エアガン

2026/06/10

オールド・モデルガン・アーカイブ:プラスチック製サブマシンガン4選【後編】

 

誰もがプラスチック製のサブマシンガンなんて無理だと思っていた1980年、MGCからS&W M-76が発売され、新しい歴史が動き出した。

 


 

マルシン ニューMP40(1984年)

 

マルシン製ニューMP40

 

組立キットとして発売された快調PFC SMG !

 

 マルシンが1979年に開発した新たなプラグ・ファイヤーカートリッジ(PFC)方式ブローバックは、実に画期的なシステムで、その後のブローバックモデルガンの流れを変えてしまうほどの大発明だった。1980年発売のキャップ火薬対応プラスチック製ショート・リコイルP38は大ヒットとなった。
 最初は発火ガスの抜けが良くなく、撃発音も小さかったが、すぐに改良され、多くのモデルガンに応用されていった。特に発生するパワーが大きかったことから、金属製長物でもほとんどそのまま使うことができ、MP40、MP41、M16A1やそのショートバリエーション、ウージーなどを次々とPFCブローバック化した。ただ、紙火薬式旧モデルの改良版で、いまひとつ新鮮味に欠け、金属製では銃口が閉塞されていることから、発火ガスが直接前方へ抜けないため面白みも少なかった。


 そこでマルシンは、新規の、ガスが抜けるプラスチック製の長物モデルガンの開発を決める。それがドイツの名銃MP40だった。MGCがM-76やM-11のSMGを次々と大ヒットさせていたということもあったのだろう。自社のプラスチック製P38も大ヒットとなっていた。ただ、日本の経済は1979年から始まった第2次オイルショックの影響を受け、不況のまっただ中。モノが売れなくなっていた。そのため、少しでも単価を下げて買いやすくしようと、組立キットでの発売としたのだ。東京マルイが安価な作るモデルガンシリーズで成功していたことも影響していたと思われる。しかも、発売年の1984年はトイガンの主流がモデルガンからエアソフトガンへと移りつつあった年。


 結果、決定版ともいうべき完成度の高いMP40だったにもかかわらず、またPFCブローバックの快調作動モデルだったにもかかわらず、大きな注目を集めることはなかった。しかしマルシンのMP40はその後もしっかり生き残り、ヘビーウェイト樹脂化され、現在も販売が続けられている。

 

ボルトハンドルは別部品で、実銃同様押し込んでボルトをロックすることができる。写真はロックを解除した(赤いペイントが見える)状態

 

フリップアップ式のリアサイトもしっかり再現。100mと200mで切り替えることができる

 

フレームの緩み止めのダブルスクリューも、モールドではなく実際のネジで忠実に再現している

 

リコイルスプリングはボルトにはめ込まれていて飛び出すことはなく、3段式のチューブに入っているのでサビの心配も少ない

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:オープンボルト、フルオート
作動方式:PFC方式ブローバック
カートリッジ:クローズドタイプ、PFC(プラグ・ファイヤーカートリッジ 当時の表記)
使用火薬:7mmプラグ・ファイヤーキャップ
全長:838mm(ストック折りたたみ時622mm)/実測値
重量:2,422g/実測値
口径:9mm
装弾数:32発
発売年:1984年
発売当時価格:組み立てキット15,000円(カートリッジ5発付き)

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、一部実測値です。また価格は発売当時のものです。

 

※このモデルガンの写真はすべてPhoto by Hisayoshi Tamai

 

 

MGC ベレッタM-12S(1984年)

 

MGC製ベレッタM-12S

 

プラモデルとして発売された最初で最後のモデル!

 

 第2次オイルショックによる不況の影響はモデルガン業界にもおよび、1982年にはいち早くマルシンが廉価版となる組立キットを発売している。1983年になると各社も競うように組立キットを発売した。
 組立キットというのは、いわばモデルガンを完全分解したような状態で販売するもので、基本的には工具を使って組み立てれば完成する。切ったり、削ったり、接着したりする必要はない。そのため、いくらコストを下げようとしても限界はある。


 そこでMGCは組立キットをさらに一歩進めて、まさに東京マルイの作るモデルガンのように、プラモデルとして自分でランナーに付いたパーツを切断し、接着して作るモナカ構造のモデルガンを作ることにした。こうすることで、当時、低年齢層から大人まで人気となっていたエアソフトガンのSMG、マルゼンのKG9に対抗しようというものだったらしい。選ばれたモデルはベレッタのM12S。
 MGCのM-12Sは、省略部分や一体で作られた部分も多かったものの、低年齢層向けであり、価格のほうが重要視された。実際、KG9が8,500円のところ、M-12Sは7,500 円を実現していた。


 しかし、ユーザーが求めていたのはそこではなかったようだ。自分で作るのは面倒くさいと、完成品を求める声が多かったという。快調なCP方式ブローバックのSMGだったものの、バリを取ったり、接着する必要があって、雑に作るとブローバックの作動性能に大きく影響した。ユーザーは買ってすぐ簡単に遊べる安価なものを求めていたようで、プラモデルはその要望に合わなかった。1年後には完成品も発売されたものの、すでに主流はエアソフトガンに移っていて、マルシンのMP40同様、大きく注目を浴びることはなかった。
 M-12SはMGC最後のプラスチック製SMGとなってしまった。

 

見事に再現されたフロントサイト。どう見ても調整可能にしか見えないが、接着なので動かすことはできない

 

リアサイトはL型のフリップタイプで、200mと100mの切り替えが可能

 

大きな金属オモリを使ったL型ボルト(上)と、レシーバーと噛み合う歯車のような刻みの付いたバレル(下)。左が銃口側

 

レシーバー先端にはバレルを固定するバレルキャップと噛み合う歯があり、その下にバレルキャップを固定するロックがある

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:オープンボルト、セミ/フルオートマチック切換式
作動方式:CP方式ブローバック
カートリッジ:クローズドタイプ、専用9mm CP-BLKカートリッジ
使用火薬:MGキャップ7mmBLK
全長:645mm(ストック折りたたみ時418mm)
重量:1,630g
口径:9mm
装弾数:32発
発売年:1984年
発売当時価格:

 組立キット7,500円(カートリッジ10 発付き)、
 カートリッジ10 発800円、

 1年後に完成品13,000円(カートリッジ10 発、スリング、キャリングケース付き)も発売

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年7月号に掲載されたものです。

 

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