実銃

2024/04/14

【実銃】実射で感じるハイエンド1911カスタムの実力!「Nighthawk Agent 2 Commander」【後編】

 

 Nighthawk  

 Agent 2 Commander 

 

 

 ウイルソンコンバットとナイトホークカスタムが、現在のハイエンド1911カスタムの双璧だ。その一方の雄であるナイトホークカスタムが、新しいカスタムビルダーであるエージェンシーアームズと手を組んでリリースした製品がエージェント2コマンダー。

 現代のコンバットピストルが持つ力強い魅力がこの銃には詰まっている。
 

 

前編はこちら

 


 

NIGHTHAWK CUSTOM AGENT 2

 

フィールドストリッピングの手順はオリジナルの1911と同様だ。リコイルスプリングプラグを押しながらバレルブッシングを回転させるのは、ちょっと懐かしい。ステンレスの10連マガジンには、大きくナイトホークカスタムの名が記されている

 

プロフェッショナル向けのスペック

 

 トリガーのチューニングは、ナイトホークカスタムらしいプロフェッショナル向けの味付けで、スポーツピストルのそれとは違い、いたずらに軽過ぎたりすることはない。シャープな切れ味を持ちながら、じゅうぶんな重さとなっている。約1.8kgだ。

 

 

 

しかし、このバレルブッシングはタイトだ。ほんのわずかな傾きがあると全く動かない。プラグを押しながら回転させるので水平を保ちながら回すのにはコツがいる。このタイトさが精度アップの決め手なのだろう。ちなみにこのブッシングを回転させる工具は同梱されていなかった。だから余計に取り外しに苦労する

 

 トリガーの形状はナイトホークのトレードマークともいえるストレートカットで、下の部分が若干前にカーブしているenhanced toe(エンハンスドトゥ)デザインだ。マニュアルセイフティファイバーオプティックサイトを採用している。これは周辺の光を集光し、エイミングすると赤く光る。晴天の野外だと正にドットサイト並みの視認性があって狙いやすい。

 

内部のパーツ構成も1911とまったく同じだ。但し、一つ一つのパーツの工作精度は全く違い、はるかにタイトに仕上がっている。オートマチックファイアリングピンブロックはない


 余談だが、この記事の扉ページに使われている写真に写っている時計は、ハンガリーの首都ブダペストで設計から製造まで行なっているEVOLVENS(エボルヴェンス)というメーカーのもの。元々精密機械を製造していた会社の一部が独立して2009年に立ち上げた新しいブランドだ。

 そこが100個限定で出したハンガリー軍特殊部隊向けのタクティカルウォッチ。ハンガリーで撮影しているコンバットピストルには、ハンガリー製のタクティカルウォッチが似合うだろうというわけだ。

 

 

オプションでブルバレルとフルーテッドバレル、さらにサプレッサー装着用のスレデッドバレルを選択することも可能だ

 

 

実射

 

 ダブルスタックマガジンが当たりまえのようになった昨今、久しぶりにシングルスタックのマガジンに弾を込める。これが新鮮に感じた。このシンプルさが心地よい。

 

 マガジンのキャパシティは何と10発。これはカタログによると.45口径も同様のようだ。マガジンはベースパッドがやや延長されている。おそらく.45ACPモデルはさらにベースパッドが延長されているのだろう。シングルスタックの.45ACPで10発マガジンということには驚いてしまう。

 


 銃を手に取ると、バランスの良さが手に伝わる。重量は1,094gだ。

 グリップを握るとそれほど力を入れなくとも吸い付くようなグリップフィーリングがある。グリップはオクラホマ州のRailscales(レイルスケールス)との協力でできたG10 Agent 2グリップだ。エージェンシーカットにインスパイアされてこのデザインのグリップが完成した。

 

銃が暴れないので、リコイルを上手く身体全体で受け止められる。その結果、リコイルが抑えられているように感じる。コントロールが容易なのだ

 

 フレームのフロントストラップとメインスプリングハウジングには、やはりエージェンシーカットから発想を受けた独特なホリゾンタルテクスチャーカットが刻まれていて、手に吸い付く。
 スライドを引けば隙のないシルキータッチな感触だ。チェンバーが空なのを確認し、マガジンを入れる前にトリガーを絞ってドライファイアを決められる。これは極上の撃ち心地だ。

 

 

 前述したようにこの時、Combat Master John Wick 3と一緒に射撃をした。こちらも素晴らしいフィーリングを持っている。しかし、それはマッチガンから発展したコンバットオートだと感じた。それに対してナイトホークの方は初めからコンバットオートなのだ。

 この違いはちょっと説明しにくいが、ご理解いただけるだろうか。どっちが優れているか、とかそういう話ではない。どちらもすごく優秀だ。

 

タイトブッシングなのに作動も完璧だ。“One Gun, One Gunsmith”、ナイトホークカスタムのエンジニアが自信と誇りを持ってこの銃を仕上げた。テストファイアもそのガンスミスが自分でおこなう。完璧に作動する製品しか出荷しない

 

 ウイルソンコンバットとナイトホークは、ハイエンドな1911カスタムを数多く供給するメーカーとして双璧をなす存在として知られている。もうかつてのような職人というべきマスターガンスミスがワンオフのカスタムガンを作るのではなく、優れたガンスミスを多数抱えたカスタムガンメーカーがハイエンドカスタムを供給する時代になった。

 

グリップと一体のマグウェルのおかげでマグチェンジもすこぶるやりやすいし、一杯に詰め込んだマガジンも難なく装填できる。ナイトホークカスタムAgent 2、この銃に欠点はない

 

 ナイトホークカスタムは2016年よりドイツのKorthが代理店となってヨーロッパでも製品展開をしている。しかし、高価格な製品であり、なかなか見掛けることはなった。今回初めて撃ってみて、ナイトホークカスタムの素晴らしさを体感することができた。これは確かに、“凄い1911だ!”

 

Photo&Text:Tomonari Sakurai

Special Thanks:GIS Technologies L.t.d.

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年10月号に掲載されたものです

 

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