実銃

2023/10/25

【実銃】スロバキアの知る人ぞ知る高性能ピストル「GRAND POWER K100 MK23」

 

 スロバキアの銃器メーカー、グランドパワーが作り上げた高性能ピストルK100。知名度こそ低いがその性能は折り紙付きで、かのSTIが認めるほどだった。20年以上の時を経て、そのK100が生まれ変わった。今回はその実銃レポートを公開する。

 


 

 

GRAND POWER

K100 MK23

  • 使用弾:9mm×19
  • 全長:202.1mm
  • バレル長:108mm
  • 重量:785g
  • 装弾数:15発

 

 スロバキアのグランドパワーというメーカー名は周辺国以外ではまだそれほど知られていないだろう。しかし、知られていないからといってダメな銃を作るメーカーというわけではない。今世紀初頭、競技用ピストルで急激に成長を遂げたアメリカのSTIがプロダクションディビジョン向けのピストルとして、STI GP6という名の銃を開発した。そのベースとなったのが何を隠そう、そのグランドパワーのモデルK100だったのだ。ベースとは言っても、刻印以外はK100そのものだった。IPSC競技ではトップクラスの評判であるSTIが選んだという事実が示す通り、このK100は非常に優秀な銃なのだ。

 グランドパワーは自国やその近隣諸国においては価格の安さと性能のバランス、いわゆるコストパフォーマンスに優れるメーカーとして人気を博している。

 

 

「新生K100」、MK23

 

 そんなグランドパワーにとって偉大なモデルであるK100が次世代モデルとして進化を遂げた。それがK100 MK23だ。マイナーチェンジとか、競技用のカスタムモデルとは一線を画すニューモデルなのである。

 

 

 まずは最新モデルの定番として、オプティクスレディ(光学機器標準対応)となった。またスライドのデザインもモダナイズされ、大きめのセレーションが前後に施されている。これだけでも外見が引き締まり、随分と魅力的になった。ロテイティングバレルはそのままだが、機構が見直されている。これまではバレルとフレームが面で触れて回転運動させていたが、フレーム側に大きなスリットを設けて、それによって回転させる形式に改められた。またスライド側にもスリットが設けられ、バレル上部のラグと噛み合わせてロック機構とさせつつ、バレルのブレを防止するという設計となっている。こうした大胆なイノベーションからも分かるとおり、このK100 MK23はグランドパワーが積み上げてきた20年以上の経験とユーザーからのフィードバックが結実した、集大成というべきモデルなのである。ちなみに、MK23というのは2023年に由来するので、ヘッケラー&コックのSOCOMピストルとはまったく関係ない。

 フレーム側は、バレルと接する部分がピンになっている以外は大きく変化した部分はない。グリップパネルの交換機能や秀逸なトリガーフィーリングもそのままで、K100のよい部分はそのまま残している印象だ。

 

前方にも大きめなセレーションを刻んでいるのがMK23の特徴のひとつだ。一方でマズル付近を見ると先代のK100の面影がしっかりと残っている

 

スライドストップは長い割に力が入れにくく、固い操作感。トリガーの素材はポリマーだが、素晴らしいトリガージョブを持つ。強度も充分で歪むこともなさそうだ

 

モダンピストルらしく、オプティクスレディである。セーフティレバーはコックアンドロックが可能だがちょっと小さく、薄い。エッジも丸いので力が入れにくい。リアサイトにもホワイトドットが入り、視認性は高い​​​​​

 

分解はトリガーガード上部付近にあるグロックとよく似たレバーを引き下げて、スライドをいっぱいまで引いて上に持ち上げると外れる。スライドを引く力がいるし、テイクダウンレバーを押さえつつフレームを固定させなければいけないので慣れが必要。組み立てにはさらに慣れと力がいるのだ

 

 いざ実射をしてみれば、グリップの感触が良く、しっかりと保持できて安定感がある。トリガーを操作すると、キレのある感触が指先から伝わってきた。リコイルもしっかりと体に流れていき、マズルジャンプも抑えやすく気持ちがいい。ダブルタップを試みたところ、これまたわかりやすいトリガーリセットで非常にやりやすい。マズルジャンプの小ささと相まって、狙った通りにダブルタップができるのだ。

 

グリップは手に吸い付くようで、連射してもまったく暴れることはない。完全にコントロールできる

 

バレルの位置が特別低いわけでもないのにマズルジャンプも充分抑えられている。そのあたりにグランドパワーの優れた才覚が表れている

 

 月刊アームズマガジン2023年7月号ではこの実銃について詳しいレポートを公開している。銃の特徴はもちろん、外観について筆者の感想なども述べているので、そちらもぜひ併せてご覧いただければ幸いだ。

 

Special Thanks to GIS Technologies L.T.D
Steiner Scenics Armourers SFX Kft
Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年7月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×