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2026/01/07

オールド・モデルガン・アーカイブ:ファンを驚かせたユニークなモデルガン6選【Part.2】

 

ファンを驚かせたユニークなモデルガン6選 Part.2

 

モデルガンのスタイルがまだ定まっていなかった頃、そしてモデルガンが法規制の危機にあった頃、ファンを驚かすようなユニークなモデルガンが作られた。今回はその中から6機種をピックアップしてみた。

 

 前回の記事はこちら 

 

MGC U.S. M-3サブマシンガン(1964年)

 

MGC製U.S. M-3サブマシンガン

 

ぜんまいの力でカートリッジをまき散らすトイガンメカ!

 

 モデルガンの黎明期、1964 年に発売されたのが、モデルガン初の長物にして、モデルガン初のスチールプレス・モデル、MGC のM-3 サブマシンガン、通称グリスガンだ。
 まだモデルガンはどうあるべきか定まっておらず、玩具の延長線上にあって、リアルさもさることながら、遊べることが重要視されていた。設計を手がけた小林太三さんはカートリッジ(空薬莢)を飛ばすことにこだわりを持っていたようで、1962 年に発売されたコルト・スペシャルも、スプリングの力でカートリッジが排莢されるようになっていた。
 その後、MGCは純国産モデルガン、ワルサーVP-IIを発売するが、これも指アクションでカートリッジが飛んだ。さらに続く長物のM-3も当然カートリッジが飛ばなければならなかった。
 もちろん当時は火薬を使うブローバックシステムなどないから、動力としてはスプリングを使うのが最も合理的だったのだろう。小林さんはぜんまい時計のテンプと振り石とガンギ車の仕掛けを参考に、ぜんまいでボルトが前後動して、マガジン内のカートリッジを吐き出すメカニズムを考案した。これはまさにコルト・スペシャルのフルオート版だ。
 まずトリガーを引く前にコッキングレバーをぐるぐると回転させてぜんまいを巻き上げる。トリガーを引くとぜんまいが解放され、回転運動が往復運動に変換されてカートリッジがマガジンのスプリングの力ではじき出される。しかも部品同士が激しく衝突し、それがレシーバー内で反響することで、タンタンタンという大きな音を立てる。
 ユニークで、とても楽しいモデルガンだった。しかし時代はよりリアルな方向へ向かっており、火薬を使うブローバックの時代がすぐそこまで迫っていた。

 

ボルトがこの位置から10mmほど前進すると、カートリッジはマンガジンのスプリングの力で排莢口からはじき出される

 

実銃ではボルトのコッキングに使うレバーを、時計回りにぐるぐる回してぜんまいを巻き上げる

 

三枚羽根のぜんまい入りモーターが回転することで矩形の穴が開いたプレートを前後動させ、連動するボルトが動く仕掛けだ

 

三枚羽根モーターの裏側。中には結構強力なぜんまいが仕込まれている

 

 DATA 

主材質:スチールプレス、亜鉛合金ダイカスト
撃発機構:なし
発火機構:なし
作動方式:ぜんまい動力自動排莢システム
カートリッジ:オープンタイプ(9mm×22)
火薬:不使用
全長:700mm(ストック伸張時)
重量:3,000g
口径:.45ACP(本体刻印)
装弾数:25発
発売年:1964年
発売当時価格:4,950円、カートリッジ25発付き
 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 

このモデルガンの写真はすべてPHOTO BY Keisuke.K

 


 

MGC レミントンM31-RSライアットショットガン(1975年)

 

MGC製レミントンM31-RSライアットショットガン

 

驚異の安全対策チャンバーレス構造

 

 1971年10月20 日に最初のモデルガン法規制が施行されると、モデルガンをやめる人も出て、モデルガン業界には沈滞ムードが溢れた。
 そんな中、MGCは活気を取り戻すための新製品として、法規制対象外の長物であるポンプ式ショットガンを発売する。それは、起死回生の新機軸として作ったプラスチック製のハイウェイ・パトロールマン41、通称ハイパトがよく売れ、TV や映画でも刑事物や警察物の人気が高かったことから、アメリカの警察でリボルバーとセットでよく使用されるポリス・ショットガンも人気が出るだろうという読みだったという。しかも年少者でも買いやすいように、比較的安価で作ることができる設計だった。
 ただショットガンは日本でもハンティングなどでポピュラーであり、悪用される心配もあったことから、割とクラシックなレミントンM31が選ばれた。そして実弾が装填されないよう、実銃にはないショットシェル・サイズとされた。さらに、設計を手がけた小林太三さんは、ショットシェルがバレル内に装填されず、バレル後端の前撃針で発火するというチャンバーレス構造とした。これなら改造される心配はない。
 狙いは見事に当たり、大人から子供まで、多くの人にウケて大ヒットとなった。ところがわずか2 年後の1977 年に第二次モデルガン法規制が施行され、規制対象となって姿を消すことになってしまう。それでも、たくさんのファンの惜しむ声により、1981年にプラスチック製として、往年の姿のまま復活を遂げている。まさにファンに愛されたモデルガンだった。

 

シェルが装填されるチャンバーがないので、ローディングポートから覗くと、発火位置にあるシェルが見える

 

ここからボルトが閉まっても、シェルはこれ以上前進せずこの位置に留まる

 

エジェクションポートを覗くと、すぐそこにリング状の前撃針が見える

 

ブリーチブロックはブロック状ではなく、ペラペラの板状。エキストラクターとして働く爪が前部(写真の左側)にある

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金(1981年に耐衝撃性ABS樹脂で復活)
撃発機構:ハンマー、シングルアクション
発火機構:前撃針(チャンバーレス)
作動方式:ポンプアクション
カートリッジ:12ゲージ・ショットシェル
使用火薬:平玉紙火薬、のちにキャップ火薬
全長:810mm
重量:3.1kg
口径:12ゲージ
装弾数:5発+1
発売年:1975年
発売当時価格:スタンダード9,900円、
デラックス12,900円(ウォールナット仕上げ)、ショットシェル別売り 1発200円

 

※金属製は販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処
せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格
は発売当時のものです。

 

このページの写真はすべてPHOTO BY Hisayoshi Tamai

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※拳銃型の金属製モデルガンは、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルであっても、経年変化等によって金色が取れると銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年2月号に掲載されたものです。

 

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