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2024/10/15

昭和大好きかるた 時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る 第12回「し」

 

時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る

 

第12回

シール

 

 令和となってはや幾年。平成生まれの人たちが社会の中枢を担い出すようになった今、「昭和」はもはや教科書の中で語られる歴史上の時代となりつつある。
 でも、昭和にはたくさんの楽しいことやワクワクさせるようなことがあった。そんな時代に生まれ育ったふたりのもの書きが、”あの頃”を懐かしむ連載。
 第12回は、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之がお送りします。

 

 

 2024年の7月ー。北海道で取材中のこと。この時の仕事は航空自衛隊の戦闘機を撮影すること。それが終わり、ホテルへと戻る道中のことでした。
 「甘いものが食べたいなぁ」と、ふらっとコンビニに寄ることにしました。のども乾いていたし、小腹もすいていたので、プラスチックのカゴを片手に、目についたものをポイポイと放り投げ、お会計へ。数人が並んでいたので、ボーッと列の最後尾で待っていると、レジ横の特設売り場に並ぶお菓子が目に入りました。それを見て、ついつい「おおっ!!」と声を上げてしまいました。


 それはロッテの「ビックリマンチョコ」だったのです。


小学生を虜にした”シール”

 

 パッケージの隅には「39th ANNIVERSARY」とロゴが入ってました。久しぶりに目に飛び込んできたビックリマンチョコの名称に加え、販売から39年も経つのかとのダブルの驚きに、そこにあったすべてのビックリマンチョコをカゴに入れてしまいました。

 

ご存知ビックリマンチョコ。TVアニメや地方創生プロジェクトとのコラボも行うなど、今も人気は健在だ

 

 私が10歳の頃、「ビックリマンチョコ」が大ヒットします。厳密には“チョコ”ではなく、中に入っている“シール”が大人気となったのです。1個30円でした。

 

 そのシールとは、「悪魔VS天使の戦い」というストーリーのもと、悪魔側のキャラクター、天使側のキャラクター、そして天使を助けるお守りというキャラクターが描かれています。シールと言いつつも、どこかに貼ることは決してしません。我々を狂喜乱舞させたのが、この3つの勢力を束ねる“ヘッド”と呼ばれるスペシャルシールです。それは、他のシールとは大きく異なり、キラキラと輝いていたり、ホログラムであったりと、かなり手が込んでいました。

 当然、ヘッドのシールなどほとんど手に入りません。このギャンブル性がこれまた小学生を虜にしました。休み時間は、友達とダブったシールを交換したり、獲得したヘッドを見せびらかしたりして楽しんだ記憶があります。


 肝心のお菓子の方は、ピーナッツの入ったチョコをウエハースで挟んだもので、チープな味なれど癖になり、私は結構好きだったのですが、中にはシール欲しさに、このチョコだけ捨てる者も続出し、ニュースに取り上げられ、社会問題化してしまいます。
 さらに買占めする者も出て、これも大きな問題に。結果、一人3個までなどと、販売店が定める独自制限がかかってしまいます。


大フィーバーの余波を味わう

 

 こうして大フィーバーになれば、ズル賢い大人たちは次の戦術に打って出ます。
 シールは数か月で新しいキャラクターへと更新されていきました。そうなると、もう古いシリーズのシールが入手できなくなります。そこで、過去のシールを今度は「ビックリマンアイス」「ビックリマンスナック」など、違うお菓子に封入し、2匹目のどじょうを狙った再販商品を展開させてきたのです。もちろん、我々は買わないわけにはいきません。まんまと罠にはまってしまいます。


 さらにもっと悪い大人が登場。なんと、完全なる偽物のシールをガチャガチャなどで販売し始めたのです。ただし、良心が痛んだのか、法律の目を逃れる為なのか、理由はわかりませんが、本来シールの裏面の角に入っている「ロッテ」の文字が「ロッチ」になっていました。絵のクオリティは本家には及ばないひどいものでしたが、偽物たるこの「ロッチ」版のビックリマンシールを集める者も出てしまい、悔しいかな見事カモられてしまいます。


 各社もおまけシールの大ムーブメントを見過ごすわけもありません。似たようなおまけシール入りお菓子が台頭します。「ビックリマン」に次いで、小学生たちを熱くさせたシールが、カネボウフーズの「ガムラツイスト」及び「ラーメンばあ」です。

 

 異なる2つの商品ではありましたが、入っているシールは同じ。

 

 テーマは当時流行っていたプロレスとなっていて、レスラーの絵とともにキャラの強さを示すパラメーターが付いており、強さを表します。そこで終わっては、子供も騙せぬ子供騙し。なんとシールが2枚重ねになっていて、めくると1枚目と違う絵柄になっていて、パワーアップしていたり、逆にパワーダウンしていたりします。それが面白くてたまらない。さらに2枚目がキラキラのレアシールになっていることもありました。

 

 

 さて、ここまでは、アラフィフの仲間とのよもやま話では盛り上がるのですが、私には、もう一つハマったシールがありました。が、「え、そんなのあったっけ??」という反応されることがほとんど…。


 皆さんはご記憶にあるでしょうか?


 それはロッテの「あっぱれ大将軍」というお菓子に入っていたシールです。こちらは幕府軍対朝廷軍という図式で展開するシールです。それもただのシールではなく、幕府軍はシールを温めると絵柄が変わり、朝廷軍は冷やすと絵柄が変わるという驚きの仕掛けがありました。こちらも私はめちゃくちゃハマったのですが、認知度はビックリマンほどでは当然なく、周りに共感してくれる仲間もいない……。

 

北海道で取材にいそしむ筆者。行った先々で限定品やローカルフードを探すのもひそかな楽しみ


 もしかすると、実家の物置でも探せばこれらシールが出てくるかもしれません。捨てた記憶がないのですから。あんなにもシール集めに一生懸命になれたあの頃を思い返しながら、もう一度我がコレクションを見てみたいものです。

 

TEXT:菊池雅之

 

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