実銃

2023/09/19

【実銃】『ジョン・ウィック』シリーズの俳優たちの射撃トレーニングを取材!!【Chapter 5】

 

JOHNWICK

PARABELLUM

銃器

 

 

 『ジョン・ウィック』シリーズは独特な世界観を持つ娯楽作品だ。派手なガンアクションが全編を貫いており、登場する銃器はどれも入念な検討の上に選ばれ、強い個性を発散、出演者と共に物語を盛り立てる存在となっている。

 シリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』で使用された銃について、その主なものをここに集めてみた。それぞれの銃の来歴を知っておけば、映画をもっと楽しめるだろう。

 

前回はこちら

 

※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年11月号に掲載されたものです。

 

 


 

今回、本格的なガンアクションに初挑戦であったハル・ベリーは今作(JW3)で大きな評価を得た。ソフィア役で女優として新境地を開拓し、さらにスピンオフ作品の製作も決定し波に乗っている

 

 

Q今回はハル・ベリーの射撃訓練も行ないましたが、それについてお聞かせ下さい。


A:彼女はこれまで大きなガンアクション映画の経験もなく当初はソフィア役に迷いがありました。監督は無名女優も含めてソフィア役を再検討しましたが、是非とも彼女に演じてほしいとオファーを諦めませんでした。

 

キアヌが射撃訓練で実際に使っていたブルバレルのSTI2011コンバットマスターの実射。
5.4インチは安定感があり狙いやすく、そして撃ちやすいが長すぎるとは感じさせない、大変にバランスが良いサイズになっている。トリガープルは実測658gとかなり軽いが、適度な抵抗感と鋭く切れる絶妙のチューンが施されている。作動は滑らかで、操作性、グリップなど、箱出しのままで競技で使え、大きな満足が得られるレベルに達している。総合的にみて個人的にもこれまで撃ってきたリミテッドガンの中で最も理想的なモデルだと感じた

 

タラン的にはサイトトラッカーとブルバレルの差は9mmの場合、極端に大きなものではないという。筆者も両方撃ってみたが、僅かにサイトトラッカーのほうが連射時のフォローアップショットの時に狙いやすいと感じたが、両者の魅力は拮抗していると感じた。現在9mmのみなのでPFがない3ガン用だ。リミテッド部門ではマイナーとなってしまうので.40S&Wモデルも近い将来登場するであろう

 

 射撃訓練といえば警察の射撃場で軍人教官のような人物が怒鳴りつけて訓練するものを彼女は想像していたそうですが、監督がこんな感じだよ、とTTIのジェイドなど女性陣が射撃する動画を見せたところ

 

こんなにも素敵な女の子達が格好よく楽しそうに銃を撃っているの? 思っていたのとまったく違う。すごいわ!

 

とソフィア役に挑むことを決めました。訓練の最初の頃、私が彼女に「きっと今回の映画があなたのキャリアを変えてくれる」と助言したところ「なぜ?」と半信半疑の答えが返ってきました。

 

ガス作動と軽量ボルトによるMPXの撃ちやすさは大きな魅力で、このモデルでは通常のフラッシュハイダーのままだが、十分にソフトなリコイルだ。AR 系トリガーの多くが組み込み可能で、滑りにくいTTIのハンドガードとAR系ストックの組み合わせでそのポテンシャルを最大限に引き上げている


 やがてNYロケが始まり、モロッコでの撮影は2018年秋に予定されていたので監督不在の状況でも続けました。彼女は格闘訓練でつま先、指、肋骨の3箇所を骨折してしまい、それでも厳しい訓練過程をこなしました。5月のNRAショーの後、彼女から携帯に連絡がありました。少し前に開催されたNYでのファンを招いた最初の試写会における反響がとても良く


「こんなクールなアクション女優は見たことがない!」

 

とファンから高く評価され、大きな自信に結びついたとのことでした。

 

G19 Gen3コンバットマスターのHBモデル。グロックの中でもベストバランスとも言われるG19をベースに、軽量化スライド、グリップジョブ、そして約1.1kgまで軽くチューンされたトリガーが組み合わさり、優れたカスタムグロックにまとまっている


 LAでの試写会後のアフターパーティーで彼女と再会し、その時にハル・ベリーは

 

「ベイビー、本当にあなたの言った通りになったわ。あなたは私の女優人生を救ってくれた!」

 

と深く感謝の気持ちを表してくれました。オスカーを受賞しても1つの作品がダメなら、ずっと不評を買い続ける事もある映画業界で、特にラジー賞をもらった2004年の映画『キャットウーマン』の事で今だに否定的に言われ続け、そこから抜け出すのに15年かかった。JW3によって女優として返り咲いた思いだ、と語っておりました。

 

3ガン競技でプロシューターから人気を博しているTTIベネリM2。ナショナルチャンピオンのタランがデザインしているため、その完成度は高く、慣性利用の作動メカによるリコイルはソフトで作動の信頼性も高い

 

 

 キアヌにとっても同じで、今回JW3の試写会前にチャイニーズシアターに手形を残し、ハリウッド俳優としての殿堂入りしました。今後は『マトリックス4』(2021年公開『マトリックス レザレクションズ』)やマーベル作品なども企画されており、彼のキャリアにとっても頂点に辿り着いていると思います。

 

およそ半年におよぶ射撃訓練でタラン・バトラーはキアヌ・リーブス、そしてハル・ベリーと親交を深めた

 

STI2011コンバットマスターを構えるキアヌ・リーブス

 

MPXを撃つキアヌ。STIとのトランジションなど劇中を想定した内容も取り入れトレーニングを行なった

 

当初はTTIで組んだカスタムAR10系(口径.308Win)ライフルでキアヌも訓練を始めたが、途中で監督の考えが変わりMPXに切り替えた

 

TTIの女性インストラクター、ジェイド・ストラック(Jade Struck)もタクティカルウェポンズトレーナーとしてタランと共にエンドロールにクレジットされている(スペルがStrutになっていたが)

 

 

ゼロ役のマーク・ダカスコスやシャロン役のランス・レディックも射撃訓練を行なった

 

タランがロードした9mmメジャー弾をSTIでテスト射撃するチャド監督。通常弾との間でボトルの破裂に圧倒的に違いを確認し満足の表情だった

 

 

タランとTTIインストラクターの女性陣

 

 

TEXT&PHOTO:Gun Professionals LA支局

Special thanks to Taran Butler, Gary Tuers, Chad
Stahelski, and Keanu Reeves.

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年11月号に掲載されたものです。

 


 

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作を観る方にオススメ!!

月刊ガンプロフェッショナルズ 2023年10月号

 

 

 キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの最終決戦が描かれる第4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、いよいよ9月22日に日本でも公開される。この映画でジョンは様々な銃を使いながら戦いを進めていくが、今月号のガンプロフェッショナルズではメインとなる3機種について、デザインを手がけたタラン・バトラーのインタビューを交えながら詳しくご紹介している。登場銃について知ることができるので、上映前にぜひご一読いただきたい。

 

 


 

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