テキサスなお祭りワイルドホンキートンク
今回は2026年4月19日に東京サバゲパークにて開催された「WILD HONKY TONK」をご紹介したい。このウエスタンの総合イベントは年に1回のペースで開催され、今年で4回目だ。同日同所では「無限開拓祭」というリボルバーとレバーアクション限定のサバゲイベントも開催され、ウエスタンファッションで決めた人達が数多く来場し、東京サバゲパークはウエスタンなお祭りの日となった。ちなみに私は花粉症持ちのため、毎年2月下旬からゴールデンウィーク明け位まではサバゲなどの野外で激しく身体を動かすイベントは自粛。そのため、この日はワイルドホンキートンクの会場で終日まったりと過ごすこととし、無限開拓祭には参加せず、大変申し訳ないがご挨拶だけとさせてもらった。無限開拓祭も大盛況だったそうだが、こちらはまた別の機会にご紹介したい
ワイルドホンキートンクを主催するのは、私の一番弟子のゲイリー斎藤君(隣は奥様)。ゲイリー君とは、もう22年以上前からになると思うが、彼が小学生の頃からの付き合いなのだ。ゲイリー君が、このイベントでやりたい、目指したいことは私が一番理解しているつもり。だから師匠として応援せずにはいられないのだ
ウエスタンとカントリーの総合イベント
日本でウエスタン系の趣味と言えば、西部劇の映画を観ることやカントリーミュージック、乗馬、ファッション、ファストドロウ、ガンプレイ、カウボーイシューティング、西部劇サバゲなど、いろいろだ。だが西部劇やカントリーミュージックが流行ることもない今の日本では、これらは行為で縦割りになっていて、それぞれが別の趣味のジャンルに近い状態で個々に楽しまれているのが現状だろう(ウエスタンファッションは共通の服装なので除く)。しかし、これらはもともと大きなひとつのジャンルのもの、アメリカの伝統的なカウボーイカルチャーの一部なのだ。
かつて日本にも西部劇ブームはあった(1950〜60年代)。その頃は(私が生まれる前だ)牧場でカントリー&ウエスタンを聞きながら馬に乗ったり、早撃ちで遊んだりするようなイベントがあったらしい。だが、本国アメリカで西部劇が衰退したこともあって、日本にウエスタン系のカルチャーは根付かなかった。今やテレビを見ていても町を歩いていてもカントリーミュージックが耳に飛び込んでくることは滅多にない。ウエスタンファッションのアパレルを専門に販売するウエスタンショップも絶滅寸前。だが、好きな人は個々のウエスタン系の趣味をそれぞれで楽しんでいる。例えばファストドロウならファストドロウだけとか。そんな分断化された個々に楽しむ人達を再び同じ場所に集めてウエスタンな雰囲気で一緒に楽しむことを目的としているのが「ワイルドホンキートンク」だ。
何だか堅苦しい書き出しになってしまったが、要は「それぞれ同じようなウエスタンな趣味をやっている訳だから、ひとつ所に集まって、お祭り騒ぎで一緒に楽しく盛り上がろうぜ!」というノリのイベントだ。
会場は東京サバゲパークの人工芝エリアのタクティカルレンジで、テキサスのお祭りをイメージ。ワイルドホンキートンクも年々、参加者は増えてきているのが嬉しい。今の日本は新作の西部劇映画もほとんど公開されず、ふだんカントリーミュージックを耳にすることもないから、こういう伝統的なアメリカンカルチャーは、なかなか理解されない、広まらない状況となっている。だからこそ、こういうウエスタン系の総合イベントを定期開催する意義がある。イベントのメインはカントリーバンドによる演奏(&自由参加のダンス)とワイルドウエストショーで、乗馬やファストドロウ、ローピングなども体験できる。今回は誌面の都合で写真は割愛するが、会場にはキッチンカーや物販などいろいろなブースの出展もあり、フリマスペースもあり、お祭り会場としてかなり充実している
大好評の乗馬体験。本物の馬にまたがって、馬上からの眺めを少しだけ楽しむことができる。今年は諸般の事情で引き馬(スタッフに手綱で馬を引いてもらって周囲を歩く)はなく、その場での記念撮影のみとなったが、服装をバッチリ決めて乗られる方も多く、思い思いの素敵な写真を撮られていた
かっこいい!馬上のアリゾナレンジャー
この乗馬体験は、千葉県富里市の乗馬クラブ「馬’s」(バズ、旧名:ファーム・クラインガルテン)のご協力あればこそ。今回の馬はアメリカンクォーターホースで、名前はライナス。ライナスはレイニングホースでもあり、Cowboy Mounted Shooting(乗馬射撃)の大会出場経験もある、とても優秀な馬なのだ(レイニングとは馬術競技のひとつ)https://k-garten.com/
私も久しぶりに乗らせてもらった。私は、乗馬射撃の大会を定期開催していた行きつけの乗馬クラブが6年前にクローズしてから(同じタイミングでライフル射撃と狩猟を本格的に始めたこともあって)ずっと乗馬には通えておらず、私の日常には馬成分が不足気味。やっぱりお馬ちゃん、かわいい!もっと乗りたい!
ワイルドウエストとホンキートンク
イベント名の「Wild Honky Tonk」とは、主催のゲイリー斎藤君によると「Wild West」と「Honky Tonk」を合わせたものだそうだ。せっかくなので、これらを少し詳しく解説したい。
「ワイルドウエスト」とはアメリカの西部開拓時代のこと。ヨーロッパから北米に移住した人達が、やがて大陸を横断し西へ西へと向かっていった時代。そしてそれを(史実とフィクションを交えて)描いたのが西部劇(ウエスタン)だ。
「ホンキートンク」とは、カントリーミュージックの生演奏が流れるダンスフロアのある酒場のことだ(ちなみに西部劇に出てくる酒場は「サルーン」だ)。では「カントリーミュージック(単にカントリーとも呼ばれる)とは、どんな音楽か」を知らない人に説明しようとすると、これが結構、難しい。
岐阜からいらっしゃった松岡寿典さんによるブルウィップのクラッキング(カウボーイが牛追いで使う鞭を空中でパチン!と鳴らす技)と、投げ縄をいろいろな位置や大きさで華麗に回すトリックローピングのショー。今の日本でこれらの技を生で見れるのは貴重。このロープさばきは、手首と腕で回すだけの簡単なもののように一見思えるが、そのまま回し続けているとロープがよじれてくるので、指先でロープを常に送りながら回さなければならないので、実は非常に難しいのだ。ちなみに、このようなロープやウィップ、銃の曲撃ちや馬の曲乗りなどのカウボーイの技を披露するショーを「ワイルドウエストショー」と言うが、「それ何?」と思われる方は、ぜひ映画『ブロンコ・ビリー』をご覧いただきたい。現代西部劇だが、全米各地を巡業するワイルドウエストショー一座を描くクリント・イーストウッド監督・主演のめっちゃ笑えて泣ける名作だ
リボルバーみやげんさんによる早撃ち&ガンプレイショー。こういうガンショーができる人を私はもっと育てたいと思っている。みやげん君、もっとガンバレ!
会場にはカウボーイ体験コーナーとして、投げ縄のブースも設けられた。練習用の牛のダミーヘッド目掛けて縄を投げる。ロープワークはカウボーイにとって必須の技術だ
カウボーイの輪投げ遊びのホースシューピッチング(蹄鉄投げ)も楽しむことができる
もちろんファストドロウ(抜き撃ち風船割り)の体験コーナーも。会場はモデルガン持ち込み可なので、ご自分の愛銃でチャレンジできる
Backache徘徊老人さんによるギター1本の演奏によるライブ。カントリーの原点は、やはりギター1本での歌だろう。会場では貴重なギターも見せていただいた
会場は飲食のブースも充実。ブ厚いお肉のバーベキューやハンバーガー、バナナチップスやたこ焼きなどでお腹いっぱい、幸福いっぱい。今回の記事の写真はウエスタンファッションで決められた参加者を中心にセレクトしたが、服装は自由。カントリーミュージックを聴きながら飲食を楽しむもよし、それぞれの体験コーナーで夢中になるもよし、オシャレを決めて記念写真を撮るもよし。テキサスな雰囲気を自由に楽しむのが、このイベントの趣旨。ワイルドホンキートンクは家族連れで楽しめるイベントだ。実際にご夫婦やご家族連れで参加される方も多く、私も今年は夫婦で参加した
カントリーミュージック
かつてカントリーは「カントリー&ウエスタン」と呼ばれ、西部劇と密接な関係があった。だが1960年代になって西部劇が急速に衰退し、映画のジャンルとして「死んだ」と言われるようになると、「カントリー&ウエスタン」の「ウエスタン」はなくなって「カントリー」となった。しかし今もカントリーはアメリカで根強い人気を誇る音楽ジャンルで、常にヒットチャートを賑わせている。世界的トップアーチストになったテイラー・スウィフトもカントリー出身の歌手だ。
この「カントリー」を「田舎」って訳しちゃダメ。アメリカのカントリーと日本の田舎じゃイメージされるものが全く違う。カントリーという言葉を一言で的確にイコールで説明できる日本語はない。だからカントリーはカントリーだ。あわせて西部劇ファンが勘違いすることが多いのだが(私もそうだった)カントリーは西部劇の主題歌ではない。曲の内容としては恋愛(主に失恋)や人生、日常のことを歌ったものが多く、あるいはロデオに出場しているような現代のカウボーイや、テキサスやテネシーなどの地名(いわゆるカントリーと呼ばれる地域)が歌詞に出てくる曲も多い。楽器の編成で言えば、フィドル(バイオリン)とスチールギター(ハワイアンでよく聞く、座って引くギター)をフューチャーした音楽と言える(バンドの楽器編成の基本としてはアコースティックギターにエレキギター、ベースギター、ドラム)。
と、あれこれ言葉で説明しても、音楽なんて所詮は聴かなきゃわからない。日本人なら演歌が流れてきたら「これは演歌」って分かるように、カントリーも聞いていけば、曲調でどんな音楽か大体分かる。カントリーっぽく聞こえりゃ、それがカントリーだ。私がカントリーに興味を持った1990年代後半は、リアルタイムのカントリーを聞こうと思ったら、タワーレコードなどの大手の輸入CDショップのカントリーコーナーへ行って、視聴するかCDをジャケ買いするしかなかったが、今やネットで音楽は無限に聞ける時代。手っ取り早く、曲名をいくつか挙げるのでまずは聞いてみてほしい。曲は、西部劇ファンにも入りやすいように映像でカウボーイやガンマンが出てくるものをチョイスした。YouTubeで曲名を検索し「Official Music Video」などと出てくるものを選ぶのだ。数曲聞けば再生リストにいろいろなカントリーの楽曲が出てくるだろうから、あとは気ままに選んで聞けばよい。今回はすべて私の大好きな1990年代に活躍したカントリーシンガーの曲だ(アーチスト名、曲名で列記する)。
George Strait - Amarillo By Morning
▶ 全米各地のロデオ大会に出場するテキサスのカウボーイの心情を歌った曲
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George Strait - The Cowboy Rides Away
▶ 女にフラれたカウボーイは馬に乗って去っていくだけさ、という失恋の曲
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Tracy Lawrence - Renegades, Rebels And Rogues
▶ 西部劇映画『マーヴェリック』の劇中挿入曲(映画も面白くてオススメ)
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Toby Keith - Should've Been A Cowboy
▶ 6連発を腰に吊って馬に乗り牛を追うようなカウボーイになりたかった、という憧れを歌った曲
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あるいは、カウガールな女性アーティストの曲が聞きたければテリー・クラークをオススメしたい(Terri Clark で検索)。 「英語の歌なんて何を言ってるかわからん」という人は、曲名に「歌詞」もしくは「lyrics」と付けてネットで検索すりゃ歌詞はすぐに出てくるし、何なら自動翻訳ですぐに日本語にもなる。輸入盤のカントリーのCDには歌詞カードが付いていないことが多いから、昔は歌詞や日本語訳を調べるのもひと苦労だった。今や貴重なライブ映像だっていくらでも見れるし、これについてはホント実にいい時代になったものだ。
ちなみに映画にも「カントリー映画」というジャンルがある。その名とおりカントリーミュージック(とロデオカウボーイも含む)を題材にした映画で、オススメを1本挙げるなら現代のキング オブ カントリーのジョージ・ストレイト(テキサス出身)が主演した『ピュア・カントリー』だ(今ならAmazonのPrimeVideoで有料レンタルあり)。私はジョージ・ストレイトが大好きで、2001年にはテキサスでのコンサートに行ったほどだ。他にも見てほしいカントリー映画はたくさんあるが、大体は「音楽で苦労して成功した主人公が酒と女で人生を踏み外す」というパターンの話がほとんどだ(笑)。
ワイルドホンキートンクで一番盛り上がるのは、やはりカントリーミュージックのライブ。出演バンドはテキサスラングラーズ。ステージの前にはダンスフロアが設置され、ラインダンスを踊る人達も。ラインダンスは、日本のお祭りでいうと盆踊りみたいなもので、上手いヘタは関係なく、みんなで楽しく「踊らにゃ損!」という雰囲気で楽しむもの。簡単なステップなら、その場で覚えて踊れる。ちなみに私がカントリーのラインダンスを知ったのも映画だ。『クール・ランニング』という南国ジャマイカの男子4人がウィンタースポーツのボブスレーでカルガリーオリンピックに挑むというお話で、カナダのホンキートンクでラインダンスが出てくるのだ。そのシーンで「うわ!カッコイイ!」と思った感動は、今でも鮮明に覚えている。この映画で踊っているのは「スラッピングレザー」というブーツを手で叩く(スラップする)動きが特徴の定番のステップで(場所によってステップに細かな違いはある)この日も踊りました!
実は私は、ゲイリー斎藤君とはご家族でのお付き合いなのだ。もともとゲイリー君のお母様とお姉様と、よくカントリーのライブで一緒に踊って遊んでいたのだ。お二人とも今年は予定が合わず不参加だったので、写真は昨年のワイルドホンキートンクから。カウガールな美人の母娘
テキサスのホンキートンクでは、男女がペアで「スロー、スロー、クィック、クィック」のリズムのステップで踊る「Texas Two Step」が定番。日本人はシャイなので、こういうペアダンスを人前でなかなか踊ってくれないため、ご夫婦をステージへ引っ張り出して踊っていただきました(笑)。もちろんペアダンスも楽しんで踊れりゃ上手いヘタは関係なし。皆さん、笑顔が最高です。今回、初心者がツーステップを踊れるリズムの曲の演奏のタイミングが合わなかったので、ペアダンスは三拍子のワルツでした(曲は有名な「テネシーワルツ」)。ちなみにテキサスツーステップが出てくる有名な映画は1980年代にアメリカで大ヒットしたジョン・トラボルタ主演の『アーバン・カウボーイ』で、テキサスのホンキートンクを舞台にしたお話なのでオススメ
テキサスラングラーズは3人組、楽器の編成で言うとロカビリー系のカントリーバンドだ(アコースティックギターにエレキギター、ウッドベース(コントラバス))。ノリの良さは最高で、曲の合間の軽快なトークも楽しい。主なレパートリーはクラシックなカントリー曲の定番「ジャンバラヤ」や「アクト・ナチュラリー」などはもちろん、西部劇ファンにもお馴染みの「ローハイド」や「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」などのウエスタンミュージック、「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」(エルヴィスVer.)といったロカビリー曲に、「テイク・イット・イージー」、「プラウド・メアリー」などのカントリーロックと日本人に馴染みの曲も多く、カントリーの知識がない人でも楽しめるゴキゲンなライブとなっている。私は『荒野の決闘』で西部劇ファンになったのでダンスも憧れのひとつだが、ダンスは苦手というガンマンの皆さんは「ローハイド」や「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」で客席からモデルガンをバンバン発火させて盛り上がろう!! 私もあまりにも楽しかったので、曲に合わせて飛び入りでステージ上でガンプレイ。ライブの最後には松岡さんとみやげん君と私で即興のパフォーマンスで演奏を応援、イベントのフィナーレを飾らせていただいた。次回の開催は2027年4月18日(日)だそうだ。今から楽しみでならない
まとめ
「ワイルドホンキートンク」は西部劇な人達で集まって、カントリーミュージックが流れるテキサスのホンキートンクのノリで、ダンスや飲食、カウボーイの遊びを存分に楽しもう!というお祭りイベントだ。せっかくウエスタンな趣味をするなら、個々のジャンルをまたいで総合的に楽しんでもらえると嬉しい。まずはウエスタンファッションからかもしれないが、ウエスタンは生涯楽しめる幅広く奥深い趣味なのだ。
この記事は月刊アームズマガジン2026年7月号に掲載されたものです。
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