2021年8月号

2025/07/02

【NEW】Beretta ディーラーミーティング at 群馬【動画あり】

 

▲ぐんまジャイアントの貸し銃。すべてベレッタ製だ。
奥から、SL2、DT11ピラミッド(パリ2024オリンピック記念モデル:これだけは貸し銃ではない)、DT11、694、シルバーピジョン、そしてライフルのBRX1(.308Win) 
 SL2の貸し出しについては前ページに記載した通り、銃砲店経由の申し込みで、その他の銃は、ぐんまジャイアントへ直接申し込めば良い。
 BRX1は.308Winのライフルを既に所持し、.308Winの火薬類譲受許可証を持っていることが条件だ。

 

▲ぐんまジャイアントで借りることができるSL2。初期型でこれはDLCコーティングではなく、グラファイトグレー仕上げだ。左下はトップレバーで、ベレッタを象徴する3ポインテッドアローがデザインされている。発注時に指定すれば、このトップレバーが付く。


 そのショットガンが本当に素晴らしいかどうかは、実際に撃ってみないとわからない。私は、このディーラーミーティングを取材する立場であり、販売する銃砲店ではないが、その中に混じって今回SL2を実射させて貰った。

 

▲SL2を試射する参加者の皆さん。次々と射撃するため、銃はかなり熱くなってしまい、途中何度かインターバルを設けて銃を休ませた。

 

SL2実射動画↓↓ 

 正直な話、私はクレー射撃用ショットガンについて、語ることができるようなクレーシューターではない。ショットガンは長い間、所持しているが、クレー射撃をする回数は年3回程度でしかない。所持している銃の数と種類が多い(全部で11挺、内訳はライフル7挺、ショットガン3挺、エアライフル1挺)ため、クレー射撃をおこなう時間的余裕があまりないのだ。基本的にライフル屋であり、移動標的は超苦手。よってクレー射撃は“永遠の初心者”を自認している。
 そんな私でさえ、SL2の素晴らしさを実感できた。
 とにかく、この日は実射希望者が多く、その結果、射撃はひとりに付き、トラップのクレー5枚ということになった。クレーを撃つ前に2発試射もできるので、撃てる数は最大12発だ。
 射撃して感じたのが、驚くほどスイングが容易にできること、そしてフォアエンド(先台)を握る感触が素晴らしいことだ。さらに、マズルライズをほとんど感じなかった。バランス的に先が軽く(軽すぎることはない)、思った通りに滑らかにスイングできる。射撃すると少しマズルが跳ね上がるかと思いきや、全然跳ねないのだ。
 プレゼンテーションでは、ターミナルエナジー(散弾がクレーに当たった時の残存活力)を高めつつ、ショットパターンを最適化し、さらにリコイルマネジメント(反動を小さくすること)に優れているとして、SL2に採用されているSteelium Pro Xバレルの優秀さを紹介していたが、それを私のような“永遠の初心者”でも実感できたのだ。
 実際に撃ったのは、試射2発、クレー5枚に7発撃った。初矢(1発目)で3枚撃破、1枚は二の矢(2発目)で撃破、1枚は失中だ。私にしては上出来。ちゃんと1ラウンド撃ったら、どういう結果になるかはわからないが、SL2なら、いつもよりずっと良い結果になるような気がする(いつものは“みっともないスコア”なのだ)。

▲▼SL2を射撃中の私。このSL2はこれまで撃ってきた銃の中では断トツの高級銃だ。


 正直な話、クレー5枚でSL2の良さをすべて理解できるはずはない。これは経験豊かな今回ご参加された銃砲店の皆さんも同様だろう。それでも皆さんは異口同音に“ぜんぜん跳ねない、握りやすい、バランスがいい”とおっしゃっていた。
 ショットガンの場合、安価なエントリーモデルとプレミアムクラスを用いた時のスコア差は、上級者が撃った場合、せいぜい1枚か多くて2枚という差でしかない(1ラウンド25枚中、22枚か23、24枚という差)。しかし、その差が勝敗を決めるのだ。
 私は、以前このぐんまジャイアント総合クレー・ライフル射撃場でDT11を借りて撃ったことがある。その時、DT11の良さを実感したのだが、あの時よりも今回のSL2の方が、ずっとインプレッシブだった。一言でいえば、“凄く、いい!”


 今回のディーラーミーティングでは、ゲストとして、クレーシューターの宮坂七海選手も参加されていた。これは今年6月10日に発表されていることだが、宮坂七海選手は、サイトロンパイロテクニクスと契約し、今後は同社が扱う装弾ウィンチェスターAAの提供を受けることとなった。

▲▼サイトロンパイロテクニクスと契約した宮坂七海選手。今後はウィンチェスターAA装弾を使用する。この日、彼女は同社の渡邉 晃代表取締役から花束を贈呈された。


  生まれつき耳が聞こえないろう者として生まれた彼女は、剣道家として日本体育大学体育学部武道学科在学中、クレー射撃を始め、2021(令和元)年のJOCジュニアオリンピックのトラップ種目で優勝を果たした。これは競技生活開始から1年半で達成したジュニアオリンピック史上最高スコア、最年少優勝記録であり、翌2022年も同競技で優勝している。
 2022年に大学院修士課程修了後、メルカリに入社、mercari ATHLETESとして競技生活を継続、全日本女子選手権大会トラップ種目では2023年と2024年に2年連続優勝した。
 2024年にカザフスタンのアルマトイで開催されたAsian Shotgun Cup 2024でのトラップ種目では、個人戦は8位だったが、混合ミックスチームでは3位となっている。
 宮坂七海選手の銃は現在ベレッタDT11だ。彼女はベレッタとウィンチェスターAAで、ロサンゼルス2028オリンピック出場を目指している。
 7月3日発売のGuns & Shooting Vol.27には、オーダーメイドストックの記事が掲載されており、その中で宮坂七海選手のDT11のストックも紹介させて頂いた。そこでは宮坂七海選手の実績についても述べているのだが、全日本女子選手権大会トラップ種目の結果について、2023年と2024年が連続銅メダルだと間違った記述をしてしまっている。実際は既に述べた通り、2年連続優勝だ

 

大事な試合結果についての御記載を訂正させて頂きますと共に、謹んでお詫び申し上げます。

 

▲▼パリ2024オリンピック記念モデルDT11ピラミッド。パリ ルーヴル美術館のガラスピラミッドをモチーフとしたデザインがレシーバー側面に施されている。世界414挺限定。これはその256番目だ。

 

 SL2の射撃を希望する銃砲店の皆さんの実射が完了、この日のディーラーミーティングは盛況のうちに終了した。SL2は安価なショットガンではない。ベレッタの中でも最上級グレードである、“PBセレクション”にカテゴライズされるモデルで、国内におけるメーカー希望小売価格はTrapが¥5,170,000、SkeetとSportingが¥5,280,000(いずれも税込)となっている。
 これほどのショットガンならば、やはり撃って試してみてから購入を決めたいと思うだろう。従来、日本ではそのような試し撃ちをすることはできなかった。しかし、すでに述べた条件を満たすシューターなら、銃砲店経由で申し込むことで、SL2を借りて撃てるのだ。
 SL2の購入をお考えの方はぜひ撃ってみて、SL2の良さを実感していただきたい。
 Guns & Shooting Vol.27は7月3日発売だが、これに続くVol.28は今年年末から来年3月ごろまでに発売される予定だ。できれば、このVol.28にSL2の実射レポートを掲載したいと考えている。その時は、私のような“永遠の初心者”ではない、然るべきシューターさんに撃って頂く予定だ。

▲ディーラーミーティング終了後の記念写真。一部の銃砲店さんは時間の都合で先に帰られので、ここには写っていない。

 

 

Text by Satoshi Matsuo

 

Gun Pro Web 2025年8月号

 

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