飛びついた。マグナム・ブームやコンバット・シューティング人気で大型拳銃が主流になってからも、ファンには小型ならではの魅力で愛され続けている。
インパクト
セカンドインパクトは1972年だった。MGCがプラスチックモデルガンを発売したのだ。MGCはあえてプラスチックでもここまでできるということを示すために、オートマチックのブローバックも、リボルバーも、大型モデルを選んだ。結果、プラスチックモデルガンはファンに受け入れられ、次々とヒット作が生まれていくことになる。
しかし、中田商店がモデルガンの製造から手を引いたことで結束の薄れたN.K.Gグループでは、なかなかプラスチックは主流にはならなかった。
そんなプラスチック黎明期、コンパクトオートはMGCが作ったコルト32オートくらいしかない。しかし、コンパクトオートがまたモデルガンを引っぱっていくことになる。

1977年、第二次モデルガン法規制で金属製長物も規制対象とされ、銃口も閉塞、材質制限で主要部にスチールが使えなくなり、銃身分離タイプは禁止となってしまう。これによりモデルガンをやめたという人もいた一方で、プラスチック化には一層拍車が掛かった。
そして1979年、起死回生策となる燃えかすがほとんど出ないモデルガン専用火薬、MGキャップが発売される。これがサードインパクト。火薬メーカーのカネコとMGCの共同研究で生み出された革命的な玩具用火薬だ。新火薬の発売と同時にMGCから専用のプラスチック製ブローバックモデルガン、ウッズマンと32オートが発売された。


その時はまだキャップ火薬のノウハウが蓄積されておらず、未知数な部分もあったことから、最初は少ないパワーで作動させることができる22オートやコンパクトオートが選ばれたのだろう。小さいので価格も低く設定できる。
しかし間もなくガバメントなど大型のオートもキャップ・ブローバック化される。そして、MGCと技術提携したウエスタンアームズ(WA)は、製品がバッティングしないよう、コンパクトオートを担当することになったようだ。その製品が1979年のベレッタM1934と、1981年のワルサーPPK/S。
もう1つの流れはマルシンから起きた。1979年の暮れ近くになって、金属モデルガン用で紙火薬を使うものではあったが、新しいブローバック方式、プラグ・ファイヤー・カートリッジ(PFC)方式のウッズマンを発売したのだ。
最初はあまり注目されなかったものの、1980年になってキャップ火薬に対応し、まだどこも採用していなかった疑似ショートリコイルを搭載したプラスチック製のニュー・ワルサーP38を発売すると、たちまち話題となり大ヒットになった。これがフォースインパクト。



革新
PFC方式はカートリッジを密閉状態にして、その中で発火させることから閉鎖系ブローバックなどとも呼ばれた。銃本体の汚れが少なく、カートリッジさえあれば何発でも連続して撃つことができた。手入れやクリーニングが圧倒的に楽!
この閉鎖系ブローバックはそれ以降の主流となり、各社が競って似たようなシステムのブローバックを発売した。
PFCは生み出すパワーが大きいので、大型拳銃や金属製ハンドガンにも使われた。さらにマルシンは、勢いに乗って、コンパクトオートも次々と発売して行く。1981年にベレッタM84とPPK/S、1982年にFN M1910とコルト25オートといった具合。
これに合わせるように、コクサイも1981年にブローニングM1910、1982年にコルト・ポケット.25オートマチックを発売した。さらにハドソンも1982年にブローニング・ベビー.25ACPを発売するなど、奇しくも1981年、1982年はコンパクトオート・ラッシュとなった。大型を手がけていたMGCさえ、1983年に.45口径ながらコンパクトなデトニクス45オート(しかも閉鎖系のCP方式ブローバック)を発売している。おそらくこのあたりがモデルガンのコンパクトオートの黄金期だったのだろう。


その後シューティングブームやエアガンによるサバゲブームなどによって、大型拳銃のほうが人気となり、コンパクトオートの新製品開発はピタリと止まってしまう。再販やリニューアル版、そしてカスタムなどを除くと、新規のコンパクトオート・モデルガンが作られるのは、KSCのP230が発売される2010年まで待たなければならなかった。コンパクトオートというかモデルガンにとって、辛い時代の到来だった。
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TEXT&PHOTO:くろがね ゆう
この記事は月刊アームズマガジン2024年12月号に掲載されたものです。
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