2024/07/15
群馬・上毛三山を舞台に競う国内最高峰の公道レース!「MONTRE 2024」Photo Shoot RALLY【アームズフォトグラフ】
「アームズフォトグラフ」は筆者が撮影した写真を見ながらロケーションや設定、レタッチなど写真の色々なことについて語るコーナーだ。できる限り詳しく掘り下げていくので、ぜひとも写真を撮る際の参考にしていただけたら幸いだ。
ラリーモントレー
2024年6月6~9日(競技日は8~9日)に群馬県安中市を中心として「ラリーモントレー(MONTRE 2024)」が開催された。
今回は「2024年全日本ラリー選手権第5戦目」として旧碓氷峠SSをはじめ初の国道封鎖ラリーが行なわれ、某走り屋の作品で知られる開催地だったこともあり、発表時は話題になった。ちなみに、大会名「モントレー(Montre)」はラテン語で、フランス語のmont tres(3つの山)に由来する。これは群馬県で開催される全日本ラリーは赤城山、妙義山、榛名山の上毛三山を中心に展開されていることから、群馬県で開催される全日本ラリーは「モントレー」という名称で定着するようになったそうだ。
なお、今回筆者はプレス(報道)ではなく個人として観戦している。クローズドなサーキットで行なわれるレースともまた異なるラリーモントレーの魅力を、観戦者目線でお伝えしたい。
そもそもラリーとは?
本題に入る前にラリーについて簡潔に説明しよう。ラリーはコースに公道を使用するのが特徴で、複数の競技区間(スペシャルステージ:SS)を1台ずつタイムアタックし、合計タイムで勝敗を競うモータースポーツである。そして、1年を通して各地で行なわれたラウンドのポイントを合計しその年のチャンピオンを決めるのが、国内におけるラリー競技の最高峰「全日本ラリー」だ。
競技区間(以下SS)は大きく分けて舗装路(ターマック)と無舗装路(グラベル)、これに加えて氷上(アイス)と雪上(スノー)があり、これらの道をSSとして安全に使用するために一般の交通を遮断してレースが行なわれる。また、SSを繋ぐ移動区間(ロードセクション/リエゾン)は封鎖や警察による誘導などもなく、一般の交通法規を守って走行することになる。
全日本ラリーでは世界自動車連盟(FIA)や日本自動車連盟(JAF)の定める車両規定に則って競技車両(以下ラリーカー)が製作され、排気量や改造範囲などの異なるJN1~JN6のクラス別にポイントを競い合うことになる。GT500/300のように形は市販車に似ていてもほぼパーツが交換されているようなものとは異なり、ラリーカーは基本的に市販車両をベースに改造される。改造には厳しい規定あり、特に車の心臓であるエンジンはほとんど改造されることはない。
Day1
早朝にラリーの中心となるHQ・ラリーパーク・サービスパークが設けられた群馬県安中市・安中しんくみスポーツセンターに向かった。ラリーパークでは車両の展示や各種出店があり、サービスパークではラリーカーのメンテナンスや選手の休憩、作戦会議など、競技の邪魔にならない範囲であれば間近でプロ達の仕事が見られた。
※HQ=Head Quarters ラリー運営における本部
サービスパーク(ラリーカーを整備する場所)は終日無料開放されており、早朝から賑わいを見せていた。プロならではのスピード感のあるメンテナンスを間近で見られるのもラリーの魅力だ。
開会式を終えサービスパークから出発したラリーカー達は妙義山方面のSS1/2に向かったので、その間に今回SS内に唯一観戦ポイントが設けられた碓氷峠へと向かった。峠の湯からは廃線跡をひたすら登り、およそ1時間程度で観戦エリアへと到着。公式で案内されてないだけで有料観戦ポイントもあったと知り、後悔するのは後の話。
撮影ポイントは直前がカーブ、しかも山で見えないということもあって、目視でどこまで車両が近づいているのか分からない。そのため走行音でタイミングをはかって撮影することになるが、事前にピントをセットしておかないと、フォーカスが間に合わないほどのスピードで車両は過ぎ去っていく。
ラリーカーにはGPSが搭載されてて今どこを走っているか見られるサイトもあるのだが、山の中ゆえ電波が弱く観客のアクセスも集中するのでまともに見ることはできない。
そんなこんなで苦労しながら撮影しつつも碓氷峠SSの一本目が終わったので、下山しキャンプの設営をしつつ2本目開始に備え待機した。前述の通りラリーカーが見られるのはSS区間だけではなく、SSやラリーパークへと向かう一般道でも見ることができる。以前のモントレーではSS区間のみの撮影だったので、今回はリエゾン区間の撮影をメインとした。
碓氷峠に繋がる道は、江戸時代に整備され軽井沢へ峠越えの旅人で賑わった中山道の旧宿場町「坂本宿」があり、今なおかつての雰囲気を漂わせる町並みとなっている。そんな歴史ある風景と共にラリーカーを写した。
SSを終え1日目最後のSSに向かうラリーカー達を見送った後、サービスパークに戻ってくるのが20:30以降なので、仲間と温泉&夕食タイムに。時間がなくて一回しか入浴できなかったが、キャンプ場利用客はチェックインしてからチェックアウト後まで何度でも入浴可能だ。
夜のサービスパークに今日のセクションを終えたラリーカーが続々と帰還し、整備が始まる。この整備時間は厳格に管理(20分か45分のサービス時間)されており、サービスパークの出入り口にはタイムキーパーが設置されている。このFlexi ServiceBでは45分の修理時間が設けられ、時間内に整備点検を行ない明日のSSに向けて準備するのである。
Day2
キャンプの撤収作業もあるので朝5時に起床し撤収・出発。2日目は神流町方面でSSが行なわれるのでそちらへと車を走らせた。今日はリエゾン区間オンリーの撮影を行なうため、事前の下調べがものを言う。
まずは山の中から、車1台通るのもやっとな山道を登るリエゾン区間で観戦。スマホの電波も通じないので、次にどこのチームの車両がどの位の時間でくるかも分からない中での撮影となる。
山中を抜けると所々に観戦や応援の方々がちらほらと見かけるようになる。SSだけではなく、このリエゾン区間での選手・チーム応援や撮影こそがラリーの醍醐味である。
神流町では朝一のSSを終えたラリーカー達の給油が行なわれる。公道を使用して行なわれる競技なので、給油は沿道のガソリンスタンドで行なわれ、少し異質な光景だ。次のSSへと向かうものの、リエゾン区間が長いこともあり2回のみで安中しんくみスポーツセンターのサービスパークへと戻り、2本目の為に再びここまで戻ってくる。
自治体が協力している競技のため、SS以外にもリエゾン区間として開催エリアのいたるところで応援・撮影することができるが、こういった場所での競技は地域住民すべてに周知させ理解を得ているわけでもない。リエゾン区間で観戦するときは、地域住民の生活を妨げないよう配慮が必要だ。
ラリーモントレーは全日本ラリーと銘打たれているとおり、FIA世界ラリー選手権(WRC)を除けば国内最高峰のレースといえる。とはいえ、2日間の観客動員数は公式発表で6/8で5,500人、6/9で 6,500人にとどまった。
運営や各チームも宣伝活動やコラボを行なっており、開催地は首都圏からのアクセスも比較的良好で、自治体の協力も得てはいるものの、それでもまだ充分に認知されていない、ということなのだろう。
ちなみに今年度の全日本ラリーも残すところあと3戦
・7/5-7 2024 ARK ラリーカムイ(北海道)
・9/6-8 RALLY HOKKAIDO(北海道)
・10/18-20 M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2024
これに加えて11/21-24には世界ラリー競技の最高峰「FIA 世界ラリー選手権」の最終ラウンド、Rd.13が日本の愛知県で行なわれる。
他にも地方選手権やメーカー主催、県シリーズなどなど実は国内でも多くのラリーが行なわれている。全日本ラリーではもう見ることがほぼ無くなってしまったが、今なおインプレッサ WRX STiとランサーエボリューションがしのぎを削る光景も見られる。
ラリーはレースのためのサーキットで、レースのために作られた車両で競い合うSGTやフォーミュラーとは違い、ディーラーに行けば買えるような車をそのままカスタムべースに使用し、開催地の自治体の協力を得て公道で行なわれるモータースポーツだ。自動車レースの中では(物理的にも)泥臭さすら感じられるものの、日常のすぐ隣にあるのも魅力だ。
もし少しでも興味をお持ちなら、ぜひ一度観戦してみることをおすすめしたい。
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PHOTO&TEXT:出雲
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