2023/08/18
【実銃】Glock初の.380口径「Glock 42」その細部に迫る!【グロック42 Part2】
パンデミックで人気沸騰! .380口径のベイビーグロック
GLOCK 42
.380ACPのサブコンパクトであるG42、そしてちょっと大きいだけで9mmパラが撃てるG43。それならG42に存在意義はほとんどないと思うかもしれない。しかしG42にはG43とは違う良さがある。だから大人気で品薄だ。コルトのサブコンパクトである.380マスタングXSPと比べながら、その魅力の一端をお伝えしたい。
グロック42
自分は、グロックは正直好きだ。バリバリのファンと言うほどではないが、好きだ。骨董レトロ趣味の自分のはずなのに好きなのだ。枕元にいつもあるのは、グロッククローンのポリマー80社製P80(G19サイズ)だったりするほど信頼も置いている。
だからG42が登場した時は、「あらら可愛い。欲しいじゃん」と結構好意的だった。特に期待を裏切られた感はなく、むしろ喜び興奮した。
.380は元々好きな口径だ。最近はこの口径の銃が集まり過ぎて、仕方なくS&Wのボディガード380もトーラスのカーヴもベレッタのPICOもダイヤモンドバックのDB380も処分したのに、それでもまだざっと15挺近く所持しているというほどの好きモノだ。
我ながら呆れる限りなのだが、それもあって、新フレームの誕生は興味深く迎えたクチだ。
ざっと眺めるに、とにかく小柄で薄く、軽くてツルツルで可愛い。それでいて隅々までグロックというこのミニチュア感が最高。まるで、その昔にマルシンから出ていたモデルガンのジュニアシリーズを見るような塩梅だ。
大型のマグキャッチやらグリップ部のテクスチャー等、時期的にいわゆるGen4の特徴が見受けられ、スライドキャッチやマグキャッチやトリガーガードを含めたトリガーはフルサイズ版と同じ大きさだから素直に使いやすい。どこまでもまんまグロックなフィーリング。
オヤッと思ったのは、スライドにあるUSAの刻印だ。G42は他のグロックと違って米国製なのだ。オーストリア製ではないのだ。工場所在地のジョージア州の形をしたプルーフマークなども打ってあってなかなかオシャレ。米国製となった理由は、銃の輸入に関して定めた1968年のGCA法の影響のようだ。
このサイズだと規定に引っ掛かって輸入できないため、国内生産とした模様。ちなみにグロックは、G42以前に.380口径でブローバック方式のG25とG28を作っていたが、これらはGCA法のサイズ規定で米国へは入ってこれなかった。それを思うと、G42の誕生は一種稀な出来事であり、貴重な存在と言えよう。
おもむろにスライドを引いてみると、うわあ軽くて引きやすい。9mmのサブコンだとこうはいかない。スライドのセレーションがやや浅く、ピザを食ってる最中の油まみれの指だと滑るかもだが、スライドの厚過ぎず薄過ぎない程よいボリューム感が助けになるから、まあ許容範囲。スライドのぐら付きはミニマムで、精度の点でも期待できそう。
握り心地も良い。これまた一定のボリューム感があり、小型銃にありがちな窮屈さをあまり感じない。ただ一つ、握った親指がマグキャッチに思いっきり被さるのはちょっと気色悪い。
申し訳程度に浮いたフィンガーチャンネルの筋は全く役に立たないし、スライドキャッチは元々薄過ぎて指を掛けにくい。握って構えて、わざと親指に力を入れてみると、マグキャッチが極力低いのでマガジンが落ちるまでにはいかない。が、気色悪さに変わりはない。フィンガーチャンネルをもっと盛る事は、グロックデザインを堅持するあまりできなかったのだろうが…う~ん、ココは一応、要注意点かも。
おっと、文句はできるだけ止して、前述の“G42が売れるもう一つのポイント”の話に移ろう。それは、たった今述べた程よいボリューム感だ。
G42が登場した当時、業界では.380口径のウルトラコンパクト合戦が過熱していた。Kel-TecのP-3AT辺りから始まったこの超小型化志向は、2013年のベレッタPICOで頂点に達していた。どこまでも小さく軽く、ひたすら携帯性を重視するあまりに操作性と撃ちやすさがことごとく犠牲になっていた。その流れに、グロックはNOを突き付けたのだ。
流行りの最小.380を目指すのではなく、そこそこのサイズに留め、撃ちやすさとコンシール性のぎりぎりのバランスを狙ってきた。完全に発想の転換だ。
元よりトリガーは、他の超小型化を目指した.380護身銃の多くがDAの長いストロークなのに対し、短くて引きやすい。つまり、当てやすい。全然アドバンスだ。
Photo&Text:Gun Professionals サウスカロライナ支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年7月号に掲載されたものです
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