実銃

2023/09/10

【実銃】『ジョン・ウィック』シリーズに登場する「P365」のカスタムを担当したグレイガンズ【Chapter 3】

 

SIG SAUER

P365

ハイキャップマガジンを採用したマイクロコンパクトピストル

 

 

 2017年末に発表されたP365は、9mm×19のCCWに適したサブコンパクトモデルだ。G43と同等のサイズながら、マガジンキャパシティが10+1と大きい。そのため発売と同時に大注目を浴びている。

 今回ご紹介するモデルはノーマルのP365ではなく、映画『ジョン・ウィック:パラベラム』で使用されたグレイガンズカスタムとTTIカスタムだ。

 

※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年6月号に掲載されたものを転載しています。

 

Chapter 2はこちら

 

 


 

 GRAYGUNS 


 全米公開が今年(2019年)5月17日と迫った、ジョン・ウィック シリーズの第3作目の映画『ジョン・ウィック:パラベラム(John Wick: Chapter 3-Parabellum)』の予告編がSHOT SHOW直前に公開された。前作に引き続きプロップマスターを努めたXtreme Props And WeaponsRentalsの社長Gary Tuers(ゲイリー・トゥアーズ)は、SHOT SHOWの会場で、撮影中に実際に使用した銃を各社ブースに展示した。

 

エクステンション付き12連マガジンがないと小指が落ち着かない

 

独特なバックストラップの膨らみを持つグロックらしさを感じるグリップ


 ジョン・ウィックを演じる主演のキアヌ・リーブス、そして今回登場する新キャラクターでNYから脱出したジョンに協力するソフィア役のハル・ベリーに対し、実弾射撃トレーニングを行なったタラン・バトラーも、今回の作品のためにSTIと共同開発したSTI2011ベースの新型コンバットマスターを紹介し、映画の話題作りに貢献した。

 

グレイガンズのストレートトリガー

 

引き切るとほぼストレートの位置で停止。トリガープルは約4.4kgでリセットは7mm(G43は6mmで約3.2kg)


 SIG SAUERブースではジョン・ウィックが劇中使用したMPXと共に、オレゴン州リードスポートにあるグレイガンズ(GRAYGUNS)がカスマイズし、劇中ソフィアが使用するP365が展示された。それが今月ご紹介しているモデルだ。

 

分解手順はスライドを後退させた状態でテイクダウンレバーを回転させ、スライドをリリースするとスライドが取り外せる。P320のように空撃ちの必要はない。しかし内部は空砲作動用に独自に改造してあり、撮影は遠慮して欲しいとのことで今回はお見せできなかった。残念

 

G43の分解方法は、おなじみのグロック共通の手順だ。トリガーを引いて空撃ちが必要であるため、チェンバーにアモがないことを確認することを忘れてはいけない

 

 グレイガンズは競技シューター、そしてガンスミスとして世界中に知られるブルース・グレイ(Bruce Gray)が経営するカスタムショップで、各種ガンスミスサービスから自社設計のカスタムパーツを展開しており、特にSIGとは新製品発表前から先行量産品を提供してもらって開発に協力しているほど親密な関係にある。

 

P365の内部は見せられなかったので、これはグロックのもの。左がG43、右がG48。セイフアクションはそのままだが、トリガースプリングの構造がGen4で変更され、Gen5でもそれが採用された

 

G48(上)とG43(下)のスライドアッセンブリーの比較。バレル長が3.41インチから4.1インチへと延長されているがリコイルスプリングは同寸だ

 

 よってラインナップは必然的にSIG用カスタムパーツが中心だ。今回のP365は、ゲイリーがグレイガンズと親しかったことから映画で使用する話が進んだという。
 劇中のP365にはグレイガンズのストレート トリガーが備わっており、これはP365が発表される数ヵ月前に試作モデルを提供してもらい、開発したカスタムトリガーでオーバートラベルを短縮し、90°の位置で引き切る事ができるというものだ。

 

基本設計は従来通りだが、ファイアリングピンセイフティが大型化されGen5でも同様の改良が加わった

 

マガジンの比較

 

ステンレス板とポリマーの二重構造のグロックのマガジンはプレスだけのものより太い。P365の細さが際立つ


 グリップ加工は手作業ではなく、高出力レーザーにより表面にスティップル加工を施すもので、同社はレーザースクラプチャードグリップモジュールとしてP320とP365に提供している。

 現在公開されている予告編では、ソフィアが共に戦うシェパードに身に着けさせたボディアーマー内にこのP365を仕込んでいる様子が映し出されている。

 

G48ではG43の延長マガジンが採用されていると思ってしまうが、実際には僅かに太く、互換性はない

 

 『ジョンウィック:チャプター2(John Wick: Chapter 2)』ではTaran Tactical InnovationsのG34コンバットマスターがローマのシーンで活躍したが、『ジョン・ウィック:パラベラム(John Wick: Chapter 3-Parabellum)』ではソフィアがG19バージョンのコンバットマスターを使用し、トリジコンRMRをマウントしたG34 Gen4 MOS、そしてSIG MPXと共に撃ちまくる。

 

実射ではタランの所有するP365とG43を使用した。バレルは両者ともイオンボンド仕上げ、グリップにはスティップル加工が施されている

 

今回の実射ではまたまた福岡からやってきたヨーダちゃんにモデルになってもらい、この2挺を比較して素直に感じたことを述べてもらおう

 

G43のスライドはコンバットマスターと同様のセレーション加工を追加。コンバットキャリーというモデル名になっている

 

続きはこちら

 

Photo&Text:Gun Professionals  LA支局

Special thanks:Taran Butler(Taran Tactical Innovations)/Gary Tuers(Xtreme Props And Weapons Rentals)/ Michael Grasso(Grayguns)

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年6月号に掲載されたものです。

 


 

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作を観る方にオススメ!!

月刊ガンプロフェッショナルズ 2023年10月号

 

 

キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの最終決戦が描かれる第4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、いよいよ9月22日に日本でも公開される。この映画でジョンは様々な銃を使いながら戦いを進めていくが、今月号のガンプロフェッショナルズではメインとなる3機種について、デザインを手がけたタラン・バトラーのインタビューを交えながら詳しくご紹介している。登場銃について知ることができるので、上映前にぜひご一読いただきたい。

 

 


 

 Arms MAGAZINE WEBでは気になるエアガン&サバゲー情報を毎日発信中!! 気になる方は公式Twitterを要チェック♪

 

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×