2024/01/17
改良に次ぐ改良で完成されたボルトアクションライフルの王者「レミントン M700」【無可動実銃】
この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。
最強のライバルとの闘い
ボルトアクションライフルといえばレミントンM700こそが王者であることに異存がある人はいないであろう。しかしレミントンM700が王者になるまでには多くのライバルたちがいたのである。
1962年にレミントンM700が発表されるまで、アメリカ国内ではウィンチェスターM70やサベージ、モーゼルがシェアの大半を占めていた。特にウィンチェスターM70の人気は絶大であり1964年にはレミントンにも生産を委託するほどであった。
しかし、委託にあたってウィンチェスターM70はコストダウンを図ったマイナーチェンジを行なったところ、ユーザーは難色を示し、人気に陰りが見え始めた。対してレミントンM700はグレード分けによってユーザーのニーズに応え、着実に地位を固めていった。そんな中でアメリカ海兵隊のスナイパーライフルがレミントンM700に変わったことで、世界中のハンターたちもそれに倣うようになり、レミントンM700はウィンチェスターM70にとって代わり王者の座についた。
レミントン M700 ライフル
- 全長:1,080mm
- 口径:.30-06
- 装弾数:4発
- 価格:¥385,000
- 商品番号:【8220】
重工業国チェコから来たサソリの名を冠されたSMG
狩猟から狙撃まで、ボルトアクション式のセンターファイアライフルは単純な機構と命中精度を持ち、最もコストパフォーマンスに優れた銃であることは間違いないだろう。
レミントンは数多くの弾薬を開発し、それに対応したレミントンM700をラインアップしてきた。新しい弾薬に適合した銃をセットでリリースするというのは商売にとって重要な戦略である。
こうしたレミントンの商業戦略を支える基礎は、1940年代にM721/722シリーズで確立したが、このライフルが地味な外観をしていたからか売り上げが伸び悩み、1960年代に入ると製造コスト削減の必要となり、時代にあった新しいライフルが必要とされた。
そこでレミントンは信頼性の高いM721/722シリーズをベースに40-Xライフルのデザインを取り入れ、機械的な信頼を落とさずコストダウンを図り、改良を行なう方針をとった。
M721/722シリーズは、第二次世界大戦にて培われた大量生産技術によって製造されており、軍用銃のような鋼板プレス製のパーツが多く無骨であった。そこで外観のテコ入れとして、これをアルミ材に変更し、重厚な印象を持たせた。内部機構はモーゼル方式のオーソドックスな構造となっているが、精度・信頼性・生産性を兼ね備えたものになるようにレミントン独自の改良が加えられた。
この時代のレシーバー・アクションを持つライフルは、反動を受け止めるリコイル・ラグをレシーバーと一体成型にて製造するのが常であったが、この方法では鋳造された素材を後加工で切削するため、大規模な製造設備が必要だった。
それに対し、M700ではリコイル・ラグとレシーバーを分離し、レシーバーとバレルで挟み込む設計にしたため、規格サイズの丸棒からの旋盤加工でレシーバーが製造可能となり、削り出しの精度の高いレシーバーというユーザーの求めるものを残しながらもコストダウンに成功した。
M700の最大のセールスポイントは価格を抑えて多くのユーザーに「すぐに使える最高の精度」を提供することであり、予算に限りのある軍や法執行機関にも採用された結果は当然であろう。
登場から60年経った現在でもボルトアクションライフルの王者として君臨し続けているレミントンM700の歴史はまだまだ続くであろう。
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TEXT:IRON SIGHT
撮影協力:ビレッジ1(千葉県四街道市吉岡)
この記事は月刊アームズマガジン2024年2月号に掲載されたものです。
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