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2024/11/12

昭和大好きかるた 時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る 第14回「せ」

 

時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る

 

第14回

聖闘士星矢

 

 令和となってはや幾年。平成生まれの人たちが社会の中枢を担い出すようになった今、「昭和」はもはや教科書の中で語られる歴史上の時代となりつつある。
 でも、昭和にはたくさんの楽しいことやワクワクさせるようなことがあった。そんな時代に生まれ育ったふたりのもの書きが、”あの頃”を懐かしむ連載。
 第14回は、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之がお送りします。

 

 

 昭和の小学生たちのバイブルは『週刊少年ジャンプ』でした。厳密にいうと、私は高校生まで欠かさず読んでいたので、正しくは昭和から平成を駆け抜けた若者たちのバイブルと言ってもいいのかもしれません。


 私が読んでいた1980年代から90年代は、「ジャンプ黄金期」と呼ばれています。確かに『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』『Dr.スランプ』……と、現在も語り継がれる名作が勢揃いしています。その頃のジャンプ発行部数は400万部というから驚きです。
 ちなみに最高発行部数は、1995年3・4合併号の653万部だそうです。もはや、現在の出版界では、まず到達不可能な数字と言って良いでしょう。

 


『週刊少年ジャンプ』の看板漫画

 

 いずれも大好きな漫画でしたが、1986(昭和61)年より、大ハマリする連載がスタートします。


 その名は、聖闘士星矢。


 厳密にいうと、連載開始は1985(昭和60)年であり、1986年1・2合併号だったそうです。「セイントセイヤ」と読みます。暴走族並みの当て字か、今風に言うならキラキラネームのようです。


 ざっくりとしたあらすじは、聖衣(クロス)という防具をまとった闘士である聖闘士たちによる格闘漫画であり、成長劇であり、友情物語です。星座になぞらえており、主人公はペガサスの星矢、そしてその仲間であるドラゴンの龍、キグナスの氷河、アンドロメダの瞬、フェニックスの一輝たちが、正義のため戦っていきます。

 

今でも読み出せば止まらない。第1巻の袖には作者の車田正美が「前の作品『男坂』が、無念の未完になって(中略)、この作品『聖闘士星矢』は、前作とはうってかわって、最初からメジャー路線をねらってはじめたものです。」と記していますが、狙ってできちゃうってどれだけ実力あるんだ、と震え上がります。

 

 内容を辿るだけで、相当な分量となるので、もし『聖闘士星矢』をご存じない方で、少しでも興味をもって頂けたなら、是非漫画を手に取って見てください。

 

 では、私はこの聖闘士星矢のどこに興奮したか。
 それは、聖衣です。


 まずもって主人公たちは、エリートではなく、ブロンズ聖闘士と呼ばれる最下級の闘士です。その上は、シルバー聖闘士、ゴールド聖闘士となっていきます。シルバー聖闘士はシルバー、ゴールド聖闘士はゴールドの聖衣を着用し、見た目は美しいのですが、ブロンズ聖闘士の聖衣はそれぞれのカラーバリエーションがあり、私はそちらの方が好きでした。


 この聖衣は、着用していない時はそれぞれの星座に因んだ形の置物(この説明は正しくない……)のような形になります。当時の私は「本当にこんなきれいな形になるのだろうか……」と疑問を抱きました。
 すると「聖闘士星矢」がプラモ化されたのです!!


 聖衣の謎が解明できるかもとワクワクしました。

 


コレジャナイ感満載の昭和プラモ

 

 まずは主人公のペガサス星矢を買ってみました。

 箱を開けると、聖衣のパーツはメッキ塗装されておりキラキラとキレイでした。期待が高まります。


 話は少々脱線しますが、当時はスケルトンが流行っていて、ファミコンカセットすら外見が透明なものが存在していました。こうしたキラキラ、またはスケスケが流行った時代だったのでしょう。


 話を戻すと、箱の中には、フィギュアとなるパーツ、台座となるパーツが入っていました。
 まずベースとなる星矢のフィギュアを組み立てます。あっさりと完成しました。でもポーズが固定。元色が肌色一色なので、無塗装だと完全全裸男性です。う~ん、箱を開け、最初に聖衣が目に飛び込んできた時の感動はどこへ……。


 いや、きっと聖衣を着せればマシになるはず、と気を取り直して作業に復帰しました。フィギュアにはいくつもの穴が開いており、そこに聖衣のパーツをはめ込んでいきます。接着剤は用いません。なぜなら着脱式であり、フィギュアと台座部分にそれぞれさし込めるようになっているからです。


 全身に聖衣を装着してみました。


 表だけしっかりと表現されており、なぜか裏はほぼなし。下地の色が肌色と相まって漫画『おぼっちゃまくん』(*)に出てくる、貧ぼっちゃまくん状態。


*『おぼっちゃまくん』:『聖闘士星矢』と同じく1986(昭和61)年から『月刊コロコロコミック』で連載されていた漫画。御坊財閥の跡取りで月の小遣いが1,500万円という小学生・御坊茶魔を主人公に据えたギャグ漫画。「貧ぼっちゃま」は重要なサブキャラで、没落した元上流家庭の息子で、前半分だけしかない(要するに尻丸出し)洋服で登場する。作者はのちに『ゴーマニズム宣言』で一世を風靡した小林よしのり


 ならばと、付属の台座に聖衣をはめ込んでいき、一応はペガサス…風…にはなりましたが、何だろうこの「コレジャナイ」感……。


 当時のプラスチックの成型技術は、そんな感じでした。超合金版もあり、そちらはもう少し再現度は高かったようですが、私は買いませんでした。


 下手くそなりに頑張って塗装し、なんとかそれっぽい形になった記憶があります。なんだかんだと、ディスったようですが、結局このプラモシリーズは結構買いました。
『聖闘士星矢』は、漫画だけでなくアニメも大ヒットします。アニメ版のみのストーリーがあり、ジークフリートなど、漫画にはないキャラクターも多数輩出します。

 

プラモにハマった少年時代から幾星霜。今日も取材で各地をまわる筆者

 

 なんか、いろいろ書いてるうちに、また読みたくなってきました。皆さんのジャンプ黄金期にハマった漫画はなんでしたか?
 

 

TEXT:菊池雅之

 

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