2023/09/11
【実銃】映画『ジョン・ウィック』シリーズの銃を実射!! P365とG43、2つのTTIカスタムを撃ち比べ!【Chapter 4】
SIG SAUER
P365
ハイキャップマガジンを採用したマイクロコンパクトピストル
2017年末に発表されたP365は、9mm×19のCCWに適したサブコンパクトモデルだ。G43と同等のサイズながら、マガジンキャパシティが10+1と大きい。そのため発売と同時に大注目を浴びている。
今回ご紹介するモデルはノーマルのP365ではなく、映画『ジョン・ウィック:チャプター3 パラベラム』で使用されたグレイガンズカスタムとTTIカスタムだ。
※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年6月号に掲載されたものを転載しています。
実射
今回の記事は、室内撮影をXtreme Propsで行ない、映画で使用したP365と空砲加工前の箱出し状態のG43を比較した。また実射ではタラン・バトラーの所有するTTIがカスタマイズしたP365、そして同じくTTIがスライド加工したG43コンバットキャリーを用いて比較した。
双方のマガジンは共に延長型で、G43には3発増量できるTTIベースパッドを装着し、P365には12連マガジンを取り付けてある。共にノーマルのマガジンが保管庫から発見できず、そちらの比較はできなかった。
そして昨年本誌に実射モデルとして登場したヨーダちゃんがタイミングよくLAに短期滞在中だったので、再びモデルをお願いした。サブコンパクトのP365やG43を購入するユーザーには、殆ど実弾射撃経験がないという人も少なくない。そうした人達がこれらのモデルにどんな印象を持つのか? ヨーダちゃんに撃ち比べてもらって率直な意見を聞いてみた。
まずは両者を手にとった時の第一印象を聞くと、持ち比べてもサイズや重量にもあまり大きな差を感じなかったとのことだ。
ただあくまで空の状態での比較であって、今回のテスト弾の115gr弾(カートリッジ重量は11.4g)をフル装填すれば、12発なら総重量がプラス136.8g、9発なら111.6gになるので25.2gの重量差になる。もう一方の135gr弾(12.9g)ならその差は38.7gだ。
P365のグリップはそれほど太いとは感じさせないそうだが、G43のバックストラップ部のカーブが手に合うのでグロックの方が好みだという。筆者にはP365のグリップは自然なアングルだと感じ、好印象だ。そしてダブルスタックマガジンを使用するモデルであっても、シングルスタックマガジンモデルと比較して、その太さの違いが殆ど気にならないという点は大したものだと思う。これはP365の大きな魅力だろう。
そして最も重要なことは信頼性にある。P365が発売されてからすぐに入手した今回のタランのモデルも、撃ち始めるとフロントサイトの固定が緩み、外れそうになるというトラブルがあった。初期ロットでは同じ報告は多数聞かれたが、この個体に関してはそれ以外は全く問題がなく、フェデラル115gr JHPの+P+アモも含めた作動性能は大変良好で、この種の小型銃としては命中精度の高さにタランも大いに関心していた。
その他に、世間一般ではトリガーリターンスプリングの位置がズレたり、折れたりするといった問題、ファイアリングピンの破損、ジャムなどの報告もある。一方、G43でもジャムの問題やトリガーがリセットされない等の問題は聞こえてくる。いずれにしても、個体差も当然あるので簡単には結論は出せない。
今回のテストではフェデラル115grと115gr JHPを両方混ぜて150発くらい撃ったが、作動不良は全く起きなかった。リコイルや跳ね上がりの比較では殆ど変わらず、強いて言うならばG43の方が僅かにソフトな気がした。
P365のトリガープルはP320のそれに近い感触で、慣れ次第だがグロックの方が少しだけリセットが短く、個人的には扱いやすい。
実射モデルをしてもらったヨーダちゃんに総合的な感想を述べてもらったところ、どっちもあんまり変わらない気がした、ということだ(まぁ、それも無理もないか…)。
筆者個人もキャリーガンとして双方の能力や魅力は拮抗していると感じる。装弾数ではP365の魅力は大きいが、カスタムパーツの種類が豊富なG43の魅力も大きい。装弾数の増加は重量増加になるので、あまり重くしたくない人にはG43が向いていると思う。
あとは命を預ける銃に出し惜しみはしないという人もいれば、予算が重要という人もいるだろう。参考までに市場の販売価格は、P365が500ドル前後、G43は450ドルくらいでも見つかる。ちなみに追加購入しなければならない12連マガジンは49ドルする。これを見る限り、コスト優先ならG43に軍配が上がる。
月刊ガンプロフェッショナルズ2019年5月号の記事で解説した通り、カリフォルニア州でどちらも販売許可が得らず、警察官や他州から引っ越してきた人たちから買うしかない。そんなわけでこの州内ではプレミア価格でP365が大体1,200ドル、G43が900ドルくらいの高値で取り引きされている。それでも売れるほどどちらも人気モデルなのだ。
Photo&Text:Gun Professionals LA支局
Special thanks:Taran Butler(Taran Tactical Innovations)/Gary Tuers(Xtreme Props And Weapons Rentals)/ Michael Grasso(Grayguns)
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年6月号に掲載されたものです。
『ジョン・ウィック』最新作を観る方にオススメ!!
月刊ガンプロフェッショナルズ 2023年10月号
キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの最終決戦が描かれる第4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、いよいよ9月22日に日本でも公開される。この映画でジョンは様々な銃を使いながら戦いを進めていくが、今月号のガンプロフェッショナルズではメインとなる3機種について、デザインを手がけたタラン・バトラーのインタビューを交えながら詳しくご紹介している。登場銃について知ることができるので、上映前にぜひご一読いただきたい。
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