実銃

2024/01/28

【実銃】豊富なカスタムパーツが魅力的!自分好みに組み換えられるルガーのライフル「Ruger 10/22」【後編】

 

 RUGER 10/22 

 


 RUGERが誇る、超ロングセラーの.22オートライフル10/22の登場は1964年、それ以降、稀代のプリンカーはベストセラーであり続けている。これは10/22のタクティカルモデルで、ルガーの純正カスタムだ。

 ちょっとワクワク感が漂うアグレッシブデザインだが、不満な部分もある。しかし、この57年間に登場したカスタムパーツは膨大で、好きな形に作り替えるのも簡単。究極のお遊び銃、それが10/22なのだ。
 

前編はこちら

 

ATIタクティカル


 前章で述べた通り、10/22はカスタムが容易であり、アフターマーケットの各種パーツ類とか外装コンバージョンキットとかそれらを組んだ独自バージョンやらが星の数ほど作られている。

 有名処のカスタムメーカーであるVOLQUARTSEN(ヴォルカートツェン)からは、なんとセミオートをボルトアクションに変換するレシーバーキットまで出ている。

 

マガジン4種。元々付いてくるのは右の25連(BX-25)。左はリバース式の50連(BX-50)で中央がレギュラーの10連。そして中央下はRAM-LINE製だ。RUGERの25連よりも短いのに、なんと30発入るのは立派

 

 そういえば自分は以前、サクラメントのガンショーで10/22のレアカスタムに出会いつつも買い損ねた経験がある。それはラットレッカーというカスタムだ。

 フェザーエンタープライズ社製の折り畳みストックが付き、バレル先端にねじが切ってあって、ダミーのサプレッサーがねじ込まれていた。本来ならSWD社製のサイレンサーが付くが、カリフォルニアでは所持許可はほぼ下りないのでダミーだったわけ。ちょっと迷った隙に売れてしまって地団駄踏んだ。

 

マグウエルを見る。ロータリー式の太いマガジンに合わせて、穴がかなり大きい

 

10連のマガジンを差し込んだところ。ピッタリすっきりと収まる。マグウエルのチョイ上のネジは分解用のテイクダウンスクリューだ

 

 ラットレッカーに関しては、ブラックパンサーのチラシの裏にイラストがあるのでお持ちの方は見て欲しい。実に惜しいことをしたよ。余談はさておき、今ご覧の10/22はアフターマーケットのバージョンではない。RUGER純正のTACTICALモデル、それも大手ディストリヴューターのTALOが絡んだSpecial Editionだ。

 

グリップ部。樹脂製の本体に、ラバーのバックストラップをはめ込んだ凝った作り。結構大柄で、ラバー部を強く押すと外れそうに歪むのがやや気色悪い

 

 どの辺がスペシャルなのかと言えば、このストック。ATI(Advanced Technology International)社のStrikeforce Six Position Folding Stockに乗っかっているのだ。素材はデュポンの耐熱性ファイバーグラス。6段階に伸縮し、左サイドにホールディングが可能。またチークパッドもアジャストでき、ストック先端の上下左右にはレイルも装備する。

 

 ご覧の個体は左右と下のみにレイルを付け、トップ部はカバーで塞いである。ストック単体のお値段は100ドルちょい。全く同じスタイルでミニ14用もあるから、二挺揃えてご満悦のRUGERファンも多分いたりするだろう。

 

簡易分解。レシーバー下部のテイクダウンスクリューを外し、ストックのハンドガードを取れば(ネジ6本で固定)、本体が抜ける。実にシンプルでストレスもない。データは、全長830mm、バレル長465mm、レシーバー幅31.5mm、重量3,070gといったところ


 バレル長は16.25インチだ。ベースモデルは18.50インチだから、少し短い。先端にはネジが切ってあり、フラッシュハイダーを装着している。無論、サプレッサー等のネジ込みも可能。RUGERからは、専用のSilent-SR Suppressorなんてのが出ている。


 サイトは前後とも無く、スコープもしくは光学機器を載せる前提でレシーバーのトップにウェーバーと22チップオフがコンビとなったマウントを設置。前の持ち主がBSAのスコープを載せている。マガジンは25連一本が標準装備だ。

 

 どうでしょう? 姿カタチが結構シリアスで、サバゲーに持ち出したくなるルックスでしょ。22口径でもココまでやってくれればアッパレ。決して非力一方でもなく、スコープ付きなら百発百中の必殺ライフル。侮れない。

 

バレルとフレームの接合部を見る。V字型のくさびをネジ2本で留めて固定。RUGER自慢のVブロックシステムだ


 RUGER のウェブサイトを覗くと、現在このSpecial Editionはレシーバーとバレルが灰色でストックが黒、或いはその逆パターンのツートン仕様になっている。ご覧の個体は2013年製でやや古い。当時は黒一色もあったという事だろう。

 

 お値段は、現行モデルで497ドルだ。何度も書くが、アメリカに生まれていればガキの頃からこういうご機嫌な銃で遊べたんだと思うと、ひたすら羨ましい。きっと自分はどハマリだったに違いないよ。

 

レシーバー部の分解。トリガーアッセンブリーは二本のピンを抜けば簡単に分離する。ボルトの脱着は、ちょっとだけコツが必要だ。なお、当初アルミ合金製だったトリガーアッセンブリーのハウジングは、現在は樹脂製となっている

 

10/22実射編


 では撃とう。
 弾は、相性が良いと聞くCCIのMINI MAG(38gr)を用意。滑り出しは25連マガジンで行く。25発をフル込めしたら大変かと思ったらそうでもなく、テンション軽くてスポスポ入る。秀逸な作り。

 

 ボルトレバーを引いて初弾をチェンバーへ。そして、発射!

 

10/22発射! 銃が割と重くてプルプル震える。これでも大学時代はエアライフル射撃部にいたんだけどね


 オッケー、ちゃんと撃てた。空ケースも飛んだ。が、二発目で早速ジャム。装填不良だ。チェンバーの手前で次弾が立ち往生。取り出してみると、弾頭に大きな凹みキズ。チェンバーの角に当たった模様だ。

 気を取り直して再挑戦するも、どうもダメ。数発ごとにジャムるのだ。仕方なく25連はあきらめて50連を試したら、こっちは絶好調。撃っても撃っても動き続ける。さらにRAM-LINEの30連も、安っぽい作りの割にはジャムらず、そして10連も全くオッケー。

 

テーブルに座り、レストを使ってじっくり狙う。スコープも載るし、ちょっと慣れればトリガーの感触も分かって当たり出す


 どうやら25連のマガジンだけが悪かったようだ。銃本体の問題ではなさそう。10/22は製品ムラがあるようにも聞くが、コイツは辛うじて大丈夫の個体だったか。


 肝心の撃ち心地のほうは、反動などほぼ無くてわずかに揺れる程度だ。トリガープルはガサツで固いけど、まあこんなもんだろう。嫌なら、カスタムパーツが幾らも出ている。


 難を言えば、マガジンの脱着にどうもポジティブ感がない。マガジンが微妙にぐらつくし、レバーの操作もやりにくい。10連を取り出す際は特にもたつく。それと、ボルトキャッチも超クセものだ。一度オンしたら最後、どうやって解除するのか慌てふためくこと請け合い。オンはレバーの手前を押し、オフは前方を押す。本来なら同じ動作でのオンオフが鉄則だろう。

 

コレはオマケの一枚。MGCブラックパンサー/RUGER 10/22のチラシ類だ。真ん中の赤いのは超レアものだよ。ブラックパンサーは発売直前に仕様が一部変更になり、その関係でボツになったチラシなのだ(写真だけは広告で使われた)。入手経路はヒミツでーす


 あと、このゴージャスな折りたたみストックがどうにも分厚くていけない。普通、折りたたむとコンパクトになるはずが、コイツの場合は物凄く幅広のライフルに変わり果ててしまうのだ。加えて、ストックの開閉ボタンも押しのポイントが掴みにくくてしょうがない。


 個人的には、もっとシンプルな、ワイヤータイプの折り畳みストックが付いたヤツに換えたい。前述の、昔遊んだEATON製は軽快で良かった。ワイヤーストックが右サイドに折れるのも道理にかなっていた。どのみち右サイドはボルトレバーが付き出して幅を取っているし、射撃中のストック操作を考えるとやっぱり右折れのほうが断然良い。ちょっくらネットで、EATONの中古でも探す手かな。

 

レストを使い、25ヤードの距離から3発撃った結果。ほぼぶっつけ本番にしては、結構当たった感じ


 10/22、とりあえずは気に入った。至らぬ個所は、既に述べたようにカスタムパーツで補えば良いし、もしかするとこの先、RUGER自身が改良してくれるかもしれない。

 

 同社は、新作をどんどん出しつつも、今回の10/22のような多くの古参モデルを結構な改良と仕様変更を加えつつ作り続けているからだ。まったく恐れ入るメーカー。コロナ禍のガンブームで株価(NASDAQのほうです)もウナギ上りだしね。自分も老後に備えて(イヤ、もう老後に入ってますが…汗)、RUGERの株を買うってのも悪くないかなあとか、遅ればせながら考えてる昨今であります。

 

ラストは、22オートのモデルMARK Ⅵを忍ばせつつのワンカット。しまった。どうせならシングルシックスも入れて、“.22口径三兄弟”カットにするべきだったな

 

Photo&Text:Gun Professionals サウスカロライナ支局

 

 この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2022年1月号に掲載されたものです

 

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