実銃

2019/05/08

実銃解説!HK416

 

「特殊部隊用の銃器」ヘッケラー&コックHK416

 

 

ヘッケラー&コックHK416

 

 

 ヘッケラー&コック(以下H&K)は、西ドイツ軍に採用されたG3ライフルの開発に始まり、世界中の特殊部隊で使用されているUSPハンドガンやサブマシンガンMP5、ドイツ軍の現用小銃であるG36アサルトライフルなど、幅広い小火器ラインナップと最高レベルの性能を誇る世界的銃器メーカーである。

 HK416の開発は2002年より、元デルタ・オペレーターにして銃器専門家のラリー・ヴィッカース氏をアドバイザーに迎え、アメリカ特殊作戦コマンドと共同で開始された。いわば、世界トップクラスの技術力を持つ企業と、世界最強の特殊部隊がタッグを組み生まれた銃器であり、2007年、デルタに100セット程度のHK416アッパーレシーバーが、M4近代化改修キットとして納入されて以来、現在まで特殊作戦部隊の第一線で使用され続けている(※当初はアッパーレシーバーのみの支給だった)。

 開発において、特殊作戦コマンド̶̶特にデルタが求めたのが「10インチ程度の短銃身で、かつサプレッサーを装着および非装着状態で安定したフルオート射撃が断続的に行なえる、フォールディングストックを備えたカービン」というものであった。これは、国外での人質救出作戦を主として、政治的な意味を持つ危険度の高い作戦を遂行するデルタにとって、必要不可欠な条件であった。それ以前に、デルタはさまざまなアサルトライフルのテストを行なったが満足する結果を得ることができなかった。そこでM4をベースとして、より性能を向上させたモデルの開発が行なわれ、HK416は誕生した。

 通常のM4カービンよりも重量は増加したが、高いレベルでデルタの要求を満たしたHK416は、デルタに止まらず世界中の特殊部隊へと広がっていった。2011年5月2日、911同時多発テロの首謀者にして対テロ戦争最大のターゲット、オサマ・ビン・ラーディンを殺害した海軍特殊部隊DEVGRUが使用したのも、カスタムされたHK416であった。

 

 

HK416 Delta Custom + 1st SFOD-D

 

 

HK416 Delta Custom + 1st SFOD-D

 

 

 従来のカモフラージュパターンは自国の植生や仮想敵国の地勢にあわせて効果を発揮するように作られてきた。しかし、現代のアメリカ軍が従来の対国家戦争を意識したスタイルから対テロ戦争に移行していく中で、世界中のあらゆる地域で、昼夜を問わず作戦行動する必要が生まれた。ニューヨークに拠点を置くデザインメーカーのクライの開発した全地域環境に対応可能なマルチカムが米軍に採用されると、世界中の軍や法執行機関や民間警備会社などに広く普及。マルチカムは21世紀のスタンダードなカモフラージュパターンと呼べるほど広く浸透した。

 今回はアメリカ陸軍特殊部隊デルタフォース(1st SFOD-D)をイメージしてマルチカムのコンバットスーツにクライのフラッグシップモデル的なプレートキャリアの最新型である、JPC2.0とあわせてアサルタースタイルをセットアップ。シンプルながら強襲作戦に必要なすべてを装備し、迅速に任務を行なう。

 

 

実銃解説:SHIN
装備解説:Ghost(Ghost in the Dark)
MODEL:Morgan
撮影協力:オペレーションフリーダム

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年6月号 P.34~35より抜粋・再編集したものです。

 

月刊アームズマガジン6月号のご購入はこちら

×
×