エアガン

2026/07/10

オールド・モデルガン・アーカイブ:小さな.25口径の大きな世界【Part.2】

 

モデルガンの.25口径ポケットピストルの歴史は、MGCが1962年に発売したワルサーVP-IIに始まる。その後も何機種か.25口径ポケットピストルが発売されたものの、大きく話題になることはなかった。しかしプラスチックモデルガンが主流となった1982年、再び.25口径ポケットピストルが発売され、プチブームが起きた。

 

ハドソン

ブローニング・ベビー(FN).25 ACP(1982年)

 

ハドソン製ブローニング・ベビー(FN).25 ACP

 

手動式メインで作られた.25オート!

 

 コクサイがコルト・ポケット.25を作っていることを知ったハドソンは急きょ、対抗作として、また一方で、相乗効果によってプチブームが起きることを狙って、.25口径のポケットピストルを作ることにした。選ばれた機種はブローニング・ベビー(FNベビー)。ジョン・M・ブローニングが設計したポケットピストル、FN M1906をベースに改良を加えて小型化し完成したモデルだ。
 後継モデルだけに作りやすいということも候補となった理由の1つだったらしい。ただFN M1906でも小さくてブローバックにはあまり向かないのに、ブローニング・ベビーはさらに小さい。うまくパワーを逃がしつつ、充分な強度と耐久性も確保しなければならない。ところがハドソンの閉鎖系ブローバックシステムはピストン・ファイヤー・カートリッジ方式で、その辺の調整が難しい。
 設計を手がけた御子柴一郎(みこしばいちろう)さんは、コクサイのコルト・ポケット.25の発売からあまり遅れずに発売するためにも、ブローバック性能より重く作ることに重点を置いた。そのため多くのオモリをあちこちに配し、プラスチックとは思えない重量感を実現した。マガジンさえも犠牲にされ、オモリが入っているので装弾数はわずか4発。マガジンセーフティもなくしてオモリにされた。それでも達成できた重量は200g。いかに本体が小さかったかがわかる。ただ手にすると意外に重く感じるのは確か。
 ブローバックはどうにか動くというレベル。もともとハドソンのピストン・ファイヤー・カートリッジ方式ブローバックはガス抜き穴がケース横にあり、小さなカートリッジで快調に作動させるのには向かなかったようだ。しかしブローバック全盛期でもありブローバックで発売しないわけにはいかなかった。そこで手動式のスタンダードも併売するという形を取ったが、売れたのはほとんどブローバックだったという。もしほかのブローバック方式を採用していたら、評価は変わっていたかもしれない。

 

独特なスライドとフレームの噛み合わせがわかる。バレルの下半分は金属製のオモリで埋められている

 

こちらもバレルの固定はバヨネット形式で、バレルを手で回転させるための凸部がバレル下面に設けられている

 

金属製のサブフレームは、マガジンセーフティも省略して肉厚とし、重量アップのために使われている

 

ピストン・ファイヤー・カートリッジ方式ブローバックはガス抜き穴がケース横にあり、小さなカートリッジには向かなかった

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:ストライカー方式/ファイアリングブロック(サイドファイア)
作動方式:

 ピストン・ファイヤー・カートリッジ方式(ブローバックモデル)/
 手動式(スタンダードモデル)
カートリッジ:

 ピストン・ファイヤー・カートリッジ(ブローバックモデル)/
 ソリッド・タイプ(スタンダードモデル)
使用火薬:5mmキャップ
全長:104mm
重量:200g
口径:.25(6.35mm)
装弾数:4発
発売年:1982年
発売当時価格:

 ブローバック4,800円、

 スタンダード3,900円(各カートリッジ4発付き)
オプション:専用ホルスター2,100円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、一部実測値です。また価格は発売当時のものです。

 


 

マルシン

コルト.25オート(1982年)

 

マルシン製コルト.25オート ニッケルフィニッシュ

 

マルシン製コルト.25オート メタルフィニッシュ

 

.25オート・プチブームの最後に発売されたモデル!

 

 1982年の.25口径ポケットピストル・プチブームの最後に発売されたのがマルシンのコルト.25オート。かつて、モデルガンの世界では同じような機種が発売される場合、最初に発売されたモデルが一番売れると言われていた。それでいけばコクサイのコルト・ポケット.25が有利で、実際コクサイのものが最も売れたという話もある。ただ、発売時期がそれぞれ2カ月くらいしか離れていなかったことと、多くの人がプラグ・ファイヤーカートリッジ(PFC)方式が快調作動することを知っていたこともあって、売れ行きに大きな差はなかったという話もある。
 マルシンは六人部登(むとべのぼる)さんの提案を受け、社内で検討した結果、コルト.25オートを作ることにした。六人部さんはコクサイやハドソンで.25口径ポケットピストルを作ることは知っていたらしい。とはいえ、実際の設計などはマルシン社内で行われ、六人部さんは関わっていなかったという。
 そのモデルは先行した2社とは違い、第二次世界大戦後に設計されたスペインのアストラモデル2000をコルトがアメリカ国内で製造したもの。設計はスムーズに進みすぐに完了した。
 やはり問題はブローバック作動にあった。パワーがありすぎてバレルが割れたらしい。そこで、それまでにもPP/ PPKやFN M1910などでもパワーに起因したトラブルが起きることがあり、自社ブランドのキャップ火薬、パワーキャップのパワーを抑えたプラグ・ファイヤーキャップを作ることになったそう。
 こうして快調ブローバックとして発売されたコルト.25オートだったが、ばねにバラツキがあり、作動不良が起きることもあったらしい。そのため人によって評価は異なることも。とはいえ、唯一、現在も、ヘビーウエイト樹脂製のダミーカートリッジ仕様で販売が続けられているモデルでもある。

 

コルト.25オートもバレルの固定はバヨネット形式で、バレル下面に手で回転させるための凸部がある

 

ベレッタM1934のようなメカニズムで、フレームは至ってシンプル。ハンマーとエジェクターしか見えない

 

センターファイア方式が確立されていなかったので、サイドファイア方式だ。そのためファイヤリングプレートはエキストラクターと一体になっている

 

マルシンのプラグ・ファイヤーカートリッジ(PFC)方式ブローバックのカートリッジ。撃針はリム側にある

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:

 シングルアクション・ハンマー/

 ファイアリングプレート(サイドファイア)
作動方式:プラグ・ファイヤーカートリッジ方式(PFC方式)ブローバック
カートリッジ:プラグ・ファイヤーカートリッジ
使用火薬:5mmプラグ・ファイヤーキャップ(パワーキャップは不可)
全長:112mm
重量:180g
口径:.25(6.35mm)
装弾数:6発
発売年:1982年
発売当時価格:

 メタルフィニッシュ5,500円/ニッケルフィニッシュ5,500円/
 スタンダードフィニッシュ4,500円(各カートリッジ6発付き)
オプション:

 アイボリーグリップ(プラ)800円、

 木製グリップ(チェッカー)2,500円、

 木製グリップ(プレーン)1,500円、

 ヒップホルスター(バスケット)3,200円、
 ヒップ&レッグホルスター(プレーン)4,500円、

 カートリッジ1発120円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年8月号に掲載されたものです。

 

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