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2024/06/09

写真の見せ方を工夫しよう!トリミングとアスペクト比について【アームズフォトスキルアップ教室】

 

異なるアスペクト比を使いこなそう

 

 「アームズフォトスキルアップ教室」はサバゲーマーやガンマニアのために「ちょっと見映えのいい写真撮るためのテクニックや、カメラ関連機材について」解説していくHow to記事だ。

 

トリミングとアスペクト比について

 

 撮った写真を見て「あ~、もうちょっと被写体に寄りたいな」「左右に余計な物が写ってしまったから消したいな」とトリミング(切り取り)をする時、あるいは撮影の設定で「3:216:9…この数字は結局どれがいいんだ…?」という時、意外とおざなりになりがちなのが画像の比率、アスペクト比だ。
 実はアスペクト比にはそれぞれ得意な表現や特徴があり、自分がその写真をどう見せたいかに合わせて使い分けられる。
 

65:24のパノラマ比率の写真。この比率は主流ではない

 

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画像のトリミング

 

 トリミングでは、撮影した時の比率のまま拡大縮小したり、撮影後余分な箇所だけを映らないように切り取ったりするだけかもしれないが、それだけではもったいない。トリミングでは画像をどんな比率で切り取るか(撮影するか)で写真の見映えが変わることになり、この時設定する画像の比率アスペクト比アス比、比率とも呼ばれるである。
 また、SNSに投稿したり写真をプリントしたりする際、その媒体に合うアスペクト比に設定しておけば「なんか端っこが切り取られてて想像と違う…」といったことがなくなる。

 

アスペクト比を3:2で撮影した写真

 

上の写真のアスペクト比を16:9にトリミングして、上下の余白を少し削って圧縮感を出してみたり…

 

さらに21:9で少し構図を変えてトリミングしてみたり…

 

上の写真に黒帯を追加して、映画のスクリーンっぽくしたり…

 

元の写真を1:1でトリミングして構図を整えさらに余白を追加したり…と、1つの写真でも切り取り方次第で大きく印象を変えることができる

 



主なアスペクト比

 

 アスペクト比は数字を変えるだけで無限に存在するが、作品のジャンルごとによく使われる比率がある。それが3:24:316:91:12.35:1(21:9)65:2419.5:9だ。その中でも、大きく「映像で多く使われる」ものと「写真で多く使われるもの」の2つに分類できる。以下ではこれらアスペクト比でのトリミング例をご紹介するので、作風にあった比率を選ぶ参考にしていただきたい。

 

【写真寄りの比率】
3:2 4:3 1:1 
【映像寄りの比率】
16:9 2.35:1(21:9) 

 

WA2000狙撃銃をテーマに3:2で撮影した写真

 

  • 3:2


 35mm・APS-Cセンサーを搭載する多くの一眼カメラで使われているセンサーサイズであり、デジタルカメラの初期設定として採用され、恐らく写真では最も多く使われるアスペクト比が3:2だ。
 センサーの性能をフルに発揮でき、縦横どちらでも構図を組み立てやすく、L判や2L判、はがき、A3/4サイズの比率にも近く、印刷イメージを掴みやすい。

 

 

3:2を縦で撮ると、意外と長辺が長く感じられる。人物撮影でもかなり収まりが良く、現代のデジタルカメラで主流な比率なだけのことはある

 

3:2は被写体に対する収まりの良さだけでなく、センサーサイズそのままなのでセンサーの性能をフルに生かせる。さらに一眼レフはファインダー内の比率が3:2なこともあり、カメラの性能をしっかりと活かしきることができる

 

  • 4:3


 スマートフォンやオリンパス、パナソニック等のデジカメで採用されているセンサーサイズ、『マイクロフォーサーズ』のカメラにてデフォルトで使用されるアスペクト比が4:3だ。昔のアナログテレビやPCモニター、ハーフフィルムとも同じアスペクト比になる。
 3:2と比べると長辺と短編の差が少なくスクエアに近いため、少し癖がある。

 

上のWA2000の写真を4:3にトリミング。3:2よりスクエアに近く、ワイドな比率に慣れていると少し違和感がある。4:3は四切りや六切りといったフィルム時代の印刷やスマホ、コンデジで採用されており、日常的な写真に合うのかもしれない

 

 

個人的な意見にはなってしまうが、普段16:9や21:9など横に長いアスペクト比で撮影していると、4:3という比率は絶妙に扱いにくく慣れない。しかし縦写真での収まりの良さは3:2や16:9よりもいいかもしれない

 

  • 16:9

 

 ビデオカメラ、シネマカメラや現代のTV、PCモニターの画面比率として採用されているのがこの16:9。3:2、4:3に比べて長辺が長く写真としてスッキリとした印象を受ける比率となる。3:2と同じくあらゆるシチュエーションでの撮影に向いており、横の辺が長くワイドな印象で、風景を活かしやすい。
 よく使われるアスペクト比のため、多くのカメラの設定で3:2とともに16:9がプリセットされている。

 

16:9は映像作品でよく使われる比率なので、写真にすると映像のワンカットのような雰囲気が出る。筆者も撮影内容によるが、6割ぐらいは16:9で撮影している

 

16:9は長辺が長いものの21:9と比べれば上下の見切れも少なく、それでいて構図も組み立てやすいので前景を入れて場の雰囲気を伝える写真を撮るのに向いている(「LE Confidential 5.0」より)

 

16:9といえばやはり風景写真だ。写真をプリントせず、ディスプレイで鑑賞するならこの比率がピッタリだ

 

  • 1:1(スクエア)

 

 1:1スクエアとも呼ばれ、それが示すように正方形の画面比率だ。多くのSNSで使われるアスペクト比なので、トリミングされずに表示されやすくなる。余白が少なく背景や前景をあまり多く入れられないので、主題を明確にしやすい。

 

 避けられがちな日の丸構図だが、1:1ではすべての辺が同じ長さになるので日の丸構図や水平アングルでの撮影が似合うし、なんだかお洒落に感じる(ただし個人差はある)

 

撮影時に3:2や16:9で撮影した写真から1:1にトリミングすると、想像以上にクローズアップになって驚く。被写体全体を入れるより、このように思い切って切り取るのがオススメ

 

1:1はこのように円形の収まりがいい。この写真のようにナイトビジョンとかスコープ越しの撮影に使ってみるのもいいのでは?(「MFE03」より)

 

ウエストレベル(腰の高さ)で撮った写真をスクエアにすると、ハッセルブラッドやローライフレックスで撮影したような雰囲気の写真になる気がする(「LE Confidential 5.0」より)

 

  • 2.35:1と21:9

 

 比率として近いので合わせて紹介する。2.35:1は映画撮影でよく使用されるアナモルフィック形式で撮影された映像の比率で「シネマスコープ(シネスコ)」とも呼ばれる。21:9は上記のアナモルフィック形式で記録された映像を表示するモニターや、ゲーム用のウルトラワイドモニターでよく使用される比率だ。


 かなり横の余白が長いのが特徴で、映画的な表現になる。SNSに載せる際にはフチをしっかりとつけて16:9や3:2の比率にしないと、左右が見切れることが多々あるので注意。

 

2.35:1でトリミングすると、近年流行りの『映画のワンシーン』『シネマチック』といった写真になる。上の余白は少なくなるが横の余白が長くなるので、縦に長い被写体の筆頭である人物写真では工夫が必要となる

 

本記事の最初の方でも上げたが黒帯をつけてあげるとよりシネマスコープ(2.35:1)が活かされそれっぽい写真になる。縦のスペースがかなり短く横が長いので、構図の組み立てに少しコツがいる

 

映画で多く使用されるアスペクト比のため、3:2や16:9といった比率よりも映画っぽい写真になる

 

  • 65:24

 映画で有名なシネマスコープよりも横に長い、かつてフィルム時代にパノラマ写真で使われていたこともあるアスペクト比が65:24だ。かなり横に長く扱いはかなり難しく、富士フィルムの一部のカメラしか設定できず、ファインダーを覗きながらこの比率を意識するのも至難の業だ。

 シネマスコープよりも横に長すぎるので、パノラマ写真らしさが強くなり意外と映像らしさのない横長な比率かもしれない。

 

21:9や今回紹介していない2:1よりも横に長い65:24。横長な被写体である長物トイガンは意外とこの比率が似合うかも?

 

65:24は元がパノラマ写真の比率ということもあり、船のように広角で横に長い被写体を撮るとかなり収まりがいい

 

65:24は意外とこの横の長さが癖になる。しかし撮影時にこの比率を選べるのは富士フイルムのカメラしかない

 

  • 19.5:9

 19.5:9は聞き慣れない人も多いだろうが、これはiPhoneX以降のNotchやDynamicIslandを搭載するiPhoneの画面比率だ。なので上記スマホで壁紙として使用したいのであれば、オススメのアスペクト比になる。

 

19.5:9は数字としては見慣れなくともこの比率で表示された写真は今や見慣れた比率かもしれない

 

19.5:9はシネマスコープに近いアスペクト比なので、写真の雰囲気としてはそれに近い印象を受ける

 

前述の通りスマホ(機種にもよるが)の壁紙にピッタリだ。欠点は縦長過ぎるため、撮る時に意識するのも、構図の組み立ても大変なところだ


 このように写真の目的、種類によって異なるアスペクト比を使い分ける、ということがお分かりいただけただろうか。撮影時に自分が使いたい比率を意識できるようになると、自分が撮りたいイメージと写真の仕上がりが近くなってくるだろう。
 ここまで多くのアスペクト比をご紹介してきたが、オススメはやはり3:2と16:9だ。この2つはカメラの設定でも多く、構図も作りやすく、SNSにも使えるという万能比率といえる。

 


 

【余談】枠と余白について

 

 ここまで紹介してきた写真作例の中には、写真の画角内に余白を入れるのではなく、「スクエアに灰色の余白」や「シネマスコープ」といった形で写真の外側に枠を後付けしたものがいくつかあった。この「枠」も意外と重要で、例えば写真集や写真展であれば表現方法にもよるが額縁など何かしら枠を付けることが多く、これには「カッコよく見える」とか「枠を付けることで写真に視線が向く(シネマスコープ除く)」などしっかりとした意味がある。

 

白背景なのでドロップシャドウで少し枠を分かりやすくした。このように枠を付けることで理屈云々はさておき写真が強調される。枠の色によっても印象が変わり、「白枠」は万能でありどんな写真でも似合うし、「黒枠」はかなり引き締まった重い印象を鑑賞者に与えることになる

 

 そして近年、SNSでは写真の中心から少しずらして枠を設けて、その生れた余白に機材名や撮影設定を記載するといった方法が流行っているようだ。ひと手間かかるが、意味のある要素なので一度試してみてはいかがだろうか。

 

機材名と設定を枠に入れると、作例っぽさが出てくる

 

 

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PHOTO&TEXT:出雲

 


 

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