2019/05/18
実銃解説!SAW
「特殊部隊用の銃器」分隊支援火器(SAW)
SAW(Squad Automatic Weapon、分隊支援火器)は、フルオートによる弾幕で敵歩兵の頭を押さえて敵の攻撃を抑制し、同時に味方の行動をサポートする銃器であり、“戦闘の要”と言うべき役割を担っている。
SAWの特徴として、歩兵(小銃兵)と並行して移動するため、1人で携行・運用が可能なことが挙げられる(この点で機関銃とは異なる)。マガジンフィードのアサルトライフルに対し、多くのSAWは200発程度の弾薬をベルトリンクで繋いだ「ベルトフィード」による給弾方式を用い、またバイポッドを備えて安定したフルオート射撃が断続的に行なえるように設計されている。さらに連続発射によって加熱したバレルを素早く交換し、射撃を続行できるクイックバレルチェンジ機能もSAWの特徴と言えるだろう。
M249 MINIMIは、5.56mmNATO弾、ガス作動方式、ベルト給弾、M16と共通のボックスマガジンを使用して給弾を行なうSAWである。プレス加工とプラスチック部品を多用し、LMGよりも耐久性は劣るが軽量なアサルトライフル寄りのLMGとしてデザインされている
代表的なモデルとしてはFNH製MINIMI(アメリカ軍採用名称M249)が挙げられる。1984年に開発されたSAWのマスターピースと言えるモデルであり、アメリカ軍のみならず自衛隊や各国で採用されている。これまでに数多くの改良がなされており、その1つであるMk46は海軍特殊作戦コマンドでの使用を目的として軽量化を推し進めた最新モデルである。
ネイビーシールズによって採用された7.62mmNATO弾を使用するMk43 Mod1は、2003年にFN製の7.62mmNATO弾を使用するMk48が更新されるまで、ピカティニーレールを持ったハンドガードの追加や各種バレル、新設計のトップカバー等がU.S.ORDNANCEによって改良され続けた。いわゆるLMG(軽機関銃)に分類されるが、用途を考えるとSAWに近いと言えるだろう
また、H&K製MG4も忘れてはならない。2005年に登場したSAWのニューフェイスであり、ドイツ軍をはじめ多くの国で採用されている。
ヘッケラー&コック版のSAWであるMG4。M249MINIMIと同じ5.56mm×NASTO弾を使用し、写真のモデルはマルチフォールディングストック、レシーバーカバー上面に各種光学機器が搭載可能なトップレール、バレル側面にサイドレールが付属している
解説:SHIN
この記事は月刊アームズマガジン2019年6月号 P.046~047より抜粋・再編集したものです。