装備

2026/08/14

新 WESTERN魂!:ウエスタンLE装備 ダブルボーダー

 

ウエスタンLE装備 ダブルボーダー

 

今年5月に新発売されたタニオ・コバ GM-8コマンダーとアームズマガジンオフィシャルグッズ「HOBBY THE PEOPLE」で好評発売中の小林太三さんのトートバッグ。このコマンダーに取り付けた貴重なカスタムグリップは12年前に入手したものだが、今思えばまさにGM-8コマンダーへ取り付けるためのものだったのだ。今回はGM-8コマンダー新発売記念のお祝いと憧れのコバさんへの感謝の気持ちも込めてウエスタンを語らせていただく

 

今年、御年90才の小林太三さん。コバさんが思い入れ深いコマンダーをGM-8として新発売されるなら、こりゃもう絶対買う以外にない!! 私自身もコマンダーは大好きだし。この写真はブラックホールでのお買い上げ直後のツーショット記念写真。モデルガンファンとして至福の瞬間、一生の記念!!

 

モデルガンの神様

 

 トルネード吉田の原点は映画だ。それとモデルガン。本連載のタイトル「WESTERN魂!」とは“西部劇を愛する心”に他ならない。そして銃は私にとってキャラクターグッズ、すなわち映画の登場人物になりきって“ごっこ遊び”をするための道具なのだ。たとえばコルトSAAとガンベルトのセットは、仮面ライダーの変身ベルトのようなもの。映画(あるいはテレビやマンガなど)で銃がカッコよく活躍すると、その銃が猛烈に欲しくなってしまう。そして、その銃をトイガンで手にすることができたなら、映画と同じことを、まんまこの現実世界でやりたい人なのだ。もちろん安全・合法で、他人に迷惑をかけない範囲でね。
 私は1970年、昭和45(フォーティファイブ)生まれ。私が生まれた頃は、西部劇は映画ジャンルとして終わりつつある時期だった。そのため西部劇は全く観なかったが、映画好きの父親の影響で、物心ついた頃から映画館で映画を観るようになっていた。たとえば『スター・ウォーズ』の第1作(1977年)も父が映画館に連れていってくれた。当時、実家の近くには映画館がいくつもあり、一部の映画館の株主優待券があったので、そこで上映する映画はタダで観ることができた。それもあって小学校高学年から高校まではアクション映画、SF映画、ホラー映画などを中心に青春映画や恋愛・感動映画まで、いろいろなジャンルの映画を映画館で観まくった。当時は2本立ての同時上映が普通で、お目当ての作品以外も一緒に観ることが多かったのだ。西部劇にハマったのは上京して大学を卒業する前くらいからだが、後にウエスタンを好きになる感性は、それまでに観た映画やテレビなどで少しずつ育まれていたのに間違いない。
 私のもうひとつの原点のモデルガンを語る上で欠かせないのは、MGCのモデルガン、すなわち現タニオ・コバ社長の小林太三さん設計の愛すべきモデルガン達だ。小学校高学年の時は、東京マルイの作るモデルガン(プラモデル)だったが、中学生になってからはおこづかいが増えたため、プラモデルじゃない(接着剤で本体貼り合わせじゃない)モデルガンを買えるようになった。中1になって、親に「テストでいい成績を取ったらモデルガンを買ってやるよ」と言われて必死に勉強して買ってもらったのがMGCのM16A1の樹脂製モデルガンの組み立てキットだった。このM16A1はウエスタンにハマる前まで、最も愛用した長物のモデルガンとなった。次にお年玉で買ったのがMGCのSIG/SAUER P220で、中2の時のいちばんの愛銃はMGCのコルトパイソンだった。当時はモデルガン好きのクラスメイト達と河原や廃工場でコンバットゲーム(モデルガンの撃ち合いごっこ)を夢中になって遊んだ。いつも最高に楽しかったな。もちろん友達もMGCのハイパトやイングラムM11などを持っていて、バンバン快調に撃たせてもらった。後に西部劇を観るようになってコルトSAAの次に買ったモデルガンはMGCのウインチェスターM1873で、これは今でも愛用している。ふと気付けば、私が最も愛して遊んだモデルガン達は、多くは小林太三さん設計の作品だったのだ。今さら言わなくてもモデルガンファンにとっては当たり前のことだが、小林太三さんはモデルガンの神様なのだ。

 

私が愛用する歴代のコマンダーモデルガン。写真上はInertia Sense(イナーシャセンス)のタニオコバGM-7.5リモデリングシリーズのコンバットコマンダー(Ver.2020)。このカスタムモデルガンも製作者のこだわりと愛情を感じさせ、「買って良かった!」と思うしかないベストモデル。2挺買った。その下はMGCのコンバットコマンダーでCP-HWスモールサイズカートリッジ仕様、ミルコートフィニッシュのモデル。MGCのGM-5は、まず大学1年生の時にシリーズ’70で最初に出たヘビーウエイトモデル(CP-HWスモールカート)を組み立てキットで購入。それが初めて買った1911オートのモデルガンだった。初めてのブルーイングにも挑戦し何とか成功、発火作動はメチャクチャ調子が良く、スペアマガジンを6本揃えて、撃って撃って撃ちまくった最も思い入れのあるモデルガンの1挺だ。なので、後からGM-5ベースでコンバットコマンダーが出れば即、買うのは当然。そこから約27年の時を経て、ついに発売されたGM-8のコマンダー。今どきコマンダーを出してくれるだけでも大感激だが、コンバットじゃないコマンダーなのが超嬉しい(実銃のコンバットコマンダーはスチール製で、コマンダーはアルミ合金製でライトウェイトコマンダーとも呼ばれる)。ナチュラルなヘビーウエイトのグレーの色合いが、くすんだアルミを彷彿とさせるので、しばらくブルーイングはせずにこのまま楽しみたい。気軽に発火して遊べるコンバットじゃないコマンダーのモデルガン。そう!これこそが私が長年、待ちわびたコマンダーなのだ


超待望の新製品モデルガン GM-8

 

 今年1月のブラックホールにてタニオ・コバから新しくGM-8コルトコマンダーが発売予定との電撃発表があって以来、ワクワクが止まらずに発売日を待ち続けていた私。発売直後の5月2日のブラックホールで買えると聞き、当日は開場前の列に並び、入場後はタニオ・コバのブースへ一直線。そこでGM-8とスペアバレル2本を、ついでにスペアマガジン2本も即、購入。そして小林社長にパッケージにサインを書いていただいた。もうね、モデルガンファンとして、こんなに嬉しい瞬間は久しくなかったのでありますよ。
 何たってコルトコマンダーが、コンバットじゃないコマンダーだったのが、嬉しさに輪をかけた。新発売を待つ間、ネットで改めてコマンダーの情報を検索するうち、後述するテキサスレンジャーのホアキン・ジャクソンが実際に勤務中にキャリーしたという愛用のコマンダーの写真を見つけ、それがコンバットじゃないコマンダーだったのだ。であればなおのこと、長らく押し入れにしまい込んでいたアレの一式を出すしかないじゃんね。

 

このメタルグリップは、映画『ダブルボーダー』でニック・ノルティ演じるテキサスレンジャーの主人公が使ったコマンダーのプロップに取り付けられていたと言われるグリップのレプリカだ。Chisholm’s Trail製。この手の金属製のカスタムグリップは、メキシカングリップとも言われ、様々な彫刻のパターンがある。テキサスレンジャーがコルト1911やコマンダーを携帯するようになると、彼らは彫刻入りのメタルグリップを好んでつかうようになったそうだ。元はメキシコでメキシコの軍や法執行機関の友人から入手したものらしい。このグリップでは上にアステカ帝国の第11代皇帝でメキシコの国民的英雄のクアウテモック王が、下に蹄鉄と馬の頭部がレリーフでデザインされている。最近、ネットを検索してアメリカのWebサイトでこれのオリジナルのグリップの写真を見つけた(後述のホアキン・ジャクソンのコマンダー)。オリジナルと比べ、だいぶディテールが甘い気がするが、まぁ、おおらかなアメリカ人が造るレプリカなのでこんなもんだろう(日本人の職人が造るなら完コピのはず)。

 

これを入手したのは2014年だが、銃が入手できたら劇中と同じガンベルトが欲しくなり、それが揃うと次はテキサスレンジャーの実物バッジと、どんどんエスカレートして、結局コスプレができるまで一式を揃えてしまった。それがこの写真だ(口ヒゲがなくてスイマセン)。テキサスレンジャーは1823年に組織され、しばしば西部劇にも登場するが、元は志願者による自警団だった。1935年にテキサス州公安局に属する法執行機関となった。彼らは伝統のカウボーイスタイルで勤務し、その長きに渡る活躍は伝説的に語られることもある。コルトウォーカーは彼らのために造られたピストルだったし、有名なウエスタンヒーローのローンレンジャーもテキサスレンジャーだったという設定だ

 


 ウエスタンLE 装備 
 テキサスレンジャー 

 

 『ダブルボーダー』のコスプレ一式は2014年から2020年にかけて6年がかりで少しずつ揃えたものだ。だがサバゲで1度着用しただけでコロナ禍となり不要・不急の外出は自粛、そのまま押入にしまわれたままになっていた。GM-8コマンダー新発売のタイミングの今、復活だ。改めてウエスタンファッションのスタイリングの一例で“ウエスタンLE装備”として紹介したい。テキサスレンジャーやテキサスハイウェイポリス、アリゾナレンジャーなど、今でもカウボーイスタイルのアメリカンポリス(法執行機関および法執行補助団体)は実在するのだ

 

私の『ダブルボーダー』なりきりセット、ガスガンバージョン。このコマンダーはウエスタンアームズの「ガルシア/ビンテージ」。『ガルシアの首』(1974年)も現代西部劇の1本で、主人公の愛銃はコマンダーだ。ウインチェスター モデル1892カービンはマルシン製ガスガンのスチールプレートフィニッシュ

 

『ダブルボーダー』のコスプレで、モデルガンで遊ぶ時のウインチェスター モデル1892はCMC製のモデルガンとなる

 

劇中ではウインチェスター モデル97(モデル1897)を撃つ場面もある。こちらはタナカ製モデルガンのモデル1897“ワイルドバンチ・ライアットガン”バージョン2ヘビーウエイト

 


 

ダブルボーダー コマンダー

 

 ここでコルトコマンダーの話をすると「コマンダーはウエスタンの銃じゃないでしょ!」と突っ込まれそうだ。確かにコマンダーはアメリカ西部開拓時代の銃ではない。だが、私にとってコマンダーと最初期のA1じゃないコルトM1911は、間違いなくウエスタンの銃なのだ。まずコルトM1911が大活躍した西部劇があって、それは有名な『ワイルドバンチ』(1969年)だ(映画のプロップとしてはスペイン製のM1911コピーだが、そこは脳内補完)。それと現代西部劇と言うべきジャンル、すなわち舞台は現代だが中身は“まんま西部劇”という作品があり、そこでコマンダーが主人公の愛銃として活躍する映画があるからだ。その1本が1987年の『ダブルボーダー』(原題:Extreme Prejudice)だ。主人公はカウボーイスタイルのテキサスレンジャー。敵のボスはメキシコの麻薬王となった幼馴染で、当時最新鋭の銃器で武装した政府の秘密特務班も物語に絡む。そのクライマックスは(後に西部劇を観るようになって思い返せば)『ワイルドバンチ』を彷彿とさせる大銃撃戦。私は高校生の時に映画館で観て、そのド迫力と主人公のテキサスレンジャーのカッコ良さにただただ圧倒されるしかなかった。ここで刷り込まれたカッコ良さへの感性が、後に西部劇にハマる要因のひとつになったのだ。『ダブルボーダー』のDVD/Blurayは日本語吹き替え入りで発売済、今ならアマゾンプライムでも有料レンタルできるようなので、未見の方は是非ご覧になっていただきたい。
 現在、私のGM-8コマンダーは、『ダブルボーダー』のプロップに取り付けられていたとされるレリーフ入りの金属製カスタムグリップに交換され、ダブルボーダー仕様となっている。コスプレも含めて、バンバン撃って遊びたい。コバさん、いつも最高に楽しいモデルガンを有難うございます!!

 

映画の後半で主人公が着用する私服も揃えた(揃ったのは、こっちが先だが)。ヒッコリーストライプのシャツに、ジーンズはリーバイスの501だ。この映画でニック・ノルティはコマンダーを片手でガンガン、ホールドオープンするまで撃ちまくる。ガシャッ!と派手な金属音をたててマガジンチェンジする豪快な使いっぷりが最高にカッコイイ。だから私がこのコマンダーを撃つ時は、ツーハンドホールドなんてしない。写真のように片手撃ちだ。ちなみにメタルグリップは実物グリップの取り扱いで有名なコンチネンタルホルスターズで取り寄せてもらい、実物のバッジや制服のシャツはアメリカンポリスグッズを扱うUSPD GEARから入手した。ハットはベイリーストックマン、ハットバンドは石原商店で購入

 

この超カッコいいガンベルトはヒップベルトとパンツベルトの2本がセットになった物で、それぞれ同じデザインのスターリングシルバーのフォーピースバックルが付いた彫刻入りの本革製。ヒップベルトにはバックレイクのホルスターに、フラップ付きのシングルマガジンポーチが2個。こんな劇中と同じコマンダー用ガンベルトなんて売ってないから、当然ながら特注だ。ベルト自体はK.M.R. WORKSへ製作をお願いした。プロップの資料は非常に少なかったが、ほぼ完全再現になっていると思う

 

このガンベルトが再現できたのは、まずスターリングシルバーのフォーピースバックルをヒップベルトとパンツベルトの大小ペアを完璧な同一デザインで揃えることができたからに他ならない。こんな大小ペアのバックルセットなんて普通じゃ売っていないので、日本最大手のウエスタンショップFUNNYへ特注した。Sunset Trails製の最高級品で、発注から入荷まで半年待ち。ベルトの完成までだとトータルで2年かかった。いろいろな意味で今じゃこんなフルセットは、もうできないだろう

 

USPD GEAR(https://uspd.ocnk.net/)へ特注したテキサスレンジャーの実物バッジ。西部開拓時代からの伝統あるテキサスレンジャーはアメリカの法執行機関の中でも特別な成り立ちをもつ組織だ。テキサスレンジャーのバッジは1875年頃から普及しはじめ、当初はレンジャー自身によって作られデザインもかなり変化したが、この現行のオフィシャルバッジは1938年から数えると3代目の物で1962年10月から使用されている。このSERGEANTランクのバッジは昔からの伝統にならって、メキシコのクアウテモック王の5ペソ銀貨(1948年)を打ち抜いて作られており、裏面や周囲のギザギザにそのコインの特徴が残っている。何てロマン溢れる最高にカッコいいバッジなのだろう

 

ダブルボーダー』の主人公には、実はモデルとなった実在の人物がいる。それがテキサスレンジャーのアイコンとなったホアキン・ジャクソン(Joaquin Jackson:1935〜2016)だ。最近、彼が生涯を通じて勤務中に愛用したとされるコルトコマンダーとガンベルト、バッジ、ウインチェスター モデル94(モデル1894)の写真をアメリカのオークションサイトで見つけることができた。コマンダーはコンバットじゃない1966年製で、口径は.45ACP(ちなみに『ダブルボーダー』のコマンダーのプロップはブランクの安定作動のため9mm口径だった)。ウインチェスター モデル94は銃身を18インチへとかなり短めに切り詰めており、口径は.30-30 Winだ(映画ではモデル1892のカービン)。実在のテキサスレンジャーがウインチェスターのレバーアクションライフルを実際に勤務中に使っていたのは驚きだが、実は撃ち合いを想定して車のトランクには常にM14を入れていたそうだ

 

『ダブルボーダー』ガンベルトの拡張装備一式。せっかくの革職人さんへのオーダーメイドなので、同じデザインでシューティングマッチ等でも使用できる1911用のホルスターとダブルマガジンポーチ(計4個)も作ってもらった。写真の美しいブルーの1911は、ウエスタンアームズのガスガン、コルトM1911アーリー・ブルースチールカスタムだ。20世紀初頭当時のコルトロイヤルブルーのミラーフィニッシュを手作業により再現した最高の逸品で、銃本体はA1になる前の最初期型のコルトMODEL OF 1911 U.S.ARMYだ。これこそが『ワイルドバンチ』の1911だと勝手に思っている。タニコバさん、次はA1じゃないM1911も出して!(熱烈リクエスト)

 

 

TEXT:トルネード吉田

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年9月号に掲載されたものです。

 

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