エアガン

2025/02/13

XM9サービスピストルトライアルの両雄比較

 

40年後にモデルガンで実現

XM9サービスピストルトライアルの両雄比較

 

 

XM9サービスピストルトライアルとは?

 

 2017年、アメリカ陸軍の制式採用拳銃としてSIG SAUER M17が採用された。SIG SAUERにとってはP226がベレッタM9に敗北して以来、約40年越しの雪辱を果したことになる。約40年前に実施されたXM9サービスピストルトライアルは、1970年代後半に開始されたコルトM1911A1に代わるアメリカ軍制式拳銃を決めるJSSAP(Joint Service Small Arms Program)に端を発している。

 これには「口径9mm×19」「装弾数は最低13発」「シングル/ダブルアクショントリガーを有する」「デコッキング機能を有する」「左右から操作できるサムセーフティを有する」など85の要求項目が提示され、コルトやベレッタ、S&W、H&Kなどのメーカーがトライアルに参加し、ベレッタ92S-1が選出された。しかし1984年、陸軍が「XM9サービスピストルトライアル」として再びテストを実施。ベレッタ、SIG SAUER、S&W、H&K、FN、ワルサー、ステアーなどが参加し、厳しいトライアルを経てベレッタ92SB-FとSIG SAUER P226が残り、最終的にベレッタ92SB-Fが勝利した。そして1985年、92SB-Fは「M9」の制式名称が与えられて配備が開始された。


 振り返ってみると、アメリカ軍の制式拳銃は常に時代をリードし、トレンドを生み出してきた。M1911A1はリボルバーから軍用拳銃の座を奪い、自動化への波を作り出した。ベレッタM9は9mm×19弾/ダブルカアラムマガジン/ダブルアクショントリガーという1970~90年代にかけてのオートマチックピストルのトレンドの中心的存在だった。

 そしてSIG SAUER M17は、現代のオートマチックピストルの条件であるグリップのサイズが交換可能なポリマーフレーム/ストライカーファイア、モジュラー構造を採用し、マニュアルセーフティを盛り込むという新たなポリマーフレームハンドガンのスタイルを提案した。今後もアメリカ軍の制式採用ハンドガンは銃業界に多くの影響を与え続けることだろう。

 

 

スライド/バレル 

 

92SB-F

 

P226

 

 両銃の特徴が顕著に表れているのがスライド形状だろう。92SB-Fはスライド上面が大きくカットされている。P226は角ばった質実剛健な形状。バレル長は92SB-Fが125mm(約5インチ)、P226が112mm(約4.5インチ)。

 

 

ディスアッセンブリーレバー

 

92SB-F

 

P226

 

 両銃ともディスアッセンブリーレバーを回せば工具を使わずに分解できる。92SB-Fはスライドを下げることなく分解できるが、P226はスライドをホールドオープンさせて半月状の切り欠きにあわせなくてはならない。

 

 

トリガー

 

92SB-F

 

P226

 

 どちらもシングル/ダブルアクション式のトリガー。P226はトリガーのストロークは短いがハンマーが落ちるタイミングが掴みにくく、92SB-Fはストロークは長いがハンマーが落ちるタイミングが掴みやすい。

 

 

スライドストップ/デコッキングレバー

 

92SB-F

 

P226

 

 デコッキングレバーは92SB-Fはスライド側、P226はフレーム側に設けられている。92SB-Fはアンビタイプでセーフティ機能も備わっているが、P226は左側のみでセーフティ機能が備わっていない。

 

 

マガジンキャッチ

 

92SB-F

 

P226

 

 マガジンキャッチはどちらもトリガー後方に設けられたボタン式だが、92SB-Fは左右に入れ替えることができ、左利き射手にも対応している。現在でもこの特徴が備わっているオートマチックピストルは少ない。

 

 

ハンマー

 

92SB-F

 

P226

 

 両銃ともハンマーをコックしたところ。どちらもファイアリングピンブロックが内蔵されているので、トリガーを引かない限りハンマーは落ちない。ストライカーファイアに比べて発射状態にあるのかが把握しやすい。

 

 

フロント/リアサイト

 

92SB-F

 

P226

 

 両銃ともM1911A1に比べて圧倒的に狙いやすくなっている。フロントサイトにはホワイトドット、リアサイトにはホワイトラインが入っており視認性が高められている。

 

 

グリップ

 

左が92SB-F、右がP226

 

 グリップパネルはどちらも樹脂製で、グリップ下部にランヤードホール(フック)が設けられている。握り心地は個人差があるものの92SB-Fのほうがグラマラスな印象。シンプルな形状のP226は手の小さい方でも握りやすく感じる。

 

 

マガジン

 

左が92SB-F、右がP226

 

 マガジンはどちらもスチールプレス製のシングルフィード/ダブルカアラム式で9mm×19弾が15発装填できる。形状は似ているが共用できない。

 

 

フィールドストリップ

 

92SB-F

 

P226

 

 ディスアッセンブリーレバーの項目で述べたように分解工程は異なるものの、どちらも工具を使わずに分解できる。M1911A1に比べてパーツ点数が少なくメンテナンスしやすい。

 

 

TEXT:毛野ブースカ

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×