2026/10/04
【実銃レポート】“最初の一発”を教えた銃 軍用22LRトレーニングライフル【Gun Pro A.T.】
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フランスの射撃クラブに残る5挺の.22口径軍用トレーニングライフル。撃ってもリコイルはごくわずかで、発射音も乾いた破裂音でしかない。それでも多くの国の軍隊は、1世紀以上にわたって、この小さなリムファイア弾を新兵に撃たせ続けてきた。サービスライフルと同じ形、同じ重さ、同じ操作でありながら、.22LR仕様にしたライフル。これらトレーニングライフルは戦場に出ることも、戦史に名を残すこともない。しかし多くの国の兵士が最初に肩付けしたのは、たいていこのような一挺だった。
パリ近郊の射撃クラブで、5挺の.22口径軍用トレーニングライフルを撮影する機会を得た。フランスのMAS Mle1936 Tir rèduit、英国のエンフィールド3種、そしてイスラエル向けに作られたFN製マウザー。いずれも軍を離れて久しいが、5挺とも撃てる状態で維持され、現在も競技等に使われている。
筆者の一発目
個人的な話から始めることをお許し頂きたい。
フランスに移り住んで間もない頃だから、20数年前になる。パリ近郊の移動遊園地に射的の店が出ていた。並んでいたのはFA-MASの形をした22LRのライフルだった。深く考えずに料金を払い、頬を当て、引金を絞った。乾いた音がして、的が倒れた。
これが筆者にとって人生で初めての装薬銃射撃であった。日本で生まれ育った人間の多くがそうであるように、それまで装薬銃を撃った経験はなかった。最初の一発が軍用小銃の形をした22LRだったというのは、いま思えばちょっと運命的な気がしないでもない。この22LR FAMASはフランス軍の新兵教育用ライフルだった。その後、自分は本誌のライターになり、銃の世界にどっぷりと浸かることとなった。
リコイルはほとんど感じなかった。ただ、引金が落ちて弾が飛び出すまでの短い一瞬の感触だけは、いまでも覚えている。
なぜ軍隊は.22口径で訓練したのか
理由は単純で、しかも複数ある。第一にリコイルと発射音がほとんどない。射撃の基本は、照準線の一致、正しい照準像、引金の操作、そして撃発後のフォロースルーにある。実包のリコイルは、これらを身につけようとする初心者にとって妨げでしかない。リコイルを予期して肩に力が入り、引金を絞る指の動きが乱れる。22LRであれば、この妨害要因を取り除いた状態で基本動作を反復できる。
第二に経済性があり、第三に、射場の要件が格段に緩いことが挙げられる。7.5mmや.303を撃てる射場は限られるが、屋内の小規模射場でも22LRは問題なく使える。
そして第四に、単に照準の練習だけが目的ではなかった点が重要である。トレーニングライフルの多くはサービスライフルと同じ寸法・重量・操作系を持つように作られた。ボルトの操作、装填と排莢、安全装置の扱い、スリングの使い方。それらをサービスライフルと同じ手順で反復できることに、トレーニングライフルの意味があった。
技術的な解決策は、大きく2つに分かれる。ひとつは既存の銃身の内側に.22用の細い管を挿入する方式で、フランスではリチュバージュ、英国ではスリーブと呼ばれた。もうひとつは.22用の銃身を新たに作って組み込む方式だ。今回の5挺は、この2系統がきれいにわかれている。フランスのMAS 36と英国のN.9が前者、No.7とNo.8が後者。そしてFN製マウザーだけが、銃そのものを一から作っている。
もうひとつ、装填動作をどこまで再現するかという問題があった。この点で最も徹底していたのがフランスだ。
銃を貸してくれた射手と、フランスの競技事情
今回撮影した5挺は、すべてEric Poincheval(エリック・ポワンシュヴァル)の所有だ。彼は大口径・小口径双方のミリタリーライフル射撃競技で何度も優勝を重ねてきた射手で、現在の所有数は50挺を超えるという。
フランスでは、軍用銃を用いる射撃競技(TAR)が盛んだ。.22口径部門の競技距離は50m。トレーニングライフルとして生まれた銃が、軍を離れた後も競技の道具として現役で使われ続けている。今回並んだ5挺がいずれも整備された状態にあるのは、そのためだ。
エリックはこれらの銃で200mに挑んだこともあるという。リアサイトの目盛りを目一杯まで上げ、空に向けて撃つような姿勢で構える。それでも的は捉えられた。40グレインの鉛弾が、大きな放物線を描いて落ちてくる。22LRでも200mは撃って当てられるのだ。
第二次大戦時のフランス軍用MAS Mle 1936 のトレーニングライフル。サービスライフルと同じ二分割のストック、前傾したボルトハンドル、ピープサイトを備え、外観上は サービスライフルと区別がつかない。銃身下にはニードルバイオネットが収まっている。
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続きは「月刊アームズマガジン2026年11月号」でどうぞ。
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Text & Photos by Tomonari Sakurai : 櫻井朋成
この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。
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