エアガン

2026/06/09

オールド・モデルガン・アーカイブ:プラスチック製サブマシンガン4選【前編】

 

誰もがプラスチック製のサブマシンガンなんて無理だと思っていた1980年、MGCからS&W M-76が発売され、新しい歴史が動き出した。

 


 

MGC S&W M-76 SMG(1980年)

 

MGC製S&W M-76 SMG

 

快調作動で、遊べることを証明した第1号!

 

 プラスチック製モデルガンのパイオニアだったMGCは、1978年、初めてのプラスチック製長物(ながもの)M-1カービンを発売。そして1年後、フルオートも可能なM-2カービンも発売、大ヒットさせた。
 さらに同じ年、花火で知られるカネコと共同開発した、画期的なキャップ火薬を発売すると、それが使えるS&WのM-59を発売した。もちろんキャップ火薬1発で快調作動。メガヒットとなった。


 そして1980年、プラスチックのフルオートと、M-59用のカートリッジを組み合わせた初めてのサブマシンガン(SMG)が発売されることになる。選ばれたモデルはS&WのM76。映画『サブウェイ・パニック』(1974年)で印象的に使われていたサブマシンガンだ。

 キャッチフレーズは「キャップ火薬で36連射!」。もちろん発売と同時に大ヒット。ただバレル基部が割れやすいということはあった。しかしそれも後にチャンバー内に割れ止めのリングを入れるなどの改良が加えられ、解決された。


 快調作動で、手入れも簡単。だれでも気軽に豪快なフルオートブローバックを楽しむことができた。時代の先駆けとなった名銃だった。

 

プレスと溶接の感じをモールドでリアルに再現。この表現は次のイングラムM-11でさらに洗練されたものとなる

 

耐摩耗処理が施されたコケシ型のデトネーターが使われている。初めてのプラスチック製SMGということもあり、初期にはバレル付け根が割れることもあった

 

実銃が開発された1967年頃には珍しかったアンビタイプのセレクター兼セーフティ。ボルトのストロークは短めに設定されていた

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:オープンボルト、セミ/フルオートマチック切換式
作動方式:デトネーター方式ブローバック
カートリッジ:オープンタイプ、9mm-MG-BLK(9×24mm、インナー方式)、別売
使用火薬:MGキャップ7mmBLK
全長:772mm(ストック折り畳み時510mm)
重量:1.5kg
口径:9mm
装弾数:36発
発売年:1980年
発売当時価格:15,000円(本体のみ、カートリッジ別売)
オプション:カートリッジ1箱(20発入り)1,200円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 

 

MGC イングラムM-11(1981年)

 

MGC製イングラムM-11(フル装備)

 

MGC製イングラムM-11(本体)

 

1秒24連射の超快調作動で一世を風靡!

 

 MGCは1980年に初のプラスチックSMG、M-76の大ヒットさせたのを背景に、矢継ぎ早にプラスチックSMGの第2弾を発売する。それがイングラムM-11だった。こちらのキャッチフレーズは「1秒間に24発の自動排莢作動!」。
 その魅力は、高速連射はもちろん、イングラムが『マックQ』(1973年)や「コンドル」(1975年)などの大ヒット映画でカッコよく使われたということもあるが、本体のみだと16,000円するのに、特大のサウンドサプレッサー、ストラップ、予備マガジンなどが一緒になったフルセットだと19,000円と超格安になるという販売方法にもあった。のちにフルオートのみにした9,500円の廉価版も発売されている。おそらく当時のモデルガンファンのほとんどがM-11を手に入れ、撃ちまくったのではないだろうか。プラスチックというハンデをものともしない超大ヒット。他社はどこも追随できなかった。

 

 目玉はもちろん快調な超高速連射。1秒間24発は、毎分の発射速度に直すと1,440発/分だ。撃発音もビリリリリリなどという独特のものになる。カーリッジはシャワーのように吐き出される。連射を続ければデトネーターが赤熱して光るとも言われた。
 その快調作動を実現するため、初めてプラスチックモデルガンで高比重樹脂が採用された。通常のABS樹脂は軽いためボルトが速く動きすぎてちゃんと作動しなかったという。さらに、マガジンにも工夫が加えられ、サビ防止とリップの変形防止のため、モデルガンで初めて、MGCがミルコートと名付けたQPQ処理が施された。そしてプラスチックの安っぽさを消すため、仕上げはM-76で初めて採用されたサンドブラストも採用されていた。


 革新に革新を重ね、プラスチック・サブマシンガンは一気に飛躍を遂げていった。その結果の大人気。M-11の出現で、デトネーター方式ブローバックは頂点を迎えたとも言われた。


 

M76とよく似たフロントサイト。質感やリアルさが一段とアップし、エレガントささえ感じさせる仕上がり

 

上の穴がリアサイトで、下の2つの穴はスリングのフックを取り付けるためのものとされる

 

レシーバー下面、グリップの後方に、ストックを固定しているストックラッチ(ボタン)がある

 

M-11で初めて採用された高比重( ヘビーウェイト)樹脂が、ボルトに使われている。当時のものはやや茶色味を帯びた色をしていた

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性ABS樹脂
撃発機構:オープンボルト、セミ/フルオートマチック切換式
(のちにフルオート専用モデルも発売)
作動方式:デトネーター方式ブローバック(のちにCP方式)
カートリッジ:オープンタイプ=9mmショートMG-BLK(380・SUPER、9×22)、
インナー方式、別売り
使用火薬:MGキャップ5mmBLK
全長:225mm
重量:1.2kg(フル装備)
口径:.380
装弾数:32発(のちに16連マガジンも発売)
発売年:1981年
発売当時価格:16,000円(本体のみ)、19,000円(フル装備)、各カートリッジ別売
付属品:フル装備はサプレッサー、ストラップ、予備マガジン、ローディング・ロッドA、B、エジェクションロッド、デトネーターロッド、オイル、ネジリブラシ、メン棒、1.5mmレンチ付き。

オプション:

 カートリッジ20発入り1箱1,100円、

 サウンドサプレッサー3,800円(DX)、1,800円(S)、

 ストラップ700円、32連マガジン2,000円、16連マガジン1,600円、

 ホルスター6,000円、マガジンローダー400円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年7月号に掲載されたものです。

 

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