エアガン

2018/08/21

AK74 リアルガン製品レビュー 【2016年12月号掲載】

AK74

 

AKはその誕生からすでに70年近く経過しているが、いまだに世界中で使用されているベストセラーモデルだ。その小口径版であるAK74もまた、世界中で広く使用されている。今回はそのAK74の輸出版、AK100にスポットを当て、AKの持つ魅力をたっぷりとご紹介しよう

 

※実射シーンはこちらの動画をご覧ください。

 

AKを小口径化させたAK74


1947年にソビエト連邦軍に制式採用されたのがAK47だ。それ以前のソ連軍はボルトアクションのモシン・ナガンやAK47と同じ弾薬を使用するSKSカービンが制式銃として配備されていた。それほど昔に、すでにAKは存在していたのだ。そして、1974年にはAK47の後継機種としてAK74が採用される。この2つのAKは非常に似通った外見、機構を持っており、耐久性などの性能を見た目だけで判断することは難しい。


AK47とAK74のもっとも大きな違いは使用弾薬にある。AK47は7.62×39mm弾、AK74は5.45×39mm弾を使用する。弾薬は一般的に(弾頭の直径:口径)×(薬莢の長さ)mmと表記される。つまりAK47は7.62mmで、AK74用の弾薬よりも口径は大きいが、薬莢の長さは同じであることがわかる。

 

AK74が使用する5.45×39mm弾は、小口径化することで1発の弾の重さが軽くなり、兵士がより多くの弾薬を携行可能となった。また同時に反動が軽くなり、連射時の命中精度が格段に向上した。小口径弾は空気抵抗が少ない分フラットな弾道を描くため、AK47の7.62mm弾に比べ、300m以内では落差が少なく、遠距離での命中精度が向上している。読者の中には小口径・軽量弾頭化することで、威力が失われるのではないかと考えている方もいらっしゃるのではないだろうか。しかし実際には弾頭が柔らかい物体(肉体)に命中するとバランスを失い、弾頭が横転するデザインとすることで殺傷力を保つデザインとなっている。この弾頭が横転する現象は「ヨーイング」と呼ばれている。

 

AK74には、折り畳みストックを持つAKS-74、短銃身化されたAKS-74Uといったバリエーションが展開された。そして1991年からは、近代化バージョンとしてロシア/イズマッシュ工場で生産が開始された、現在のロシア軍の基本歩兵小銃であるAK-74Mも製造されている。AK100シリーズはそのAK-74Mの輸出バリエーションだ。AK100シリーズは現在、民間で手に入る中でもその製造元も含め、もっともAK-74Mに近いモデルであるといえる。

 

左がAK47の使用する7.62×39mm弾。右はAK74が使用する5.45×39mm弾だ

 

左がAKS-47、右がAK100。デザイン上、細かな差はあるものの、基本的なメカニズムは同じだ

 

AK-74から採用さえたコンペンセイター/フラッシュハイダー。AK47やAKMとはまったく異なる形状をしている

 

ガスブロックは弾薬の圧力の変化によりAK-74では90度となっており、AK47との外見的な区別の1つとなっている。

 

ハンドガードはポリマー製。パームカラーと呼ばれる独特な配色となっている。

 

リアサイトはm表記。写真の位置でバトルサイトゼロとなっており、300mまでであれば、胸部を狙えば上半身のどこかに命中する。

 

 

セレクターは安全状態ではダストカバーとして機能する。押し下げ
れば発射状態だ。レバー自体は大型で操作しやすい

 

射撃した感覚はかなり良い。ハイダーと軽量高速弾との組み合わせにより、射撃時の反動はほとんどない。フルオートであっても、特別な訓練をすることなく100m以内のターゲットに命中させられるだろう

 

マガジンキャッチはレバー式だ。この操作には若干の慣れが必要。この部分については後で触れる

 

ピストルグリップはポリマー製だ。細身でとても握りやすい。グリップ自体はネジでレシーバーに強固に固定されている

 

ストックもグリップやハンドガードと同じくポリマー製だ。一昔前まではラミネート材であったが、最新モデルではポリマー製に一新されている

 

ロシア イズマッシュ工場製。サイガは民間向けの製品名だ。輸入はラスベガスのFIMEグループが行なっていた。これはその内の1挺だ。2009年頃にSGL-31の製品名で少数輸入されたが、その後オバマ政権によるロシアへの経済制裁の一環として、ロシア製銃器の輸入が禁止された。そのため、コレクターズアイテムとしてロシア製AKの値段は高騰している

 

AKS-47にドラムマガジンを装着してみたら、より古めかしい格好となってしまった。現代戦においてドラムマガジンを装備しているアサルトライフルはほとんど見ない。それらを使うならライトマシンガンのほうが有効だからだ

 

 

AK-74Mから、レシーバー左側にアクセサリーレールが標準装備となった。今回装着しているのはコブラサイトだ。コブラサイトはロシア製のドットサイトで、マウントも含めかなり巨大。しかし切り替えによってレティクルの種類、明るさが選べるなど機能的にはかなり優れている

 

ロシア製の5.45×39mm弾。包装はなんと簡単な紙パックだ

 

マガジンに装填していく。薬莢は鉄製。一般的には真鍮製なのだが、コストを抑えるため鉄を選択している。合理性を求める共産圏らしい考え方だ

 

マガジンの装着

 

AKシリーズの操作はどのモデルでも共通している。しかしそれは普段M4などを使用している人の常識とは異なる。普通はマガジンを下から叩き込みたくなるだろうが、まずはハウジング前部にあるツメに、マガジンのタブを引っ掛ける

 

その後回転させるようにして装着する。マガジンを装着する際に、上手くツメに引っかかっていないとジャムが起きるのはもちろん、マガジンが抜けなくなるという事態も起こりうる。戦場でそんなことが起きたら終わりだ

 

初弾の装填方法

 

グリップから手を離し左手だけで銃を保持。その後チャージングハンドルを右手で引く。ロシア軍のマニュアルに沿ったやり方だ

 

もっとも一般的なのは銃を横にし、左手でチャージングハンドルを操作するやり方。エジェクションポート内を視認し、初弾がチャンバーへと送られたことを確認する

 

左手を下から回して操作する方法。タクトレなどで流行したやり方だが、左手に力が入りにくく、またセレクターレバーに手が触れることもある。その場合チャージングハンドルを完全に引ききることができない(ショートサイクル)ことがあり、作動不良に繋がる

 

セレクターの操作

 

AKを使用するときのレディーポジション

 

 

右手中指をセレクターに添わせて操作するのが基本だ。人差し指で操作できる延長タブの付いたセレクターもカスタムパーツとして存在するが、セフティをオフにした瞬間に、そのままタブから指がすべり落ち、トリガーを引いてしまう暴発事故が多発したので現在では使用を禁止している機関もある

 

リロード方法

 

再装填のためにはまずマガジンを外す。しかしレバー式マガジンキャッチは片手で操
作することは困難なため、両手で行なう。左手でマガジンを掴み、マガジンキャッチ
を親指で押し、空のマガジンを捨てる、というのが基本である

 

もう1つのやり方は、装填済みの新しいマガジンをマガジンキャッチに押し当て、そのまま空のマガジンを排除する方法だ

 

トリガーガードの下部にマガジンを当てることを意識しながらスライドさせることで、マガジンキャッチを解除することができる。ここ数年で流行しているやり方だ

 

焦っていると、装填済みのマガジンをトリガーガードの下部にぶつけたり、装着されマガジンに叩きつけることもある。すると新しいマガジンから弾が衝撃で抜け出してしまい、銃へ装着できなくなってしまうこともある

 

フロントサイトの調整

 

フロントサイトを調整するには専用の冶具が必要だ。そのため戦闘中であればサイトを調整することは難しい

 

横方向のズレの場合、サイトの横に冶具を装着してねじ込むことで調整できる

 

縦方向の修正を行なう場合は冶具の頭の部分をサイトポストに押し当て回転させる。AKの照準を調整するには叩けば良いと言う人もいるが、それは無理な相談だ。いまどきテレビが映らなくなったからといってとりあえず叩く、というくらい意味のないことだ

 

フィールドストリッピング/通常分解

 

AKは比較的簡単に分解できる。まずはマガジンを抜き、弾が装填されていないか確認
する

 

レシーバー後部のフックを押し込み、トップカバーを取り外す

 

トップカバーが外れたらリコイルスプリングとそのガイドを外す

 

ボルトキャリアをレシーバー後部まで下げると、外すことができる

 

ボルトは左に回転させるとボルトキャリアから取り外すことができる

 

ガスチューブレバーを操作し、ガスチューブを外す

 

工具をまったく使用せずにここまで分解できる。パーツはユニット化されており、細かいピンをなくすこともない。よく考えられたデザインだ

 

ガスピストンが発射ガスによって後退、ボルトを押し下げている瞬間。

 

AKのタフさ

 

AKは単純な構造をしており、生産性、操作性、維持が特に楽なアサルトライフルだ。またそのタフさは都市伝説のように読者の方にも伝わっていることと思う。例えば砂や小石が入っても動く、海水につけても問題なく作動した、土に埋めて数カ月後に掘り出して引き金を引いたら弾が出た、などだ。

 

今回実験としてガスチューブのない状態でAK100を撃ってみた。AKが好きな方ならばトップカバーをはずした状態でAKを撃っている写真や動画なら見たことがあるかも知れない。しかしガスチューブまで外して撃っているシーンはなかなか見ないのではないか。結論から言えば、この状態でも射撃に影響はまったくなかった。部品がなくなっても作動するというのは、銃器に限らず工業製品として驚くべき性能だ。

 

だがAKは長年の間、多くのバリエーションが生産されることで、同じAKシリーズであっても、作られた場所、時期によって、その品質には大きく差がある。現在もっとも品質の良いAKを作っているのは、本家ロシアのイズマッシュである。過去も含めれば東ドイツ製のAKがそれを上回る品質の高さを誇る。避けたいのはエジプト製や北朝鮮製
だろう。

 

ダストカバーとガスチューブを外した状態。中身が丸見えのこのままでも、射撃に影響はなかった

 

誰がAKを生み出したのか?


AK47の設計者は故ミカエル・カラシニコフ将軍だ。だがその通説に疑問を持つ声が、銃器研究者の間では上がっている。それはナチスドイツ軍のStG44(MP43、MP44)を開発した銃器デザイナーのヒューゴ・シュマイザー技師を、戦後ソ連が銃器の図面や製造途中の部品、製造工具とともに接収したということが関係する。

 

現在でもAK47開発に関わる情報は、軍事機密とされて公開されていないが、カラシニコフ氏自身が、過去のインタビューにおいて「StG44からインスパイアを受けている」とし、2009年には「ヒューゴシュマイザー技師がAKの開発を助けてくれた」と発言している。AKシリーズとStG44は、閉鎖機構、撃発機構は異なるが、そのレイアウト、コンセプトともに似通っているのも特徴だ。ロシアの誇りでもあるAKシリーズは、その開発の過程で、敵国であったドイツの銃器技師が力を貸していたことは、隠さねばならなかったのだろう。カラシニコフが亡くなった今、真実を語るものはもういない。

 

上がStG44で、下がAKMだ。2つの銃には外観的に大きく似通っている。使用弾薬もかなり近い。このStG44がAKに大きな影響を与えているというのは間違いなさそうだ


TEXT&PHOTO:SHIN
 

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