実銃

2024/04/19

M16A1 vs M16A2 無可動実銃を元にM16A2の特徴とM16A1との違いを解説

 

M16A1の改良型として1982年にアメリカ軍に制式採用されたM16A2。M16A1とM4A1カービンの間に挟まれた存在として影が薄い印象がある。

無可動実銃を元にM16A2の特徴とM16A1との違いを解説する。

 

M16A1自動小銃(モデル613)
全長:990mm/口径:5.56mm×45/装弾数:30発/価格:¥440,000/商品番号:8577

 

 

M16A2自動小銃
全長:1,000mm/口径:5.56mm×45/装弾数:30発/価格:¥462,000/商品番号:8599

 

 1982年に制式採用されたM16A2(コルトM701)は、1970年代後半からアメリカ海兵隊とコルトが共同で進めていたM16の改良プロジェクト(M16 PIP=プロダクト・インプルーブメント・プログラム)に端を発している。当時、分隊支援火器として制式採用したFN M249 MINIMIがM16A1と同じ5.56mm×45弾ながらSS109というNATO標準カートリッジを使用していた。SS109はM16用のM193弾と同サイズながらライフリングツイストが7インチで1回転という、M16A1の12インチで1回転とは異なるものだった。そのカートリッジに適合するべく以下の改良が加えられた。

 

  • セーフ/セミ/3点射バーストとしてフルオートの廃止
  • ライフリングツイストを1回転7インチに設定
  • 下面にスリットのないバードケージタイプフラッシュハイダーの採用
  • ナイロン製円筒形ハンドガードの採用
  • フィンガーチャンネル付きナイロン製グリップの採用
  • ストックの材質をナイロン製として耐久性を向上
  • ストックの長さを延長
  • ブルバレルの採用
  • フルアジャスタブルリアサイトの採用
  • ダストカバーラッチの大型化
  • ケースディフレクターの追加
  • フォワードアシストノブの形状変更

 


セレクター表記/オートシア

 

どちらも軍用なのでオートシアが組み込まれているのがわかる。セレクター表記はM16A1(上)はセーフ/セミ/フル、M16A2(下)はセーフ/セミ/バーストとなっている

 

フォワードアシストノブ

 

M16A1(上)はゴルフのパターのようなティアドロップタイプに対してM16A2(下)はサークル状の滑り止めが施されたラウンドタイプに変更されている

 

リアサイト

 

M16A1(上)は左右の調整とL字型ブレード(アパーチャー)の切り替えのみに対して、M16A2(下)は上下左右どちらも指で回して調整でき、ブレードも狙いやすくなっている

 

レシーバー右側

 

M16A2(下)からエジェクションポート後方に左利き射手が撃ちやすいようにケースディフレクターが追加された。ダストカバーのラッチ部分の形状が異なっている

 

ハンドガード

 

見た目で最も異なるのがハンドガードだ。M16A1(上)はおにぎり型の断面を持つM16特有の形状、M16A2(下)はリブが付いた円筒形となっている。M16A1は左右、M16A2は上下に分割される

 

グリップ

 

M16A2(右)はグリップ前面にフィンガーチャンネルが追加され、背面には滑り止めのセレーションが施されている。M16A1(左)の下部先端の穴は極初期モデルではスリングスイベルが装着されていた

 

 M16A2は、主にSS109弾への対応と耐久性、使い勝手の向上がメインとなった。自衛隊の89式小銃やFN FNCなどにも導入された3点射バーストは賛否あり、その後セミ・フル仕様のM4A1カービンが一般歩兵に浸透したことを考えると、あまり効果的ではなかったのだろう。

 1990年以降、M4A1カービン、デタッチャブルキャリングハンドル仕様のM16A4が登場し、イラク・アフガニスタン戦争以降、M16A2は徐々に表舞台から姿を消している。

 

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TEXT:毛野ブースカ

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年4月号に掲載されたものです。

 

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