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2024/08/20

昭和大好きかるた 時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る 第8回「く」

時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る

 

第8回

クイズ番組

 

  令和となってはや幾年。平成生まれの人たちが社会の中枢を担い出すようになった今、「昭和」はもはや教科書の中で語られる歴史上の時代となりつつある。
 でも、昭和にはたくさんの楽しいことやワクワクさせるようなことがあった。そんな時代に生まれ育ったふたりのもの書きが、”あの頃”を懐かしむ連載。
 第8回は、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之がお送りします。

 


 テレビ創成期から今に至るまでずっと、クイズ番組は大人気だ。ゴールデンタイムと呼ばれる19時から21時くらいには、必ずどこかの局がクイズ番組を放送している。視聴率が良い証といえよう。
 ただし、今と昔では、その形態は大きく異なるように、私は感じている。

 

 芸能人が解答者となり、博識、一般レベル、お笑い担当、天然回答続出、といったそれぞれ役割を担ったメンツが並んでワイワイ楽しむのは変わらない。
 だが、一般視聴者参加枠が少々違うようだ。というのも、今主流なのは、東大生が超難問に挑み、回答までのスピードや正確さに視聴者は驚く感じに見受けられる。いわゆるプロっぽいシロウトが参加している。
 しかし、昔は本当に普通の一般人が出演し、トンデモ解答をしたり、緊張で答えられないなど、ハプニングも多く、それが面白かった。家族で出演するタイプのクイズ番組もいくつかあり、なぜか張り切るお父さんが、てんでダメ、ということも多かった。
 データを取ったわけではないが、昔は本当にシロウトが出ていたクイズ番組が多かったように感じている。

 

お茶の間で安心して鑑賞できるNHKの『連想ゲーム』から過激すぎるクイズバトル『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』まで、クイズ番組は昭和のキッズたちを楽しませ続けてくれた。


 中でも私が好きだったのは、「アメリカ横断ウルトラクイズ」だった。名前の通り、一般参加者が、ひたすらクイズに応えながらアメリカ大陸を移動してくシンプルなもの。
 まずは、日本からアメリカに向かう機内で行われるペーパーテスト。基準に満たないと、機内からタラップを降りたところで、失格が告げられ、「強制送還」として、再び機内に戻るというなかなか過酷なものだった。

 

*『アメリカ横断ウルトラクイズ』:1977(昭和52)年から1992(平成4)年まで(その後単発で開催されたことあり)日本テレビ系列で放送された視聴者参加型のクイズ番組。各地から集まった挑戦者が米ニューヨークを目指すという壮大なスケールが売りで、いわゆる仕込みがなく、挑戦者たちのリアクションのリアルさもあり、人気番組として知られた。司会の福留功男氏の「ニューヨークへ行きたいかー!!」の掛け声は、キッズたちの間でも、皆で何かに挑戦する際などにやたら真似された。


 私が好きだったのは、「〇×どろんこクイズ」。2者択一の問題に対し、マルとバツが書かれたついたて状の壁があり、正解と思われる方へと駆け込んで突き破る。間違った解答をすると、泥のプールに飛び込んでしまう。毎回ハラハラしながら見ていたものだ。このシステムは後世のクイズ番組にも受け継がれていき、今のクイズ番組でも似たようなシステムは、生きている。
 みんな真剣にクイズに挑んでおり、番組後半になると、失格となった解答者が、涙を流して本気で悔しがる。他の解答者は、ライバルが減り、喜びそうなものだが、ともに旅してきたことから生まれた友情、仲間を失う喪失感から一緒に涙を流すという、もはやクイズ番組ではなくドキュメンタリー番組になっていた。

 

昭和の時代、海外旅行は一般市民にとってはまだまだ夢だった。時代は流れ、渡航はもとより、各国の軍用機に搭乗することも多数となった筆者。オスプレイには20回以上乗った。


 小学生の頃、クラスでクイズが流行ったことがあった。誰かがクイズ集を買ってきて、クラスで出し合うレベルであるが、結構休み時間には盛り上がっていた記憶がある。ただ、そこは小学生。絶えず正解を出す者はいつも決まっており、だんだんそいつに腹が立ってきて、途中で面白くなくなるか、司会を務める者がだんだん偉そうな口ぶりになってきて、だいたい最後は喧嘩になったものだ。
 机と机の間を横断するようなクイズでは、真のドラマは生まれないのは間違いないようだ…。

 

TEXT:菊池雅之

 

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