2019/05/11
実銃解説!PDW/SMG
「特殊部隊用の銃器」PDW/SMG
H&K MP7を中心に普及する対テロPDW
近年はCQBRに代表される短銃身のM4バリアントが幅広く活躍し、サブマシンガン(以下SMG)は目立たない存在に甘んじていた。しかし、ここ数年でSMGに新しい流れが生まれてきている。その要因となったのが頻発するテロ事件である。
市街地での突発的かつ流動的な無差別テロは、従来のような“包囲し応援(特殊部隊)を待つ”という対応では被害の拡大を防ぐことができず、その場にいる警察官が即座に対応しテロリストを無力化することが求められるようになった。一般の警察官に、重武装したテロリストに対抗することができる武器を配備することが急務となったが、アサルトライフルほど大型の武器の携行は日常業務の妨げとなり現実的ではない。そこでSMGが注目され、各社とも高精度でコンパクトなSMGの開発を競うようになっている。
代表的なところではB&T製APC9、CZ製EVO3コンパクト、ベレッタ製PMXなどがあるだろう。これら新世代SMGはポリマーやアルミを多用し、軽量化が進んでいる。また、セミオートでの命中精度を向上させるため、クローズドボルトからの射撃となり、トリガーやセーフティ、マガジンキャッチ等の操作性も向上している。従来、アサルトライフルに比べて威力が限定的であるがゆえに避けられていたSMGだったが、ここに来て限定的な威力のSMGをより幅広く法執行機関で採用すべきという流れになってきたわけである。また、H&K製MP7はソフトアーマーを貫通できる特殊弾を使用するユニークなPDW(パーソナル・ディフェンス・ウェポン)として、軍特殊部隊に採用が広がっている。
H&K MP7A1 NAVY + U.S.Navy SEALs
アメリカ海軍特殊部隊向けに開発されたデジタルカモフラージュパターンがAOR(Area Of Responsibility)だ。砂漠向けのAOR1と森林のAOR2の2種類がある。フィリピンなど対テロ戦に従事するSEALs隊員がAOR2の装備を身につけている写真を見ることもできる。
スタイリングではこの米海軍特殊部隊をイメージ。HK416とMP7をそれぞれ装備し、ジャングル戦と海上臨検を想定してセットアップしてみた。グレー装備は法執行機関での使用例が多いのだが、軍特殊部隊で使用例がないわけでもない。さらに海上臨検ともなれば昼夜を問わず効果的なグレーは外せないだろう。
Velocity SystemsのSCARABは非常にフィット感に秀でたプレートキャリアであり、フロントパネルやバックパネルを交換することで、口径の異なる銃器に交換したり、ミッションによって装備を組み替えるのにも利便性が高い。千変万化に作戦行動をとる、いかにもSEALs的なチョイスではないだろうか。
実銃解説:SHIN
装備解説:Ghost(Ghost in the Dark)
MODEL:Morgan
撮影協力:オペレーションフリーダム
この記事は月刊アームズマガジン2019年6月号 P.040~041より抜粋・再編集したものです。