ミリタリー

2024/01/23

首都圏唯一の戦闘機部隊による飛行展示「百里基地航空祭」取材レポート!【自衛隊】

 

 2023年12月17日(日)に茨城県小美玉市にある航空自衛隊百里基地にて「百里基地航空祭2023」が開催された。同イベントは例年12月に行なわれており、首都圏に所在する唯一の戦闘航空団が所属することから毎回、戦闘機ファンや多くの観客が来場する。
 本記事ではミニレポートとして百里基地航空祭の様子を少しだけお届けしよう。

 

 

 

地上展示

 

 今回の航空祭で地上展示が行なわれたのは、
 F-2 / F-15 / F-35A / T4 / T-7 / U-125A  / U-4 / U-680A / E-2C / C-1 / P-1 / CH-47J / UH-60J / SH-60K 

 ここに本来は陸上自衛隊のV-22と米軍 F-16とF/A-18が展示される予定だったが諸事情によりキャンセルとなった。

 

F-2A

 

E-2C

 

P-1

 

 今回注目する戦闘機はF-35A。F-4戦闘機の後継として導入された最新鋭の主力戦闘機であり、高いステルス性能のほか、これまでの戦闘機から格段に進化したシステムを有した戦闘機である。そんな主要装備の1つがこのイベントではまさかの第301飛行隊50周年特別塗装機(通称スペマ)として展示されていた。

 2020年12月、第301飛行隊が三沢基地に移動し、百里基地を離れていたが、今回百里基地航空祭で地上展示を行なうために再来。多くのファンを喜ばせた。

 

F-35Aがスペマで登場

 

尾翼には301飛行隊の証であるマフラーをしたカエルの部隊マーク。ランディングギアを格納する場所には「50th Anniversary」の文字とF-4の非公式マスコットであるSPOOKが

 

エプロンで地上展示だけではなく、格納庫でジャッキアップされた姿も

 

さらには装備品とともに展示されるF-2の姿も見受けられた

 

飛行展示

 

 ここからは飛行展示についてレポートしていこう。今回の航空祭では機動飛行(F-15)・救難展示・対地攻撃(F-2)・機動飛行(F-16)・機動飛行(F-2)とかなり動きの激しい航空祭になる予定であったが、F-16による機動飛行がキャンセルになってしまった。

 

 航空祭では最初にF-2単騎による上空の天候や風向き等の調査を目的とした飛行が行なわれた。これは航空祭の実施において、なくてはならない飛行だ。

 無事に飛行できることが確認されたら、飛行展示の開始だ。

 

朝日を浴びながら滑走路に向けてタキシングするF-2
かなり強風だったので無事に飛行展示が始まるか不安であった

 

通過飛行(F-2 ×3 / T-4×1 / UH-60J / U-125A)】

 

 最初に行なわれたのは百里基地所属飛行隊による通過飛行だ。ヘリコプターも参加していることもあってか全機まとめての異種編隊ではなく、それぞれの航空機が解説とともに通過していくスタイルだ。

 

 

機動飛行(F-15 ×2)】

 

 小松基地から第306航空隊(306SQ)こと「ゴールデンイーグル」が百里基地航空祭のために飛来し、圧巻の機動飛行を披露してくれた。

 

 

 

 

 

捜索救助(UH-60J / U-125A)】

 

 航空祭では恒例となっている航空救難隊による捜索救助活動の展示だ。

 U-125Aが要救助者を捜索・発見、救難物資を投下する。その後UH-60Jによる救難活動が行なわれる展示だ。

 

 

強風だったので救援物資がかなり風で流されてしまい、地上待機の隊員たちが全速力で回収しにいくシュールな光景になっていた

 

この救難展示の見どころは、救難活動が終わった後に始まるUH-60Jによるパフォーマンスだ。低高度で360度円を描くような激しい機動を行なう。かなり見応えのあるヘリコプターの機動展示だ

 

対地攻撃(F-2 ×4)】

 

 F-4EJ改からのの対地攻撃任務(AGG = Air to Ground Gunnery)展示。F-2が合計4機が大空に上がり、それぞれでツーマンセルを組んで様々な方法で対地攻撃や、離脱の実演などを行なう。

 2機の息が合った機動はとても見応えがある。さらに対地攻撃ということもあり、かなり戦闘機が低い高度まで降りてくるのが魅力だ。

 

 

 

ツーマンセルで同時に目標に対して攻撃を行なう

 

 

手前に建造物があると高度の低さがよくわかる。圧縮効果があるとはいえ、かなり低い位置を戦闘機が飛行。同じくF-2を扱う築城の8SQに対抗しているのだろうか

 

機動飛行(F-2)】

 

 ブルーインパルスより青い機体であるF-2。その機動性能を活かし、様々な飛行を行なう航空祭の最後にふさわしい飛行展示だ。

 今回のF-2パイロットは出身が「大阪府茨木いばらき市」と「茨城いばらき県水戸市」で“いばらき”繋がりなためか、互いにラップバトルのような飛行展示を繰り広げる。そして負けた方が着陸してエプロンに戻ってくる際、ランディングギアのライトを点滅させ、負けを認める方式だ。

 

 

 

 

 

かなり乾燥していた日だったので、激しい機動を行なってもヴェイパー(※)は薄かった
※ヴェイパー:直訳すると「蒸気」という意味だが、減圧によって航空機の周りに発生する飛行機雲のことを示す際にも使用される

 


 

 百里基地航空祭は首都圏で唯一戦闘機の機動飛行や対地攻撃任務といった展示が行なわれる。横田や入間基地ほど入場者は多くないので、穴場的な魅力もある。ブルーインパルスが来ないプログラムであれば、格納庫や芝生でのんびりと飛行機を眺めることもできる。

 

 関東にお住まいの方で戦闘機を見てみたいといった方はぜひとも毎年12月に行なわれる百里基地航空祭をチェックしてみてはいかがだろうか?

 

もし車で来られる際には、航空祭の帰りに茨城空港近く「空のえき そ・ら・ら」に寄ってみてはいかがだろうか。「おみたまヨーグルト・ヨーグルトハウス」のソフトクリームとヨーグルトはオススメだ

 

(車で来ると駐車場がなく、路上駐車対策で多くの道が交通規制されています。ご来場の際は公共交通機関をお薦めします)

 

TEXT&PHOTO:出雲

 


 

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