2025/06/21
最新最強のCQBテクニック、ついに書籍化!~『CQBテクニック 近接戦闘バイブル』発売記念 友清仁×毛野ブースカ CQBスペシャル対談(前編)~
友清 仁氏著作、アームズマガジン・エグゼクティブエディターの毛野ブースカ監修による近接戦闘(Close Quarters Battle=CQB)における基礎知識や戦闘方法を解説したマニュアル本『CQBテクニック 近接戦闘バイブル』が2025年3月25日に発行された。この書籍ではCQB戦術の根幹となる基礎知識やテクニックを厳選。単独CQB、2名のCQB、3名以上のチームエントリーに分類して俯瞰からのイラストに加えて写真でテクニックを解説。さらにCQBに適した銃やアクセサリー類の特徴、ベルトキットやプレートキャリアなどのセットアップポイント、ハンドガンとライフルの撃ち方も解説している。
CQBテクニックを知りたいサバゲーマーはもちろんタクティカルトレーニングやFPSゲームを好きな方にもお薦めしたい本書の発売を記念して、友清氏と毛野ブースカの対談が実現。前編は本書の内容や制作時の苦労話について語ってもらった。
1974年生まれ。フリーの翻訳家、同人作家、軍事評論同人誌『ミリタリーナレッジレポーツ』代表。商業誌翻訳では『最強軍団海兵隊』『最新スナイパーテクニック』『SAS サバイバルテクニック』(並木書房)、『特殊部隊作戦史』(原書房)、『イラストで学ぶ!世界の特殊部隊』(ホビージャパン)など。アフガニスタンで活躍した特殊部隊について解説した
ブログ「Special Forces in Afghanistan War against Terrorism」を執筆中。
YouTubeチャンネル「ミリタリーナレッジレポーツ オン ウェブ」も展開中
1972年生まれ。アームズマガジン・エグゼクティブエディター。エアガンシューティング歴40年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで29年、300冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる
毛野ブースカ(以下ブースカ):今回『CQBマニュアル 近接戦闘バイブル』の監修を担当させていただきましたアームズマガジンのエグゼクティブエディターを務めております毛野ブースカです。まずは友清さんの経歴を教えていただけますか?
友清仁(以下友清):もともとミリタリー関連が好きで趣味でやっていました。学校を卒業して普通の会社に勤務して、品質管理部門に配属されて海外のマニュアルや契約書、仕様書などを翻訳することをやっていました。留学経験はありませんでしたが英語は得意だったので、それが英語(英訳)との出会いでした。
そうした翻訳の仕事をしていたのですが、会社を辞めることになり、さあどうしようかと悩んでいた時に、英語を使って商売をしようと思いました。英語力もブラッシュアップして翻訳の仕事を始めたのです。エージェンシーみたいなところに登録して、そこから仕事をもらうようになり、某省からの仕事がエージェンシーを通してくるようになりました。それをやっていくうちに、ミリタリーマニアの中で海外の情報が欲しい方がたくさんいるのではないかと、じゃあ海外の情報を翻訳して出してみようと思ったのです。
それで企画を出版社に持ち込んだのですが、現代のミリタリー関連の情報を扱うものは、ほぼほぼ相手にされませんでした。その中で唯一軍事関連の書籍の老舗である並木書房さんにやってみろと言っていただき、湾岸戦争以降の海兵隊とかスナイパーの情報を訳した書籍を2冊出させてもらいました。それがきっかけで海外のミリタリー関連の情報を翻訳して書籍化する仕事を始めたのですが、並木書房さんとの仕事だけをずっとやっているわけにはいかないので、他の出版社に企画を持ち込んでみたのですが、けんもほろろでした、
ちょうどそんな時に、同人誌という世界があるよと教えてくれる方がいて、じゃあ同人誌でやろうと、それがミリタリー入門者向けに毎回トピックを1つ設定して、その基礎的な知識を系統的に提供する同人誌『ミリタリーナレッジレポーツ』のはじまりでした。はじめはどうかと思ったのですが、ミリタリーイベントに持っていったら完売、飛ぶように売れたのです。やっぱり需要はあったのですね。そこで弾みがつき、ある一定の固定客がついたので、ビジネスとして成り立つようになりました。
■書籍『CQBテクニック 近接戦闘バイブル』について
ブースカ:書籍『CQBテクニック 近接戦闘バイブル』は友清さんの同人誌『ミリタリーナレッジレポーツVOL 30 CQB Techniques 近接戦闘テクニックPart1』(以下原書)をもとに、新規に書き下ろした項目や写真などを加えて書籍化されたものです。では、なぜ原書においてCQBを題材にしようとしたのか、そのきっかけや経緯などについて教えてください。
友清:諸外国に比べて治安がよく、銃の所持が基本的に禁止され、専守防衛を基本姿勢とする日本では、官民ともにCQBへの関心が薄く、また情報も少ないため、海外から断片的に入ってきた情報がまことしやかに神事のように語られています。これはいっぺんちゃんと整理したほうがいいと思って情報を集めた結果が原書になりました。
ブースカ:もともとCQBの情報は断片的、門外不出で、あまり表に出るものではありませんでした。そのため伝わってこなかったです。
友清:ミリタリー関連の常として、アメリカ在住の方のレポートに対して至上主義っぽいところがあります。CQB関連の情報が雑誌で活躍されている某氏のレポートから断片的に入ってきて、実際には間違った情報であっても、まことしやかに語られて正しい情報だと信じられていました。
ブースカ:ひと昔前はCQBに限らず銃に関しても情報が少なかったです。それがゆえに彼らの情報がすべてのようになっていたと思います。
友清:私がイベントで原書を売っている時に、実際に経験したことなのですが、「俺は詳しいんだ」という方がブースにお越しになり、この本にはあるテクニックが載っていない、これはおかしいのではと言ってきたのです。でもこちらとしてはいろいろな情報を得て作ったものなので、そういうことはないと思ったのです。どこかのタクティカルトレーニングで教えているルールを、実戦のルールと勘違いしているのではないかと思います。現実にはCQBに関する誤った情報がたくさん流布しています。
最近、「ミリタリーナレッジレポーツ」が浸透してきて、自衛隊の方たちからはこういうのをやってもらってすごく助かるという声もあり、実際に自衛隊の駐屯地内の売店で「ミリタリーナレッジレポーツ」を販売させてもらっています。
■原書を制作していく中で苦労したことや難しかったことは?
ブースカ:原書を作っていく過程で情報収集をしたかと思いますが、難しかったことはありましたか?
友清:重要なのは基本だな、基本をしっかり解説すべきだなと、まず思いました。こういう本は趣味の本じゃないですか。だからどうしても上級者向けの内容になりがちなんですよね。しかし、同人誌であっても基本を無視してはダメなんですよね。初心者向けに書いて、その人たちが上級者にステップアップできるために基本を用意しておかなくてはならない。
そこでCQBの基本ってなんだろうと考えました。自分は書籍や動画を含めて多くの情報を得ているので、基本が無意識のうちに頭の中に押し込まれている。だから基本的な情報を取捨選択してしまう。自分たちが面白いと思っていることは上級者ネタだよねと知人の元フランス外人部隊の野田伍長と話した際、彼もうなずいてました。出版社に売り込みに行った時も同じ反応でした。
ブースカ:私もハンドガンやライフルの射撃テクニックをアームズマガジンの記事として掲載する際に、マニアックな上級者向けのネタのほうが記事として面白いと思って、基本的なテクニックを省こうとしてしまいがちです。しかし、初めてアームズマガジンを購入した方や初心者の読者も多いので、上級者向けのネタだけではなく基本的な射撃テクニックを紹介するように心がけています。
友清:結局、海外で制作された動画は実銃射撃の経験が豊富な上級者を想定しているから内容も上級者寄りになってしまう。しかし、日本の場合は事情が異なる。基本的なCQBの情報が少ない中で、海外在住のライターさんとかが上級者向けのCQBの情報を流すから、CQBの情報が誤って伝わってしまっている。
ブースカ:なるほど、そうですよね。
友清:アメリカでもCQBは上級者レベル、ミリタリーオタク向けの情報であるから、CQBテクニックの基本となる、例えばハンドガンやライフルの撃ち方は別のところで習ってこい的な世界なのでしょうね。
ブースカ:基本は軍隊とかで習っているでしょうからね。
友清:殊更民間レベルでやることはないよねと。
ブースカ:長い間私もシューティングをやっていますが基本は難しいんですよね。
■原書が書籍化されたことに対する感想は?
ブースカ:出来上がった書籍をご覧になった感想、周りの方の反応等を教えていただけますか?
友清:原書のイラストを忠実に再現していただいたことと、さらに書籍化にあたり銃や装備、射撃テクニックの解説などを新たに書き下ろしていることが、この本のアピールポイントだと思いました。CQBテクニック以前にサバゲーをしたい人、始めたい人に対してカバーができていると出来上がって思いました。最初の提案ではそうしたことを盛り込むことに対してどうかなあと思ったのですが、そういう見方もあったんだなと。サバゲーを始めたい方にもいい本だなと思いました。
ブースカ:書籍化するにあたり私が監修と編集を担当させていただいたのですが、監修する際に私が重要視したことは、CQBテクニックを覚える前に体得しておきたいテクニックがいっぱいあるんだということですね。海外で開催されている一般的なタクティカルトレーニングはベーシッククラスがあって、その次にアドバンスドクラスがあり、ベーシッククラスを終えないとアドバンスは受講できないことがほとんどです。CQBテクニックはアドバンスドクラスを終了しないと受講できないところが多いです。
友清:そうなんですよね。物事は段階が必要ですよね。でも日本は上級者の情報しかない、しかもか細くしかない。上級者のテクニックがいっぱい入ってきて、それを選択するならいいのですが、海外在住のライターさんからしか情報が入ってきていないから偏ってしまうんですかね。
ブースカ:基本もそうですが、実際にCQBテクニックを実践するうえで大事なことを、監修担当の私はこの書籍で押さえたかったです。
友清:書籍でプレートキャリアのセットアップや銃のパーツの種類や装着方法などを網羅しているのはいいと思いました。
ブースカ:本当はもっと紹介したいことがあるんですが、誌面に限りがあるので監修・編集担当として内容を吟味しました。
友清:むしろどこまで書くべきなのかが難しかったです。
(後編に続く)
構成:毛野ブースカ
- 出版年月日 2025/03/25
- ISBN 9784798637648
- 判型・ページ数 B5変・192ページ
- 定価 3,080円(税込)
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