エアガン

2025/04/13

20世紀を彩った推しモデルガン Part1

 

20世紀を彩った推しモデルガン-1960年代-

 

 これまでに発売されたすべてのモデルガンの中から、推しモデルガンを選ぶ、というのは超ムズカシー! 60年以上の歴史があるわけで、技術的にも大きく進化しているから、単純に同じ基準で選ぶことができない。そこで、モデルガンの歴史を10年ずつに分け、それぞれの量産モデルガンの中から、自分なりの推しモデルガンを選ぶことにした。あなたの選択と同じものがあるか、チェックするような気持ちで読んでいただければ幸いだ。

 

※モデル名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

 

1960年代(1960~1969年)

 

推しモデルガン

 

 ベスト・ポピュラー・オートマチック 
「MGC製ワルサーPPK」(1964、1967、1970)


 ベスト・ブローバック・サブマシンガン 
「MGC製シュマイザーMP-40」(1968)

 

 

 

 モデルガンの歴史は、子供向けの輸入トイガンを大人向けにカスタマイズすることから始まった。日本初のモデルガン・メーカー、MGCが設立されたのが1960年のことだ。
 子供向けの単なる銃の形をしたオモチャではなく、大人向けの模型的な玩具だというような意味合いを込めて、MGCが「モデルガン」と名付けた。
 当初から火薬を使って発火させて遊ぶものと、火薬を使わずカートリッジの排莢を楽しむものなどがあったが、火薬を使うモデルでも発火させる方式は定まっていなかった。

 

MGC製ワルサーPPK。写真は1967年に発売された実寸サイズの2代目ニュー・ワルサーPPK

 

MGC製ニュー・ワルサーPPKのA4判チラシ。裏面に実寸大完成と書かれていた


 様々な方式の中から、安全対策上も優れた方式として、MGCが考案したカートリッジ頭部に火薬をセットし、バレル内(薬室内)に設けた前撃針という突起にカートリッジを激突させて発火させる前撃針方式が、モデルガンの標準的な発火方式となった。
 模型としての側面もどんどんレベルアップしていく一方で、いかに豪快なファイアリングが楽しめるかも重要な要素になった。空き地などで子どもたちが撃ち合いゴッコする姿もよく見かけられた。そんな時、いつも手動式のオートマック拳銃は不利だった。連射ができるリボルバーに敵わなかった。


 そこへ登場したのがトリガーを引くだけでスライドが連動して動き、連射が可能なMGCのスライド・アクション(指アクション、タニオ・アクションとも)のオートマチック、ワルサーPPK。リボルバーと互角の戦いができ、しかもあの世界的スパイ・アクション映画『007』シリーズで主人公が使用したことから、人気に拍車がかかり空前の大ヒットとなった。当然のように他メーカーからコピー商品までもが作られた。

 

MGC製ワルサーPPKの発火カートリッジ。6.35mm(.25口径)という設定になっていた

 

MGC製ワルサーPPKのカートリッジボックス。12発購入するともらえた


 そんなわけで、この時代を象徴するモデルガンを選ぶとすれば、MGCのワルサーPPKではないだろうか。もちろんほかにも優れたモデルガンはたくさんあるが、PPKはおそらく最も多く売れたモデルガンだった。玩具としての側面が際立って優れていて、誰もがヒーロー気分で楽しく遊ぶことができた。smGマークがあるものなら現在も売買可能。興味のある人はぜひ中古ショップをチェックしてみて欲しい。


 さらにもう1挺、やっぱりこれも挙げておきたい。MP-40だ。現在は売買することができないが、MGCの開発した画期的な開放系の自動作動方式「デトネーター方式ブローバック」を採用した最初のブローバックモデルガン。1968年に発売され、スチールプレス製のとてもリアルな外観、リアルな操作に加えて、火薬を使ってガンガン撃って遊べるモデルで、これまた大ヒットした。

 

MGC製シュマイザーMP-40。スチールプレス製で1968年発売 Photo by Keisuke.K

 

MGC製シュマイザーMP-40の豪華なカタログ。裏面はレジスタンスふうの男女3人の写真、二つ折りの中面にはアメリカ取材時に撮影されたという実銃の写真も使われている

 

MGC製シュマイザーMP-40の箱。ここではMP.40と表記されている。名称もピストーレ・マシーネンになっている Photo by Keisuke.K

 

MGC製シュマイザーMP-40の発火カートリッジ。開放系のデトネーター方式ブローバック Photo by Keisuke.K

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年3月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×