エアガン

2025/01/31

モデルガン全盛期の華麗なるカスタムガバメントの世界 chapter.01

 

モデルガン全盛期の華麗なるカスタムガバメントの世界

 

PHOTO:Hisayoshi Tamai

 

 モデルガンのカスタム化は、弾丸が飛ばないので、もっぱらオリジナルの形状を好みに合わせてカッコよく改変することから始まった。そして光線を利用したシューティングシステムが登場すると、競技で好成績を収めるため、勝つための使い勝手を良くするカスタムへと発展していったが、快調ブローバック作動もまた重要な要素だった。

 

※モデル名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

 

それはガバメントから始まった

 

 モデルガンが広く知られるようになるきっかけになったとも言われるモデルが、MGCが1962年に発売したヒューブレーをベースにカスタム化したコルト・スペシャル。小型で、しかも.38口径の設定だが、デザインのモチーフはガバメントであることは明らか。


 そしてモデルガンが大人気となり、本格的でリアルなモデルガンFNブローニング380の販売方法を巡って業界が分裂した後、N.K.Gグループの1社、CMCが最初の完全オリジナル・モデルガン第1号として1966年に発売したのが、リアルサイズ、リアルメカ、リアル操作が売りの『コルト・ガバーメント45』ミリタリータイプ。最初はダミーカートリッジの無発火方式だったが、多くのリクエストを受け、間もなく発火モデルに変更された。

 

 これに対し、MGCも黙って見ているはずはなく、すぐに同じ仕様のダイナミックシリーズを立ち上げ、第1弾として『ガバーメントモデル1911A1』を発売した。これは戦後の1964年から1970年にかけて販売されたコマーシャルタイプで、CMCの販売価格4,500円に対して、カートリッジ別売ながら3,200円という戦略的な価格設定。人気を二分したとされる。

 

 さらにMGCはこのカバーメントに大きな仕掛けを仕込んでいた。リアルサイズと謳いながらも、細部の寸法が微妙に変えられていて、コマンダーを作りやすくされていたのだ。

 

MGC初代ガバーメントモデル1911A1の、初期の豪華版カタログ。コマンダーがセミカスタムであることの説明もある

 

 これにより、すぐにカスタムとして『コマンダー』が発売された。スライド先端とバレル、レコイルプラグをカットし、別に作ったハンマーとグリップセーフティに組み替えることでコマンダーになった。そのためコマンダーはガバーメントより小さいにも関わらず、作るのに手間が掛かるため、3,500円という高い値付けになった。

 

 ただ、このコマンダーは、手が掛けられていてもほんのちょっとした違いで量産品に近く、カスタムいうよりはバリエーションと捉えた人の方が多かったのではないかと思う。実際、その後、人気があって量産化されている。

 

 おそらく多くの人が、これぞカスタムと思ったのが、1969年にMGCが発売したガバメントモデル・カスタムシリーズ『ターゲットスペシャル(GMターゲット)』。


 スライドの指掛けセレーションは、ナショナルマッチのように斜めにカットされていて、スライド上面にアメリカ、ボウマン社の分厚いターゲットリブを模したものがねじ留めされ、しかも実際に調整可能なマイクロリアーサイトが載せられていた(初期モデル)。さらに銃口部にはマズルブレーキが付き、メインスプリングハウジングはストレートタイプ。

 

MGC初代ガバーメントモデル1911A1の、1970年ころに作られたと思われるカタログ。コマンダーにセミカスタムの文字はなく、ガバーメントはガバメントになっている

 

 1971年版のMGCカタログによれば、ガバーメントが880gなのに対して、GMターゲットは1,020gとかなり重い。そして人気があったことから、後に金型を起こして量産化、ガバーメントやコマンダーと同じ3,500円という価格を実現している。


 さらにMGCはこのガバーメント用オーバーサイズグリップのGMターゲットケミウッドクリップや、スコープ取り付け用のGMマウントグリップなども発売し、よりドレスアップして楽しむことができるようになっていた。


 その上、1971年に『第二次大戦・太平洋戦線記念モデル』も限定発売している。刻印の再現はもちろんのこと、クロームメッキで紫檀(ローズウッド)グリップと木製ケースも付いていたという。残念ながらボク自身は現物を見たことがないが、とても魅力的なカスタムであったことは間違いない(これは後にプラスチックのGM2でも、欧州戦線記念モデルと共にカスタム発売されている)。

 

MGC製ガバメントモデル・カスタムシリーズ「ターゲットスペシャル(GMターゲット)」。王冠マークがあることから、1969 〜1971年頃のものと思われる


 ただ、当時MGCでも積極的にカスタム展開されたのはガバーメントのみ。カタログにも載ったモデルでカスタムと名が付くのは、せいぜいウエスタン・サドル・カービンM-73を切り詰めたランダルカスタムがあるくらい。競合するN.K.Gグループでも、彫刻入りやゴールドモデルなどのほかにカタログに載るようなカスタムモデルは作られなかったように思う。


 1968年、トイガン・デザイナーの六人部登さんが中田商店から独立して六研を立ち上げ、機械加工による限定生産の高級モデルガンを作り始めると、そのクォリティの高さからたちまち評判となり、それがカスタムのイメージとして広く知られていくことになる。


 そのため、GMターゲットのようなモデルは、カスタムというよりバリエーションと捉えられるようになった。その後カスタムらしいカスタムモデルが作られるのは、プラスチックモデルガンが登場するまで待たなければならなかった。

 

1971年に限定発売された、MGC初代ガバーメントモデル1911A1のカスタム「第二次大戦・太平洋戦線記念モデル」

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年1月号に掲載されたものです。

 

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