2019/08/04
【後編】実射インプレッション! エアコッキング式ボルトアクションライフル
最新から定番まで9挺揃い踏み!ボルトアクションライフルの実力を徹底検証
スナイパーライフルと言えば実銃、エアガンを問わず命中精度の高いボルトアクションライフルが主流だ。そこで各社のエアコッキング式ボルトアクションライフル9挺をピックアップ。使い勝手のチェックはもちろん、実射テストをインドアフィールド「アストレア」内のロングレンジを使って行なった。果たしてその結果はいかに…。
※実射シーンとインプレッションはこちらの動画をご覧ください。
■検証方法
ライフルスコープはVECTOR OPTICS「Grizzly 1.5-6×56E」を使用。ホップアップ調整後、銃を机の上にレストした状態から20mと30m先に置かれたA3判のターゲットに10発撃ち込み、撃ち直しや追加射撃はせず1回勝負とした。今回はスナイパーライフルなのでBB弾の重量は0.25gとした(マルゼン・アキュラシーバイオ0.25gBB弾を使用)
ARES
M40A6
※写真は試作品です。量産品とは細部が異なる場合があります
DATA
- 全 長:900mm/1,045mm(ストック展開時)
- 重 量:3,620g
- 装弾数:60発
- 価 格:オープン
- お問い合わせ先:キンワ
e-mail:sales@kinwa-co.jp
●アメリカ海兵隊の最新スナイパーライフルを再現
レミントンM700をベースに独自にスナイパーライフルをカスタムしてきたアメリカ海兵隊が新たに導入したのが、最新のレミントン製RACSモジュラーストックが付属したM40A6だ。ARESはこのM40A6をいち早くエアコッキングガンで再現。実銃同様にストック部分は折りたたみと微調整可能。バレルを覆うようにハンドガードとトップレールがマウントされている。内部は従来のARES製エアコッキングメカを踏襲。最新のモジュラーストックそのものがあまり再現されていないだけにM40A6は貴重な存在だ。
大きくドロップしたボルトハンドルは操作しやすい。ボルトのストロークはやや長いが、スムーズに引ける
ちょっとわかりにくいがトップレール中央付近にホップアップ調整用のイモネジがある
実銃と同じポジションに設けられたマガジン。装弾数は60発
モジュラーストックはチークピースやバットプレートが微調整できるだけではなく全体の剛性もしっかり確保されている。3発の平均初速は75.6m/s(0.25g弾)
20mでの集弾性(140mm)
ARES
AMOEBA ストライカーAS01 アーバングレー
DATA
- 全 長:1,080mm
- 重 量:2,550g
- 装弾数:45発
- 価 格:オープン
- お問い合わせ先:キンワ
e-mail:sales@kinwa-co.jp
●アイディアが詰まったARESのオリジナルモデル
ARESのAMOEBAシリーズのボルトアクションライフルがストライカーAS01だ。従来のボルトアクションに比べて30%ショートストローク化したコンパクトパワースプリングボルトを内蔵。ストックのカラーはブラック、アーバングレー、OD、デザートカラーの4色。オプションのM-LOKハンドガードやコッキングハンドルに加えてグリップやチークパッド、バットプレートは交換可能。自分好みにカスタムできる。架空銃的なフォルムと実用性を両立させたスタイリッシュなボルトアクションライフルだ。
電動ガンと互換性のあるスプリングを用いたショートストロークボルト。レシーバー左側にはコッキングの有無がわかるロードインジケーター付き
マウントベース前側にホップアップ調整用イモネジが設けられている。強弱の方向が刻まれているので調整しやすい
リアルポジションのマガジン。ジャムや給弾不良を抑えるダイレクトフィーディングシステムが搭載されている
マグプルのハンター700ストックをモチーフにしたかのようなストックはどのポジションでも無理なく構えられる。3発の平均初速は73.9m/s(0.25g弾)
20mでの集弾性(130mm)
S&T
M40A5 エアコッキングライフルOD
DATA
- 全 長:1,170mm
- 重 量:3,700g
- 装弾数:30発
- 価 格v¥41,000
- お問い合わせ先:UFC
●PGWマウント付きのM40A5をモデル化
海外メーカー製のエアコッキング式ボルトアクションライフルの多くがVSR-10もしくはAPS-2のシステムをベースにしている。S&TのM40A5はAPS-2のシステムをベースにしている。外観はマズルブレーキ、PGWマウントとバジャーオーディナンスのスコープマウントベース、マクミランストックが付属するM40A5の特徴を再現。トリガーガード前方のマガジンはダミーで実際のマガジンはフォアエンド下部にある。リアルさと実射性能のバランスが取れたエアコッキングガンだ。
コッキングメカはAPS-2のシステムに準拠している。ボルトはスムーズで引きやすい
ホップアップの調整はボルトをコッキングして後退した状態で保持し、チャンバー内にある2本のイモネジを回して行なう
リップ部分が隠れるエレベーションタイプのマガジン。トリガーガード前方のマガジンはダミーだ
リアルさを損ねない分、ホップアップの調整にやや手間がかかるが、調整そのものはシビアではない。3発の平均初速は83.7m/s(0.25g弾)
20mでの集弾性(143mm)
CYMA
CM702B M24エアコッキングスナイパーライフルTAN
DATA
- 全 長:1,100mm/1,160mm(バットプレート延長時)
- 重 量:2,880g
- 装弾数:25発
- 価 格:¥20,000
- お問い合わせ先:UFC
●コストパフォーマンスに優れた1挺
今回集めたボルトアクションライフルの中でもっともリーズナブル(税抜20,000円)なCYMAのM24。アメリカ陸軍や陸上自衛隊が採用しているM24SWSをモチーフにしており、特徴的なアジャスタブルバットプレートは実銃同様に調整可能。内部メカはVSR-10のシステムに準拠。色は写真のTANのほかにブラックがある。スナイパーライフルとしてはオーソドックスなスタイルだが使い勝手はいい。重量は抑えられているのでサバゲでも取り回しやすい。
ストックだけではなくバレルやレシーバーもTANカラーとなっている。ボルトストロークはVSR-10と同じ
VSR-10のシステムに準拠しているためホップアップ調整用レバーはバレル左側に露出している
マガジンはフォアエンド部分に設けられている。リップ部分を保護するカバーが追加されている
ホップアップの調整はややシビアだが初速は安定している。3発の平均初速は83.5m/s(0.25g弾)
20mでの集弾性(185mm)
ゴールデンイーグル(GE)
Nemesis Arms VANQUISH MLOK エアコッキングライフル
DATA
- 全 長:910mm/1,150mm(ストック伸張時)
- 重 量:4,800g
- 装弾数:50発
- 価 格:¥36,000
- お問い合わせ先:UFC
●実銃同様のバレル着脱機構を再現
アメリカのNemesis Armsが開発したヴァンキッシュはバレルが着脱できるマルチキャリバー・ボルトアクションライフルだ。ゴールデンイーグル(GE)のヴァンキッシュも、特徴的なバレルの着脱機構を再現している。ハンドガードにはM-LOKを採用しており、伸縮可能なストック、A2タイプのグリップ、ヴェルサタイプのバイポッドが標準装備されている。この銃は実銃同様にバレルが着脱できるところに他の銃にはないアドバンテージがある。ついつい着脱して遊びたくなるはずだ。
個性的なスクエアフォルムのレシーバー。エアコッキングメカやホップチャンバーはVSR-10のシステムに準拠している
ホップアップ調整用のイモネジはレシーバー先端上部に設けられている。ホップチャンバーはバレル側に付属している
レシーバー下部にマガジンポジションが設けられている。装弾数は50発
他の機種に比べるとやや厳しい実射結果となってしまったが、この銃の楽しみ方は実射性能だけではない。3発の平均初速は81.0m/s(0.25g)
20mでの集弾性(255mm)
■まとめ
かつてエアコッキング式ボルトアクションライフルと言えばSS9000/スーパー9やマルゼンASP-2しか選択肢がなかった時代に風穴を開けたのは東京マルイのVSR-10だった。現在では今回集めた製品を見ればわかるように、国内外を含めて複数のメーカーからリリースされており、自分好みの1挺が選べる時代となった。また、構造上の問題からリアルさが犠牲にされてきたが、各社の努力により実銃同様のディテールやリアルなマガジンポジションを実現するなど、製品のレベルは格段に向上した。
実銃ではモジュラーストックの登場などボルトアクション式スナイパーライフルのカテゴリーは近年急速に発達しており、エアガンもそれに追随するのは時間の問題だろう。エアコッキングガンの構造そのものはシンプルだが、発展の余地はまだまだ残されている。電動ガンが主流になって久しいが、一撃必殺のストイックな世界はボルトアクションライフルでしか味わえない。
TEXT:毛野ブースカ
撮影協力:アストレア
この記事は月刊アームズマガジン2019年9月号 P.54~59より抜粋・再編集したものです。