2024/01/03
【実銃】AKをベースに生まれたロシアンショットガン「SAIGA-12」【Part1】
SAIGA-12 Custom
カラシニコフライフルをベースにしたセミオートマチックショットガンSAIGA は、AR 系ショットガンより大幅にスリムで軽量という魅力がある。確実な作動を実現させるには、手を加える必要があるが、それに成功すれば最高のパフォーマンスを発揮する。SAIGA は高いポテンシャルを秘めているのだ。
SAIGAコンバージョン
SAIGA-12(カスタムモデル)
口 径:12ゲージ
- 全 長:950mm
- 銃身長:457mm
- 全 高:230mm (5連マガジン装着時)
- 重 量:4,077g
- マガジン装弾数:5/10発 MAK-90口 径:7.62mm×39
- 全 長:869mm
- 銃身長:415mm
- 全 高:180mm (5連マガジン装着時)
- 重 量:3,321g
- マガジン装弾数5:30発
世界中で使用され続けるAKシリーズは第2次世界大戦の終戦直後にソビエトで開発され、当時欧米のNATO諸国に対抗するためにソビエトブロックに誕生したワルシャワ条約機構の加盟国を中心にその採用が広がった。その後、AKは第三世界にも広く普及していく。
その多くはソビエト製や正規のライセンス製造品ではなく、コピー製品で占められた。構造がシンプルで製造に近代設備は要らないため、中東地域では現在も村の作業場レベルのような場所でも量産され続けている。1949年の量産開始以来、コピーを含めた世界各地の派生モデルの総生産数を正確に調べる術はないだろう。
その数は1億挺以上とも推測されており、アサルトライフルの生産数ではダントツなことは間違いない。世界のアサルトライフル開発史の中でも特に象徴的な存在であり、現在のアメリカでも高い人気を誇る。
冷戦の緊張が緩み始めた80年代から、AKを土台にセミオート化したスポーターモデルがアメリカに輸入され始めた。冷戦終結後の自由化の波に押され、本家ロシアの製造元であるイズマッシュ(Izhmash)も、輸出向けスポーツ版AKであるSAIGA(サイガ)を輸出し始めた。
ところが1989年のアサルトライフル輸入規制により、多くのミリタリーモデルがモデル名を変更し、サムホールストックを装着するなど軍用銃のスタイルから遠ざける変更を余儀なくされた。
SAIGAも例外ではなく、一般的なハンティングライフルのようなストックを装着し、トリガーの位置も後方に移動、大きくその姿を変える事で世界各国への輸出を容易にした。日本にもこの時期、数多くが輸入されている。
その一方で、ミリタリーモデルを望むファンの気分は盛り上がらなかった。完全なロシア製をオリジナルスタイルで所持したいと望んでいたからだ。SAIGAというネーミング自体も、ロシアを含む寒帯に住むウシ科の草食動物のサイガアンテロープから採られたもので、あえてAKを名乗らず狩猟用を印象付けて軍用銃のイメージから遠ざける目的があった。
このころ、イズマッシュが取り組んだのがAKのショットガン化だった。AKの基本構造を継承しつつ、ボックスマガジンから.410、20ゲージ、12ゲージを発射可能とした。ショットガンにする事で狩猟用として汎用性がさらに高くなり、市場の間口も広がり輸出も伸び大いに売れている。
ただアメリカでも原型に近い姿に戻す術は残されていた。規定数以上のアメリカ製パーツに交換する事で、輸入銃からアメリカ国内製造銃へと法的な位置づけが変わる。これを狙ったのが、922rコンバージョンだ。2004年9月にクリントン政権が10年続けていたアサルトウエポン規制が解除され、11発以上のハイキャパシティマガジンも含めて自由な状態に回帰したため、国内製なら原型のスタイルを取り戻せるのだ。
今回ご紹介するSAIGA-12はコンバージョン化を経てオリジナルのAKスタイルを取り戻したカスタムモデルである。このSAIGAコンバージョンにより一部アメリカ製部品ではあるが念願だった本家イズマッシュのロシア製AKを所持できる事から国内のAKファンの間ではブームとなっている。
Photo&Text:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年10月号に掲載されたものです
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