2025/02/27
SHOT SHOW 2025 Part 1 Page 1-7
2025年1月21日から24日にラスベガスで開催されたSHOT SHOW 2025について、今年も例年と同様に詳しく紹介したい。まずは主要メーカーを中心に30社の新製品をレポートするPart 1だ。
Page 1 アウトライン アメリカ銃規制とSHOT SHOW 2025
Page 2 ヘッケラー&コッホUSA,
Page 3 CZ USA
Page 4 コルト
Page 5 EAA/Girsan, SARアームズ, KAHRアームズ
Page 6 モスバーグ, サベージ, ヴェルサ, ロックリバーアームズ
Page 7 S&W, エージェンシーアームズ, ジェネシスアームズ
Page 8 カニック, CADEX, デザートテック, ファイトライト
Page 9 ルガー, STP, ボンドアームズ
Page 10 キンバー, PTR, ハイポイント
Page 11 スプリングフィールドアーモリー, IWI, OAディフェンス, ラウゴアームズ
Page 12 グロック/エイムポイント, STACCATO/MEC-GAR
その他のSIG SAUER、ベレッタ、FNアメリカ、ケルテック等については5月号のPart 2に掲載します。
SHOT SHOW 2025 Outline
SHOT SHOW 2025は1月21日から24日までの4日間、例年通りアメリカ ネバダ州ラスベガスのベネチアンエキスポ、およびシーザースフォーラムで開催された。またその開催前日である20日にはラスベガス郊外のボールダーシティ ライフル&ピストルクラブで実射イベントIndustry Day at the Rangeがおこなわれた。
このインダストリーディの当日は、第47代アメリカ合衆国トランプ大統領の就任式が執り行なわれた日でもある。今回はまず、この新大統領就任に絡めてアメリカの実銃規制について少し解説したい。

カメラを構えている地点から背後方向にも同じぐらいの大きさのシューティングベイが並ぶ上に、今立っている地点の左側には1,000ヤードのロングレンジシューティングベイがあるという広大な射撃場が会場だ。この日だけで数十万発が消費されたはずだ。
アメリカの銃器ビジネス関係者は、基本的に共和党を支持している場合が多いように思える。理由は極めてシンプルで、民主党がその党全体の方針として、民間人の銃器所持に関して規制を強化しようとしているのに対し、共和党は規制強化に反対の立場をとっているからに他ならない。
NRAは昨年の大統領選挙でもトランプ支持を打ち出していたし、銃器ビジネスに携わる人達の立場としては、規制強化は市場規模を縮小させることに繋がるので、どうしても共和党支持となるわけだ。
実際にバイデン前大統領は、その職にあった4年間に、1994年にクリントン政権下で実施され、10年後に失効したAssault Weapons Ban(攻撃型武器所持規制:AWB)をより強化する形で再度施行するよう、複数回にわたって議会に求めてきた。
しかし、それが実現しなかったのは、下院を制していた共和党がそれを阻止したからだといわれている(実際にはもっと複雑で、いろいろな要因がある)。
結局、バイデン政権下でおこなわれた大きな銃規制は、2022年に21歳未満の銃購入希望者に対するバックグラウンドチェックが強化されたBipartisan Safer Communities Act (BSCA;超党派による安全なコミュニティ法)だけだ。その名の通り、これは共和党としても反対する要素はないため、すんなり可決し、実施されている。
アメリカ人にとって、銃による犯罪の多発や乱射事件が頻発する現在の状況は、憂慮すべき問題であり、国民の6割以上は銃規制強化に肯定的だといわれている。しかし、AWBのような連邦法を施行することによって、それらの犯罪や事件が減少するかどうかは不透明だ。
民主党は、市場で販売される銃を規制することで国民の安全が確保できるようになると主張しているのに対し、共和党が銃規制強化に積極的では無いのは、法規制をおこなったところで、それを守るのは善良な市民だけで犯罪者にとっては全く関係がなく、結果として善良な市民の自衛手段が制限され、市民が危険にさらされる可能性がより高まるという考えに基づいている。
そして2024年11月の大統領選挙の争点は最終的に、経済、不法移民、妊娠中絶、対中関係といったものとなり、銃規制強化の是非は争点に上らなかった。それでも、トランプ候補は第45代大統領であったときと同様、大統領に就任したら新たな銃規制強化をおこなわないことを明確に表明しており、AWB再施行を目指したバイデン大統領の政策を継承するとしたハリス候補との違いは明白だった。
大統領選挙は、歴史に残る大接戦となるというメディア各社の予想に反し、トランプ圧勝という形で終わっている。上院下院共に僅差ではあるものの共和党が議席数で勝り、これは大統領職と上下両院の多数党を共和党が制した形だ。
この結果を受けて、銃器ビジネス関係者は、これからの4年間(少なくとも中間選挙までの2年間)、特別な事態にならない限り、大きな銃規制の実施はないと判断していることだろう。当然、そのことは今後の製品展開にも大きく影響してくる。
アメリカの銃器ビジネスの現状を、NSSF(National Shooting Sports Foundation:全米射撃スポーツ財団)による調整済みのFBI全国即時犯罪身元調査システム(NICS)のデータから読み解いてみよう。これはガンショップで一般市民が銃を購入しようとする場合におこなわれる身元調査の件数を算出したもので、これによってその年に銃が何挺正規販売されたかがわかるというものだ。これによると2024年一年間の身元調査件数は15,239,011件であった。
このNICSのデータは、コロナパンデミックが起こり、社会不安が発生した2020年に爆発的に伸び、22,681,763件に達している。2019年は13,823,121件であったのと比べ、1.64倍の増加だ。
シンプルに言えば、それまで銃を持たなかった人達が不安に駆られて慌てて銃を買ったのがこの年ということになる。この時、銃も弾も市場在庫が一気に消えた。しかし、2020年をピークに、NICSの件数は減少傾向にあり、2021年が19,790,982件、2022年は17,417,123件、2023年には16,746,289件となっている。2024年はさらに下がっているが、コロナ禍前と比べれば依然として高い数値となっており、これはNICSが1993年に始まって以降、2020年になるまで一度も達していない高水準にある。
一言でいえば、銃の販売は、減少傾向にあるとはいえ、依然として好調を維持しているということだ。
今後数年間、大きな銃規制がおこなわれる可能性がかなり低くなったことで、民間の購買意欲はさらに低下するかもしれない。慌てて買わなくても大丈夫というわけだ。だとすると、銃器メーカー各社は、今後売上を落とさないように、購買意欲を掻き立てる新しい銃を発売する方向に動く必要があるだろう。それが形になって現れるのはこれからであり、来年以降のSHOT SHOWに驚くような新製品が並ぶ可能性もある。

2025年の傾向
今年のSHOT SHOWのトレンドがどのようなものであったのか、実際に会場を回ってみた感触をまとめてみよう。
今年目立ったのは、2011、もしくは1911系のダブルスタックハンドガンだ。
過去10年以上にわたって、グロックに代表されるストライカーファイアード+ポリマーフレームピストルがどんどん増加し、ほぼ市場を席捲した形になっていったが、その結果、多くのハンドガンが個性を失い、どれも似たようなものとなってしまった。
その傾向は現在も続いているが、グロック似ではないモデルとして、2011、もしくは1911系のダブルスタックハンドガンがとても目立ったのが今年だ。
いわゆるハンマーファイアードデザインという意味でも新鮮味を感じる。実際には全く新鮮ではないのだが、ストライカーファイアード+ポリマーフレームと並べると、そう思えてしまうのだ。
この2011、もしくは1911系ダブルスタックの新製品ラッシュは2年ぐらい前から始まっているが、今年はさらに加速してきた印象だ。
メタルフレームの更なる増加も今年のトレンドと感じた。数年前まで、新型のセミオートハンドガンはほぼすべてポリマーフレームという状況であったが、ワルサーQ5 Match SFあたりから変化が始まった。その頃はポリマーフレームをメタルフレームに置き換えることで注目されたのだが、現在は普通にメタルフレームで新製品が登場するようになっている。
この事は、似たような銃ばかりが並ぶ現在の傾向に変化をもたらす要素だろう。合理主義を突き詰めれば、必然的にポリマーフレームに落ち着くが、メタルフレームの採用は差別化を意識したものだからだ。
2023年1月13日にATFがアームブレイス付きの単身単銃身の銃をショートバレルドライフルと見做すという判断を打ち出したことにより、SHOT SHOW 2023から一部を除いて一斉に消えたアームブレイスが、今年は大量に戻ってきた。
2024年8月24日にテキサス州地方裁判所が、アームブレイスが装着された単銃身の銃をショートバレルドライフル(SBR)として規制の対象としたATFの判断を、恣意的であるとして無効とする判決を言い渡したからだ。
より正確にいえば、ATFがアームブレイスをストックとして規制の対象と定める過程で、行政手続法(Administrative Procedure Act)の規定を無視したことが問題視され、ATFの決定が無効となったのだ。
その結果、ARピストルなどのショートバレル ラージフォーマットピストルや一部のピストルにブレイスを付けても規制の対象とはならなくなったわけだが、この状態が今後も長く続くという保証はない。
ATFは決して諦めたわけではないだろう。いずれ次の一手を繰り出してくる可能性がある。ATFがどう出るかは不明だが、そこには政治体制も影響するはずだ。
いずれにしても今年 “ブレイス付きの銃は規制の対象外”なので、数多く展示され、このカテゴリーはかなり賑わった。
但し、ブレイス付きの製品を果敢に製品化しているのは新興メーカーが多く、歴史ある大手ガンメーカーはブレイス付きピストルの製品化には慎重な姿勢を崩していないようにも感じられた。過去約10年間、アームブレイスは黙認されたり規制されたりの連続だったわけで、今後どのような展開になるかは何ともいえない。
レバーアクションライフルのブームはちょっと落ち着いた感じだ。そう思えるのは、エアロプレシジョンとスタッグアームズが昨年に新しいレバーアクションライフルの試作品を展示し、さあいよいよ今年は製品版が出てくると思っていたのだが、その開発は一旦ペンディングとなり、エアロプレシジョンは既存のレバーアクションであるマーリン1895とロッシR95用にスケルトンストックやM-LOKハンドガードなどのレバーガン用カスタムパーツを供給する計画に切り替えてしまったことが大きく影響した。
その結果、ブームは沈静化したと感じてしまうのだが、その一方で、ファイトライトやボンドアームズのタクティカルレバーガンがあり、S&Wも1854の口径バリエーションを追加するなどの動きは続いている。今後、想定外のメーカーからレバーアクションライフルが登場すれば、ブームは再燃するだろう。
ここ数年で普及してきた5.7×28mmだが、今年はケルテックから新たな製品が登場しただけで、ちょっと足踏み傾向にある。ケルテックPR57は実に個性的だが、汎用性があるかといえば、ちょっと微妙だ。メジャーメーカーから全くの新設計で実用性に満ちたモデルが登場すれば、5.7mmの普及にもっと弾みがつくだろう。
2022年以降、SHOT SHOWへの出展を取りやめていたSIG SAUERが、大幅に規模を縮小する形ではあってもSHOT SHOWに復帰したことは、喜ばしいことだ。時代の変化でSHOT SHOWのような大規模展示会の意義が薄れ、出展しなくなった大手メーカーが何社もある中で、SIG SAUERが戻ってきてくれたわけだ。同社の出展についての詳しい記事はGun Pro Web 5月号のSHOT SHOW Part 2で詳しくご報告したい。
フェデラルアムニッションが発表した7mm Backcountry弾はハンティングカートリッジだが、これは注目すべき技術で製品化されたものだ。特許取得済みのPeak Alloy一体型高強度ケース(薬莢)を用い、コンパクトな弾薬ながら、20インチのショートバレルでもマグナムライフル並みのパフォーマンスを発揮する。今年1月7日に公式発表したばかりなのに、複数のライフルメーカーからこの7mmバックカントリー対応モデルが展示されており、今後急速に普及する可能性を秘めている。この弾薬に関しても、Gun Pro Web 5月号のSHOT SHOW Part 2でもう少し詳しくご報告したい。
4月号のSHOT SHOW 2025レポートは、Akitaさんと私(松尾)が取材したPart 1と、Hiro Sogaさんが取材した、“SHOT SHOW 2025 Report by Hiro Soga”の2本立てとなっている。また5月号でもSHOT SHOW 2025 Part 2をお届けする予定だ。
※次ページ移行の本文中に繰り返し登場するMSRPは、Maker Suggested Retail Price(メーカー希望小売価格)の略で、CLIはChamber Loaded Indicator(薬室装填識別装置)の略です。
▼ SHOT SHOW 2025 会場風景動画 4本
▲ベネチアンホテルから会場に向かう通路
▲レベル2フロア入口
▲FNアメリカのブースからグロック、スタカートのブースまで
▲S&WブースからHK, ブラウニング、ウインチェスターのブースまで